初陣・井端ジャパンで若き侍たちが躍動 アジチャン2連覇達成 3月には欧州代表戦

2023.11.27

11月16日から4日間、東京ドームを舞台に「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」が開催された。若手選手を中心に構成された野球日本代表「侍ジャパン」は4勝全勝で大会2連覇。就任まもない井端弘和監督の初陣を飾った。

写真提供=Full-Count

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参加資格は24歳以下または入団3年目以内、OA枠は29歳以下で3名

 11月16日から4日間、東京ドームを舞台に「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」が開催された。若手選手を中心に構成された野球日本代表「侍ジャパン」は4勝全勝で大会2連覇。就任まもない井端弘和監督の初陣を飾った。

 韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、日本の4チームが参加した本大会。オーバーエイジ(OA)枠として29歳以下の3選手の登録が認められるが、基本的な参加資格は24歳以下または入団3年目以内という若手選手が切磋琢磨する舞台となった。

 日本はOA枠で今井達也投手(埼玉西武)、田口麗斗投手(東京ヤクルト)、坂倉将吾捕手(広島東洋)を選出。また、3月の「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)優勝メンバーから唯一選出された牧秀悟内野手(横浜DeNA)がキャプテン的存在となり、若いチームを盛り立てた。

予選リーグ第2戦では万波がバックスリーン弾「140点満点です」

 16日に行われた予選リーグ初戦のチャイニーズ・タイペイ戦は、先発マウンドに上がった赤星優志投手(読売)が4回2/3を投げて3安打無失点の好投を披露。140キロ中盤の伸びのあるストレートを軸に多才な変化球を織り交ぜながら、的を絞らせない投球で相手打線を圧倒した。マウンドを継いだリリーフ陣も4投手が無失点リレー。井端監督は「台湾打者もかなり粘っていたけれど、根負けしないように投げくれたというところでは素晴らしかった」と称えた。

 打線は最速157キロを誇る相手先発に苦戦したが7回、1死走者なしの場面で打席に立った森下翔太外野手(阪神)が左中間スタンドへソロ弾を運んで先制に成功。9回にも3点を加えた日本は4-0の完封勝利で白星スタートを切った。

 続く第2戦は韓国と対戦。日本は3回に2四球と安打で無死満塁の絶好機を迎えると、牧選手が遊ゴロ併殺に倒れる間に三塁走者だった岡林勇希外野手(中日)が先制ホーム。さらに4回、先頭で打席に入った万波中正外野手(北海道日本ハム)がバックスクリーンに飛び込む豪快弾で1点を追加。「140点満点です」と自己採点する代表初アーチで投手陣を援護した。

 投げては先発左腕の隅田知一郎投手(埼玉西武)が7回3安打無失点と快投した。9回に3番手の田口投手がソロ弾を許すまで、日本は17イニング連続無失点を記録。2-1と競り勝って、2連勝で決勝進出を決めた。

 ナイター明けのデーゲームという国際大会ならではのスケジュールで迎えた第3戦はオーストラリアと対戦した。日本は投打のかみ合った試合運びでオーストラリアを圧倒。先発を任された早川隆久投手(東北楽天)は、5回を投げて無安打無四球無得点のパーフェクト投球でオーストラリア打線を封じた。

 この日は打線が爆発した。前日までの2戦でクリーンナップを打っていた森下選手と牧選手が先発から外れ、小園海斗内野手(広島東洋)と藤原恭大外野手(千葉ロッテ)がスタメン入り。3番に抜擢された小園選手が初回に先制タイムリーを放つと、1番を任された藤原選手は3安打2打点と起用に応えた。日本は8回までに13安打10得点を記録し、8回コールド勝利を飾り、決勝に弾みをつけた。


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接戦となった決勝戦は延長へ突入、タイブレークで井端監督の采配がピタリ

 再び韓国と対峙した決勝戦は、その名にふさわしい接戦となった。日本はOA枠の出場となった今井投手が先発。3回に2点を先制され、日本は今大会初めて追う展開を迎えた。ここから無失点で粘ると、5回に牧選手が左翼席へソロアーチ。6回には佐藤輝明内野手(阪神)の犠牲フライで同点に追いついた。

 試合は2-2のまま、ついに延長戦へと突入する。今大会では無死一、二塁から攻撃が始まるタイブレーク方式を採用。10回表に韓国に1点を許した日本だが、その裏の攻撃では井端監督の采配が冴えた。

 無視一、二塁から打席に立ったのは、今大会は打率.455と絶好調だった森下選手の代打、古賀悠斗捕手(埼玉西武)だった。今季17犠打をマークする古賀選手がきっちり送りバント。牧選手が敬遠で1死満塁としたところで、坂倉選手がセンターへ犠牲フライを放って同点。万波選手が敬遠で、日本は再び満塁の大チャンスを迎えた。

 打席へ向かおうとする門脇誠内野手(読売)を呼び止めた井端監督は「いつも通りに入れ」と耳打ち。力が入る場面だったが冷静さを取り戻した門脇選手が1ボールからの2球目を振り抜くと、打球は左翼へ抜けるサヨナラ打となった。劇的な勝利を決めた日本は2大会連続優勝、大会MVPはサヨナラ殊勲の門脇選手が受賞した。

2024年は3月に欧州代表戦、11月にプレミア12を予定「1人でも多く」

 初陣を飾った井端監督は「ホッとしています。選手の頑張りで勝つことができたので、選手に感謝しています」と選手を称えた。同時に、トップチーム初選出がほとんどという若手選手ばかりではあったが、粘り強さや勝負強さを発揮。直前に行われた「侍ジャパン 宮崎秋季キャンプ2023」からの期間を通じて、選手の成長を感じる機会も多かったようで「選手たちはこの大会を通じて、国際試合の難しさを経験できた点で非常に成長できたと思います」と頷いた。

 来年3月には「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2024 日本vs欧州代表」が行われ、11月には「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」が開催される予定。年齢制限のないフル代表となるが、井端監督は「1人でも多く侍ジャパンに入ってくれることを願っています」と期待を寄せた。

 優勝という最高の形で船出を切った井端ジャパン。2024年にはどのような進化を遂げるのか。まずは3月の「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2024 日本vs欧州代表」を心待ちにしたい。

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