女子代表が決勝で雪辱 40連勝を阻止された米国を破り、W杯7連覇の偉業を達成!

2024.8.12

野球日本代表「侍ジャパン」女子代表が偉業を成し遂げた。7月28日から8月4日までカナダ・サンダーベイで開催された「カーネクスト presents 第9回WBSC女子野球ワールドカップ ファイナルステージ」(以下W杯)で優勝し、7連覇を達成した。第5戦で米国に敗れ、W杯での連勝記録は39でストップしたが、決勝では米国を破って雪辱。金メダルを手に、笑顔で日本へ帰国した。

写真提供=Getty Images

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7月28日からカナダで6チームが対決

 野球日本代表「侍ジャパン」女子代表が偉業を成し遂げた。7月28日から8月4日までカナダ・サンダーベイで開催された「カーネクスト presents 第9回WBSC女子野球ワールドカップ ファイナルステージ」(以下W杯)で優勝し、7連覇を達成した。第5戦で米国に敗れ、W杯での連勝記録は39でストップしたが、決勝では米国を破って雪辱。金メダルを手に、笑顔で日本へ帰国した。

 ファイナルステージに参加したのは、昨年8月にカナダ、9月に日本で開催されたグループステージを勝ち上がった6チーム。まずは総当たりのグループラウンドが行われ、上位2チームが決勝を戦う方式となった。

 中島梨紗監督率いる日本は初戦でチャイニーズ・タイペイと対決。2回に三浦伊織外野手(阪神タイガースWomen)が左翼への二塁打で先制点を挙げると、相手失策もあり2点を追加。一気に3点を奪った。だが、3回に失策や四球が重なり、同点に追いつかれた。直後の4回、日本はすぐさま川端友紀内野手と楢岡美和外野手(ともに九州ハニーズ)の3・4番コンビで2点を勝ち越すと、7回まで毎回得点。投手陣は森若菜投手(阪神タイガースWomen)から久保夏葵投手(平成国際大)、秦美勝投手(ZENKO BEAMS)とつなぎ、9-4で勝利した。

開催国・カナダ戦ではタイブレーク制の延長戦へ

 第2戦ではカナダを相手に、かつてにないピンチに立たされた。初回に1点を先制し、4回と6回にも1点ずつを加えた日本だが、6回裏に5回までカナダ打線を1安打に抑える好投を見せていた先発の清水美佑投手(読売ジャイアンツ)が乱調。押し出しや2点タイムリーで同点に追いつかれてしまう。なおも2死満塁の場面で中島監督は秦投手を投入。二塁ゴロに打ち取って同点のまましのぐと、試合はタイブレーク制の延長戦に突入した。

 打順はそのまま無死一、二塁から始まるタイブレークで、日本は相手失策で1点を勝ち越すと、只埜榛奈内野手(東海NEXUS)の2点タイムリーなどで、この回に4点を挙げた。その裏に3点を返されるも、最後は空振り三振でゲームセット。薄氷の勝利を飾った。

 第3戦は、昨年のグループリーグで苦しめられたベネズエラとの対戦。先発したのは、昨年のベネズエラ戦と同じ、田中露朝投手(ZENKO BEAMS)だった。前回は5回4失点と苦しんだ田中投手だったが、この日は初回を3者凡退とすると、落ち着いた投球で三塁を踏ませず。これに打線が呼応し、初回から得点を重ねて、4回終了時で11得点を記録。5回を2番手の土屋愉菜投手(IPU・環太平洋大)が無失点で締めて、5回コールド勝ちを収めた。


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決勝進出を決めて臨んだ米国戦、日本は同点に追いつくも…

 第4戦はパワフルな打線が脅威のメキシコとの対決だったが、久保投手が封じた。2回に四球を与えたものの、4イニングスを投げて被安打は1。5回からは前日に続き、土屋投手が2イニングスを無失点とした。打線は初回に打者8人で4点を先制すると、3回には生井美桜捕手(エイジェック)の左翼線二塁打などで2点を追加。6回には無死満塁から白石美優外野手(大阪体育大)と生井選手の連続タイムリーで4点を加えると、大会規定により6回コールド勝ちが成立し、4連勝の日本は最終戦を残して決勝進出が決まった。

 第5戦で対戦したのは、同じく4連勝で決勝進出を決めている米国だった。試合序盤は投手戦となり、3回を終えて0−0と拮抗した。試合が動いたのは4回。日本は失策と安打で2死一、三塁のピンチを迎える。ここで先発の里綾実投手(埼玉西武ライオンズ・レディース)が3点本塁打を被弾し、リードを許した。だが、3大会連続MVPのレジェンド投手を援護しようと打線が奮起。5回に出口彩香内野手(埼玉西武ライオンズ・レディース)のタイムリーで1点を返すと、6回には白石選手が左中間に同点二塁打を放ち、試合は振り出しに戻った。

 試合は今大会2度目の延長戦へ。マウンド上の3番手・森投手は送りバントと四球で1死満塁とした後、空振り三振で2死目を奪うも、痛恨のボークを宣告されて1失点。最少失点で抑えたものの、これが決勝点となり、日本のW杯連勝記録は39で止まった。

打線が奮起した米国との決勝、世界のレベルアップを感じた今大会

 休養日を挟んで迎えた決勝戦。敗戦から気持ちを切り替え、大会7連覇に全集中する日本は、先発マウンドに立った清水投手が2回を1安打無失点に抑えた。すると3回に打線が奮起する。まずは1死二塁から出口選手の打球を捕った相手右翼手が本塁へ悪送球する間に、二塁走者だった英菜々子捕手(埼玉西武ライオンズ・レディース)が先制ホーム。只埜選手のタイムリー、川端選手の2ラン本塁打で一気に4点を先制した。

 直後に1点を返されたが、日本は4回に3点、5回に4点を追加。10点をリードする5回から5点を返されたが、最終7回は田中投手が走者を背負いながらも無失点で切り抜け、日本は見事、7連覇の偉業を達成した。優勝を決めた瞬間、選手たちは一斉にマウンドを目掛けて走り寄り、大きな歓喜の輪が作られた。球場が大きな拍手に包まれる中、日本1強時代とは違い、世界のレベルアップを肌で感じた大会で掴み取った栄冠を一人一人が噛みしめているようだった。

 大会MVPは全6戦に出場し、打率.563、8打点の活躍をした白石選手が受賞。ベストナインには清水投手(右投手)、英選手(捕手)、白石選手(左翼手)、楢岡選手(右翼手)が選出された。

 今大会では9本塁打が飛び出し、130キロを超える球速を記録する投手が珍しくなかった。女子野球の普及とレベルアップを目指し、世界を牽引してきた日本にとって、各チームの実力が拮抗した大会となったことは喜ばしいことである一方、日本のさらなる成長を促される刺激を受ける場となった。8連覇のかかる次回大会に向け、日本の新たな挑戦が始まる。

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