U-18代表がアジア選手権で準優勝 悲願の優勝ならずも全力で駆け抜けた1週間

2024.9.16

9月2日から台湾・台北で開催された「第13回 BFA U18アジア選手権」で、野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表は準優勝を果たした。2大会ぶり6度目の優勝を目指したが、あと一歩届かなかった。グループリーグ3試合を圧倒的な強さで通過すると、スーパーラウンドは1勝1敗で決勝へ進出。スーパーラウンド初戦では勝ったチャイニーズ・タイペイとの決勝に1-6で敗れ、銀メダルで幕を閉じた。

写真提供=Getty Images

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2大会ぶり6度目の優勝を目指した「第13回 BFA U18アジア選手権」

 9月2日から台湾・台北で開催された「第13回 BFA U18アジア選手権」で、野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表は準優勝を果たした。2大会ぶり6度目の優勝を目指したが、あと一歩届かなかった。グループリーグ3試合を圧倒的な強さで通過すると、スーパーラウンドは1勝1敗で決勝へ進出。スーパーラウンド初戦では勝ったチャイニーズ・タイペイとの決勝に1-6で敗れ、銀メダルで幕を閉じた。

 今大会には日本の他に開催国のチャイニーズ・タイペイをはじめとする8チームが参加(パキスタンはメンバーがそろわず棄権)。まずは4チームずつのグループリーグを実施し、上位2チームがスーパーラウンドへ進出。上位2チームが決勝を戦う方式となった。

 日本はグループリーグ初戦で香港と対戦。初回に1番の境亮陽外野手(大阪桐蔭高)が右前打で出塁すると、ここから打者10人の猛攻で一挙7点。その後も勢いは止まらず、先発全員安打で19点を挙げた。投げては高尾響投手(広陵高)、藤田琉生投手(東海大相模高)、田崎颯士投手(興南高)が計12三振を奪って、ノーノー継投。5回コールドとなる19-0で初戦を飾った。

 スリランカとの第2戦では、櫻井椿稀投手(鶴岡東高)が「6番・投手兼指名打者」で出場。先発投手が降板後も指名打者でプレーできる「大谷ルール」が適用された。櫻井投手は3回に味方の失策などで大会初失点を許したが、3回を6奪三振1失点にまとめる。打線は4回に徳丸快晴外野手(大阪桐蔭高)、5回に高山裕次郎内野手(健大高崎高)がランニング本塁打を放つなど、大量得点。20-1で5回コールド勝ちを収めた。

 フィリピンとの全勝対決となった第3戦も、打線が初回から爆発した。濱本遥大外野手(広陵高)の適時三塁打で先制すると、打者10人の猛攻で一挙6点。その後も、櫻井選手や宇野真仁朗内野手(早稲田実業高)らに三塁打が飛び出すなど得点を重ねた。投げては間木歩投手(報徳学園高)、坂井遼投手(関東第一高)、田崎投手がノーノー継投。13-0で5回コールド勝利を飾った。日本はオープニングラウンドで全イニング得点、全試合コールド勝ちを記録し、グループBを首位通過した。

チャイニーズ・タイペイ、韓国とのスーパーラウンドは壮絶な投手戦

 休養日を挟んで迎えたスーパーラウンド初戦の相手はチャイニーズ・タイペイ。グループリーグで韓国を倒し、全勝で勝ち上がってきた。試合は壮絶な投手戦となった。日本の先発は左腕の藤田投手。198センチの恵まれた体格から角度のある投球でチャイニーズ・タイペイ打線を5回2死まで無失点に抑えた。

 一方、侍打線は150キロ前後の直球を投げるチャイニーズ・タイペイ投手陣に苦戦し、5回まで無安打。だが6回、山畑真南斗内野手(明徳義塾高)の左前打などで無死一、三塁のチャンスを作ると、濱本選手が初球スクイズを決めて先制。このリードを最後まで守り抜き、1-0で接戦をものにした。

 韓国との対戦となった第2戦は、雷が鳴り、雨が降る中で行われた。今夏の全国高等学校野球選手権大会(甲子園)を制した京都国際高のエース、中崎琉生投手が先発し、走者を背負いながらも5回を無失点に抑えた。だが、打線は150キロを超える韓国投手陣の前に苦戦を強いられる。

 試合が動いたのは6回だった。2番手の坂井投手が二塁打を浴びて1死二塁のピンチを招くと、走者が三盗を試みた際に熊谷俊乃介捕手(関東第一高)が悪送球。外野に球が転がる間に本塁生還を許し、これが決勝点となって敗れた。

 日本は試合には負けたものの、チャイニーズ・タイペイ、韓国と2勝1敗(オープニングラウンドの結果は持ち越し)で並んだため、TQB(得失点率差)により順位を決定。1位・日本と2位・チャイニーズ・タイペイが決勝に進むことになった。


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チャイニーズ・タイペイとの決勝は逆転負け…4選手がベストナインに選出

 決勝戦は雨が降り注ぐ中での開催となった。日本はスーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦では勝ったものの、わずか1安打。この試合も投手戦が予想されたが、試合は初回から動いた。濱本選手が中前打で出塁し、すかさず二盗。さらに三盗まで決めて1死三塁のチャンスを作ると、石塚裕惺内野手(花咲徳栄高)の中前適時打で先制。日本は幸先の良いスタートを切った。

 先発は今朝丸裕喜投手(報徳学園高)。プロ注目の右腕はここまで2試合に登板し、無安打で抑えてきたが、この日は4四死球を与えるなど制球が定まらず。3回には左翼手の頭を越える適時三塁打を許し、同点に追い付つかれる。なおも犠飛で逆転を許し、次打者に四球を与えたところで無念の降板となった。

 その後を継いだ櫻井投手、高尾投手、田崎投手も点を許して計6失点。打線は5回に1死満塁の好機を作るなど10安打で攻め立てたが、あと1本が出ず。2回以降は得点を奪えず、1-6で敗れた。

 それでも、個人タイトルは首位打者を濱本選手、最多打点を徳丸選手、最多得点を高山選手が獲得。ベストナインには熊谷選手(捕手)、宇野選手(一塁手)、濱本選手(外野手)、徳丸選手(外野手)が選出されるなど、個々の能力は高く評価された。

 アジアの頂点にはたどり着けなかった。決して満足いく結果ではなかった。それでも選手たちの顔に涙はなかった。日の丸の重圧を背負いながら全力で駆け抜けた1週間。U-18代表メンバーは高校野球を卒業し、それぞれが新たな世界に向けて一歩を踏み出す。

記事提供=Full-Count
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