プレミア12連覇ならずも活躍が光った若き侍 井端ジャパンが得た未来への収穫
野球日本代表「侍ジャパン」は11月9日から24日に開催された「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に出場し、惜しくも決勝でチャイニーズ・タイペイに敗れ、準優勝だった。0-4での完封負け。国際大会の連勝は27でストップし、チャイニーズ・タイペイが作る歓喜の輪をナインは呆然とベンチから見届けた。井端弘和監督にとっては就任以来、初めての敗戦。課題も見つかったが、それ以上に収穫も大きかった。
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決勝は大会3度目の対戦となったチャイニーズ・タイペイに完封負け
野球日本代表「侍ジャパン」は11月9日から24日に開催された「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に出場し、惜しくも決勝でチャイニーズ・タイペイに敗れ、準優勝だった。0-4での完封負け。国際大会の連勝は27でストップし、チャイニーズ・タイペイが作る歓喜の輪をナインは呆然とベンチから見届けた。井端弘和監督にとっては就任以来、初めての敗戦。課題も見つかったが、それ以上に収穫も大きかった。
「選手は初戦から今日を含めて9試合、非常によくやってくれたなと思いますし、選手の頑張りでここまで来られたので、最後勝たせられなかったのは私の責任。選手には申し訳ない気持ちでいっぱいです」
24日に行われた決勝戦の後、井端監督は厳しい表情のまま、ナインに謝罪した。オープニングラウンドとスーパーラウンドで2勝したチャイニーズ・タイペイとの対戦だったが、5回に戸郷翔征投手(読売)が2本塁打を浴び、打線も相手投手陣を打ち崩すことができなかった。
オープニングラウンドは投打がかみ合い、4戦全勝でスーパーラウンド進出
岡本和真内野手(読売)、伊藤大海投手(北海道日本ハム)らが“常連組”を怪我で欠く中でも、若手を中心としたフレッシュな面々がオープニングラウンドから力を発揮した。13日にバンテリンドーム ナゴヤが舞台となった初戦の豪州戦では、13安打9得点と打線がつながり、9-3で快勝。先発の井上温大投手(読売)が5回2失点で国際大会初勝利を挙げた。
会場を台湾・台北市に移した後も、侍ジャパンは底力の強さを発揮した。15日の韓国戦に6-3で勝利すると、16日にはチャイニーズ・タイペイと対戦。地元台湾のファンで満員となった台北ドームは地鳴りのような大歓声で、日本にとっては完全アウェーとなったが、初回に森下翔太外野手(阪神)が先制犠飛。投げては才木浩人投手(阪神)が6回途中無失点と好投し、3-1で逃げ切った。
3連勝で迎えた17日には、福岡ソフトバンクのリバン・モイネロ投手や、千葉ロッテや福岡ソフトバンクに所属したアルフレド・デスパイネ外野手ら、NPBに縁のある選手が多いキューバと対戦。点を取り合うシーソーゲームとなったが、8回に栗原陵矢内野手(福岡ソフトバンク)がチームメートのモイネロ投手から犠飛を放って勝負を決めた。翌18日のドミニカ共和国戦にも勝利し、4戦全勝でスーパーラウンド進出を決めた。
スーパーラウンドでは猛打が光るも、決勝では散発の4安打
スーパーラウンドでも初戦で米国に勝利を収めた。相手先発の44歳、リッチ・ヒル投手に4回まで無得点と苦戦したが、5回から猛攻に転じる。小園海斗内野手(広島東洋)が2本塁打を含む3安打7打点と大活躍を見せるなど、9-1で快勝。続く23日のベネズエラ戦でも13安打9得点と打線がつながり、2連勝を収めた。
そして迎えたスーパーラウンド第3戦。相手は今大会2度目の対戦となるチャイニーズ・タイペイだったが、この日の第1試合で米国がベネズエラに勝利したため、試合開始前に日本とチャイニーズ・タイペイの決勝進出が決まった。そこでチャイニーズ・タイペイは先発投手を予定していたリン・ユーミン投手からチェン・ボーチン投手に急遽変更。それでも日本は落ち着いた試合運びで白星をつかみ、7戦全勝で大会2連覇へ弾みをつけた。
だが、決勝ではチャイニーズ・タイペイが温存起用したリン投手が、侍打線の前に立ちはだかった。3回に源田壮亮内野手(埼玉西武)が内野安打を放ったものの、4回まで安打はその1本のみ。5回からはジャン・イー投手、チェン・グァンユウ投手ら元NPB投手に抑え込まれ、日本は散発の4安打で完封負けを喫した
悔しい準優勝も井端監督はナインを称賛「すごく活躍してくれた」
目標としていた大会2連覇は叶わなかったが、今後に向けての収穫もあった。投手陣では藤平尚真投手(東北楽天)や才木投手ら初選出メンバーが躍動。野手でも、捕手部門で坂倉将吾選手(広島東洋)、二塁手部門で小園選手、外野手部門で森下選手がベストナインを受賞するなど、攻守にわたる活躍が光った。
選出された28人のうち30代が2人だけという若きチームで臨んだ今大会。井端監督は「若い選手が多い中で、すごく活躍してくれたと思います」とナインを称えた。その一方で「シーズンを終わった後ですし、うまく使っていかないなといけないという難しさは非常にあった」とも話したが、出場した選手にとっては連覇を逃した悔しさも含め、今後につながる経験になったはずだ。
2025年3月には「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」が開催される。2026年の「WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)まで残り1年となる中で、井端監督はどんなチーム作りを進めていくのか。WBCでの連覇に向けて、侍ジャパンから目が離せなくなりそうだ。
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