60年ぶり優勝を目指し磨いた打力 日本通運・添田真海主将「打って勝ちたい」
先輩たちの胸を借りながら、新しい日本通運野球部を創り上げる。今季から主将を務める添田真海内野手は7月19日に開幕する第95回都市対抗野球大会で1964年以来60年ぶりの日本一を目指す。「先輩たちはチームを引っ張ってくださるので、後輩たちを自分が導いていけるように」。入社5年目の27歳は世代の橋渡し役に徹する。
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10年連続49度目の出場となる都市対抗野球大会は7月19日開幕
先輩たちの胸を借りながら、新しい日本通運野球部を創り上げる。今季から主将を務める添田真海内野手は7月19日に開幕する第95回都市対抗野球大会で1964年以来60年ぶりの日本一を目指す。「先輩たちはチームを引っ張ってくださるので、後輩たちを自分が導いていけるように」。入社5年目の27歳は世代の橋渡し役に徹する。
6月6日に行われた都市対抗野球南関東大会第一代表決定戦でJFE東日本に8-4で勝利し、10年連続49度目の出場を決めた。添田選手は「2番・遊撃」で出場し、2打数1安打、3つの四球を選ぶなど、4出塁で勝利に貢献した。3試合で計26得点と打線がつながったが、主将として確かな成長を感じたのは守備の部分だった。
「エラーゼロで3試合を戦うことができたのが一番良かったところかなと思っています。(試合会場だった)県営大宮(球場)は土のグラウンドで『絶対に守備の差は出る』と言ってきたので、そこでいいリズムを作れたのが、成長したなと感じた部分です」
今年1月に稲垣誠也内野手から主将を託された。不安はもちろんあったが、先輩たちの存在が自分の役割を明確にしてくれた。「上の方々が本当にいい緊張感を持たせてくれるので、自分も含め、下の人は自然とついていっています。上が崩れたら組織は崩れていくと思うので。自分は下の世代に対し、経験してきたことなどを伝えられればいいと思っています」。
体重10キロ増で打撃がパワーアップ「自分が打撃の中心になれれば」
言葉数は多くない。後輩たちがついてくるためには結果で示すのが一番効果的だと考える。昨年3月からウエイトトレーニングを中心に体作りを見直し、1年で体重は10キロ増えた。長打力が向上し、昨年12月に台湾・台南などで行われたアジアウインターベースボールリーグではJABA選抜で出場。打率.426、1本塁打、14打点、OPS1.078をマークした他、盗塁数も増えたという。
今年から打順は2番を任されている。明治大時代は4年春のリーグ戦で首位打者を獲得するなどコンタクト能力に定評があり、打率を残すことには自信があった。そのため、1番を務めることが多かった。これまで2番といえば送りバントや盗塁が得意な機動力のある選手が務めてきたが、近年では「2番最強説」が唱えられるなど長打力も求められる。そこで確かな打撃技術にパワーも備わった添田選手が抜擢された。
「2番だからといってやること自体は変わりませんが、『自分が打線の中心になれれば』という思いはあったので。結果的に南関東大会でチームとして打ち勝てたことは良かったです」
社会人野球ならではの短期決戦に魅力「一発勝負の厳しい世界」
栃木・作新学院高では全国高等学校野球選手権大会に3度出場。明治大では4年生だった2019年に森下暢仁投手(現広島東洋)らとともに全日本大学野球選手権大会で日本一に輝いた。プロの世界で活躍する同級生の姿は「毎年、毎年、1軍で好結果を残しているのは刺激になります。自分もプロ野球は好きでよく見るので。一緒にプレーした選手が活躍していると頑張ろうという気持ちになります」と話す。
そして、自身は日本通運で5年目のシーズンを迎えた。長いシーズンを戦うプロとはひと味違う、社会人野球ならではの短期決戦に魅力を感じている。「リーグ戦と違って一発勝負の厳しい世界。負けたら終わりなので本当に焦りますし、緊張しますし……。でも、それが一番の醍醐味だと思います」。1試合に全てを懸ける、ピリッと引き締まった空気感がたまらない。
一発勝負の世界において、日本通運は都市対抗野球大会に10年連続49度目の出場を果たす名門だ。一方で決勝戦に5度進みながら、優勝は1964年から遠ざかっている。昨年も準々決勝でトヨタ自動車に1-5と敗れ、涙を呑んだ。この時、トヨタ自動車は9安打を記録したのに対し、日本通運は3安打。打力で負けたことは分かっていたからこそ、この1年間バットを振ってきた。
「ここ数年、投手に頼りっぱなしだったので、打って勝ちたいです。本当にみんな練習してきたので。野手で勝てるチームにしたい」
社会人野球は、企業が一丸となって戦うスポーツでもある。どのチームも東京ドームには多くの社員が詰めかけ大応援団を結成し、割れんばかりの声援を送る。「会社を背負っていますから。あとは勝つためにやってきたことを(東京ドームで)発揮するだけだと思います」。60年ぶりの黒獅子旗を、主将自らのバットで手繰り寄せる。
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