初選出の侍ジャパンで鍛えたメンタル 紅林弘太郎が学んだ境地「俺がヒーローになる」
2019年ドラフト2位指名でオリックスに入団した紅林弘太郎内野手は、高卒プロ2年目に136試合出場を果たしてレギュラーの座を掴んだ。19歳での2桁本塁打は、球団史上初の快挙。プロ5年目を終えた昨オフには自身初となる野球日本代表「侍ジャパン」に招集され、昨年11月に開催された「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で大会準優勝に貢献した。
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写真提供=Getty Images
オリックス・紅林弘太郎が侍ジャパン初出場「1つの目標が叶った瞬間でした」
2019年ドラフト2位指名でオリックスに入団した紅林弘太郎内野手は、高卒プロ2年目に136試合出場を果たしてレギュラーの座を掴んだ。19歳での2桁本塁打は、球団史上初の快挙。プロ5年目を終えた昨オフには自身初となる野球日本代表「侍ジャパン」に招集され、昨年11月に開催された「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で大会準優勝に貢献した。
凛々しい表情をキュッと引き締めた。「ずっと日の丸のユニホームを着てプレーしたいと思っていたんですけど、なかなか機会がなくて……。今回が初めてでした。すごく嬉しかったですし、1つの目標が叶った瞬間でした」。23歳を迎えた内野手が、頬を紅潮させながら振り返った。
2023年11月に開催された「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」でも代表メンバーに選出されていたが、左手第4指手根中手関節炎のため出場を辞退。「前の大会に怪我で出られないこともあって。その前も強化試合があったタイミングでコロナを患って出られなくなってしまって……。そういう運命だったので、今回はすごく喜びが大きかったです」。いつになく大きな笑顔を見せた。
悔しい辞退から1年後に初参戦 ユニホームを身にまとい「これがジャパンか」
大会を迎える前、チーム宿舎に到着すると自室でユニホームに袖を通した。「これがジャパンか、と。ホテルの部屋でユニホームを何回も着ましたね。めちゃくちゃ嬉しかったです」。少年時代から憧れた場所に辿り着いた瞬間だった。
代表チーム合流後から驚きの連発だった。「みなさん優しくて……。もう少しバラけるのかなと思っていたんですけど、みんな仲良くして下さってすごく良い人たちでした。トップでやっておられる方は人間性も素晴らしいという印象でした」と目を細める。
初参戦の侍ジャパン。「僕はまだまだタイトルも獲ったことがなくて、日本のトップを知っているかと言われたら全然なので。トップ選手の考え方だったり、技術を吸収したいと思って臨んでいましたね」と日々、学習を積んだ。
トップチームで「『自分はできるんだ』という自信が必要なんだと痛感しました」
大会ではオープニングラウンド、スーパーラウンドを合わせて18打数5安打の打率.278、5打点と結果を残した。遊撃を守れる選手が多かったためバックアップ的な存在ではあったが、収穫もあった。
ベンチを温めることが多い中で、新たな気付きがあった。「一流選手の中に入れていただいて1番(大切だと)思ったのは、試合に入ったら『自分が1番』というか『俺はこれだけ頑張ってきたんだから、絶対に結果を残せる』という自信でした。チームを引っ張る人は『俺が決める』という自信を持っていた。やっぱり『自分はできるんだ』という自信が必要なんだと痛感しました」。深く頷きながら視線を上げる。
「その中でも、1番は辰己さん(涼介・東北楽天)のメンタル面ですかね。本当に素晴らしいですし、見習いたいなと思いました。自信に満ち溢れている。試合に入ったら『俺がヒーローになる』『俺がスターだ』というようなオーラがありました。ずっと『目立ってやる』というメンタルでやっておられました」
今季の目標に掲げる「牽引」の文字…「大きくなった自分を少しでも」
胸中には羨ましい気持ちが芽生えていた。「僕は試合に入ると弱気になってしまうこともあった。強気でやらないと良い結果も出ないと思うので、いい勉強になりました」。冷静に言葉を前に出す。
「もちろん、それまでの過程はあると思うんですけど、(いい意味での)根拠のない自信というか、苦手なピッチャーが来たとしても『苦手だと思っていてもしょうがない』という話を(辰己さんに)してもらったんです。打てると思わないと打てないですし、思ったことや口に出したことは結局、叶うと思うんですよね。成功者の考え方を勉強させてもらいました。本気で思うことが大切なんだなと思いました」
控えめな性格だった紅林選手は、もういない。侍ジャパンを経験した23歳は、今季の目標に「牽引」の文字を選んだ。「今年は(自分がチームを)引っ張りたいですね。大きくなった自分を少しでも見てもらいたいです」。精神面で強くなった若武者に、怖いものはない。
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