侍ジャパンで3つのカテゴリーを経験 成田翔が実感する「人との縁の大切さ」
千葉ロッテ、東京ヤクルトで計8年間プレーし、今季から社会人チームの全川崎クラブに所属する成田翔投手は、3つのカテゴリーで野球日本代表「侍ジャパン」を経験した。2018年の「第2回 WBSC U-23ワールドカップ」では準優勝に貢献して、救援投手のベストナインを獲得。日の丸を背負って得た“縁”は、自身にとってかけがえのないものとなっている。
写真提供=Full-Count
8シーズン過ごしたプロを離れ、今季から社会人チーム・全川崎クラブに所属
千葉ロッテ、東京ヤクルトで計8年間プレーし、今季から社会人チームの全川崎クラブに所属する成田翔投手は、3つのカテゴリーで野球日本代表「侍ジャパン」を経験した。2018年の「第2回 WBSC U-23ワールドカップ」では準優勝に貢献して、救援投手のベストナインを獲得。日の丸を背負って得た“縁”は、自身にとってかけがえのないものとなっている。
2015年のドラフト会議(新人選手選択会議)で3位指名を受け、秋田商業高から千葉ロッテに入団。2年目だった2017年に1軍デビューを果たし、4試合に登板した。そして2018年、U-23代表に選ばれ、プロとして初めて日本代表のユニホームに袖を通すことになった。「選ばれた時は『マジか』と思いました。正直、まさかだったので。でも、ありがたいことだなと(思います)」と振り返る。
しかし、「開催地には『嘘だろ』と思いました」というのは本音だろう。舞台はコロンビア共和国。南米大陸の北西に位置する国では、日本での恵まれた日常とはかけ離れた“非日常”が待っていた。
「一番苦労したのは食事とバス移動でした。日本のスタッフの方が味噌汁などを持っていってくださったので何とかなりましたが、なければきつかったなと。移動のバスには警官が乗っている。日本人なので狙われやすいということで。僕らもドキドキですよね。後ろからバイクが何台も付いてくるくらいでしたし、怖かったです。ホテルにいる時は、外から物騒な物音も聞こえました。環境は全然恵まれていなかったですけど、今思えば、今後経験しないようないい経験でした。どれだけ日本がいい国かというのも分かりました」
U-23W杯では決勝で負け投手になるもベストナイン選出「自信になりました」
大会では、欠かせない救援として立ち位置を築いた。決勝のメキシコ戦には、0-0の9回から2番手で登板。先頭打者に四球を与えながら無失点で切り抜けたが、回またぎで登板した延長10回(タイブレーク方式)に2失点を喫して敗戦投手となった。頂点にはあと一歩届かなかったが、「決勝の大事なところで投げさせてもらって、回をまたがせてもらって、打たれたことは悔しかったですけど、いい機会を与えてもらったなと思っています。自信になりました。稲葉さんと建山さんにいい感じに使っていただき、『ありがとうございます』という感じです」と頷く。
トップチームでも指揮を執っていた稲葉篤紀監督、建山義紀投手コーチの前で成功したアピールは、その後の運命をも大きく動かした。同年秋、千葉ロッテの鴨川キャンプに参加中に1本の電話が鳴った。
「U-23の時に『侍ジャパンに興味あるか』と聞かれて、その時は何を言っているんだろうという感じでした。でも、建山さんから電話が来て『本当に興味があるなら推薦しようと思う』と言われたんです。どうせなら経験したい、トップチームでやりたいという気持ちがあったので『お願いします』と言いました」
その結果、故障により出場辞退した石川柊太投手(福岡ソフトバンク)に代わる追加招集で「2018日米野球」出場メンバーに選出された。初のトップチーム入りで、実績ある選手たちとの時間は収穫だらけだった。「キャッチボールも色々な方とやらせてもらって、やはり全然違いました。松井裕樹さん(現サンディエゴ・パドレス)に教えてもらったり、一番年下だったので皆さんに可愛がっていただいて、こんな豪華なメンバーの中に僕がいていいのかなって思っていました」と笑った。
侍ジャパンで3つのカテゴリーを経験「色々な場所で色々なチームの方と交流できた」
秋田商業高時代の2015年には「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」にU-18代表として出場した。3カテゴリーで日の丸を背負い、実感したのは「人との縁の大切さじゃないですかね」と話す。
「色々な場所で色々なチームの方と交流できた。どこに行っても声を掛けてもらったり、自分から掛けたり、普通はあまりないと思うんです。覚えてもらっているんだな、というのも嬉しいですし、その縁が一番自分にとって大きいかなと思います。全部(のカテゴリー)を経験した方もあまりいないと思うので、自慢というか、今度なんかあった時に言えるなって(笑)」
2022年オフに現役ドラフトで東京ヤクルトへ移籍したが、昨季限りで戦力外となり、NPBを去った。今季からは全川崎クラブで、次なる戦いをスタートさせた成田投手。胸に宿る誇りと“縁”を大切に、26歳から新たな挑戦に臨む。
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