U-12からトップチーム、女子も大活躍 2024年侍ジャパンが残した国際大会の軌跡

2024.12.16

年の瀬を迎えた12月。2024年の野球界を振り返ってみると、NPBでは横浜DeNAが26年ぶりに日本シリーズで優勝し、MLBでは大谷翔平選手と山本由伸投手を擁するロサンゼルス・ドジャースが4年ぶりにワールドシリーズを制した。その大谷選手は打者に専念した今季、自己最多を更新する54本塁打、59盗塁を決め、前人未到の“50-50”を達成。100年を超えるMLBの歴史に新たな1ページを加えた。

写真提供=Getty Images

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2024年は侍ジャパンの7カテゴリーで8つの国際大会に出場

 年の瀬を迎えた12月。2024年の野球界を振り返ってみると、NPBでは横浜DeNAが26年ぶりに日本シリーズで優勝し、MLBでは大谷翔平選手と山本由伸投手を擁するロサンゼルス・ドジャースが4年ぶりにワールドシリーズを制した。その大谷選手は打者に専念した今季、自己最多を更新する54本塁打、59盗塁を決め、前人未到の“50-50”を達成。100年を超えるMLBの歴史に新たな1ページを加えた。

 それでは、野球日本代表「侍ジャパン」にとって2024年はどんな年になったのか。国際大会に出場した各カテゴリーの戦いぶりを、U-12代表からトップチームまで順に振り返ってみよう。

 5年ぶりの復帰となった仁志敏久監督率いるU-12代表は、11月23日から愛媛で「第11回 BFA U12アジア野球選手権」に出場し、2大会連続で銅メダルを手に入れた。デジタルチャレンジ、合同トライアウトを経て選ばれた15選手は、1週間で6試合という忙しいスケジュールではあったが一致団結して戦い抜いた。オープニングラウンドは全て完封勝ちしたが、スーパーラウンドで韓国とチャイニーズ・タイペイを相手に完封負け。3位決定戦ではインドを10-0と圧倒して銅メダル。日本開催ながら貴重な海外チームとの対戦は、選手にとってかけがえのない経験となったはずだ。

井端監督が兼任するU-15代表はワールドカップで悲願達成

 U-15代表は8月16日から25日まで、南米コロンビアで「第6回 WBSC U-15ワールドカップ」に臨んだ。指揮を執るのはトップチームの井端弘和監督。アンダー世代の育成を重視し、たっての希望で兼任する井端監督の下に集結した20選手は、慣れない異国の地で大活躍した。オープニングラウンドを5戦全勝で勝ち抜くと、スーパーラウンド初戦では韓国に5-6と惜敗。だが、イタリアとニカラグアに連勝して決勝進出を決めると、最後はキューバとの接戦を7-6で制して悲願の初優勝。「バントをせずに打ち勝つ野球」を掲げ、伸び伸びとプレーさせる井端野球が最高の結果をつかんだ。

 毎年、夏の甲子園閉幕直後に国際大会に臨むU-18代表は今年、9月2日から1週間「第13回 BFA U18アジア選手権」(台湾)を戦った。今朝丸裕喜投手(報徳学園高)や宇野真仁朗内野手(早稲田実業高)ら甲子園を沸かせたスターも出場。ライバルがチームメートとなり、結束した。オープニングラウンドでは打線が絶好調で、3試合で計52得点を記録。全勝で進んだスーパーラウンドでは初戦で地元チャイニーズ・タイペイに0-1と惜敗したが、続く韓国戦に勝利し、決勝に駒を進めた。チャイニーズ・タイペイとの再戦となった決勝は、打線が抑え込まれて得点機を生かせず。1-6で敗れ、2大会ぶり6回目の優勝には届かなかった。


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大学代表は2大会制覇、U-23代表は3度目優勝、女子代表は圧巻のV7

 7月に欧州遠征を行った大学代表は見事、2大会制覇を達成した。まず、堀井哲也監督と24人の選手が向かったのはチェコ・プラハ。9チームが参加する「第43回プラハベースボールウィーク」では初出場ながら全勝優勝を飾り、勢いよくオランダ・ハーレムに乗り込んだ。おなじみの「第31回ハーレムベースボールウィーク」には6チームが参加。総当たりのオープニングラウンドで全勝した日本は、チャイニーズ・タイペイとの準決勝に勝利。決勝では米国を相手に10-4と打ち勝って2大会ぶりの優勝を遂げ、欧州遠征を11戦全勝のパーフェクトで締めくくった。

 8月6日から中国で開催された「第5回 WBSC U-23ワールドカップ」には、U-23代表として社会人野球の若手選手が出場。日本はオープニングラウンド初戦でいきなりプエルトリコに敗れたが、2戦目以降は取り直して4勝1敗でスーパーラウンドに駒を進めた。スーパーラウンド最終戦で韓国との接戦を2-1で制した日本は、再びプエルトリコとの対戦となった決勝で5-0の完封勝利。オープニングラウンドの雪辱を果たすと同時に2大会3度目の優勝を飾った。

 女子代表は7月28日からカナダが舞台となった「カーネクスト presents 第9回WBSC女子野球ワールドカップ ファイナルステージ」に出場し、大会7連覇の快挙を遂げた。前年に開催されたグループリーグを勝ち上がった6チームが集結。総当たり戦の結果、上位2チームが決勝進出となる。日本は第2戦でカナダと延長タイブレークにもつれ込み、1点差まで詰め寄られるが辛くも勝利。だが、同じく延長タイブレークとなった第5戦では米国に1点差で逃げ切られ、ワールドカップでの連勝が39で止まった。米国との再戦となった決勝では打線が奮起。終盤に追い上げられたが11-6で勝ってV7を達成。世界のレベルアップを感じる中で意味ある優勝となった。

第3回プレミア12は決勝で敗れ、悔しい銀メダル

 最後を締めるのはトップチームだ。11月9日に開幕した「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に臨んだ井端ジャパンは、若手選手を中心とするフレッシュな陣容。特に森下翔太外野手(阪神)、小園海斗内野手(広島東洋)らを中心とする打線が好調で、オープニングラウンド第3戦チャイニーズ・タイペイ戦こそロースコアとなったが、スーパーラウンドを含む8戦のうち7戦で6得点以上を挙げた。決勝では本大会3度目の顔合わせとなるチャイニーズ・タイペイを前に好調だった打線が沈黙。散発4安打で得点できず、0-4で完封負けという悔しい銀メダルとなった。

 2024年に7つのカテゴリーが戦った国際大会8つのうち5大会で優勝を飾った侍ジャパン。残る3大会も銀メダル2つ、銅メダル1つと、全カテゴリー全大会でメダル獲得となった。優勝が叶わず悔しい結果となったカテゴリーもあるが、日の丸のついたピンストライプを身にまとい、プレーした経験は、侍ジャパンにとっても、個々の選手にとっても未来につながる財産となったはずだ。2025年もまた、侍ジャパン各カテゴリーの熱戦に期待したい。

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