「見本になる行動を」と監督公募に立候補 U-15代表・今山監督が目指すアジア3連覇

2023.8.14

8月20日から1週間の日程で開催される「第11回BFA U15アジア選手権」。中国・威海市が舞台となる大会で指揮を執るのは今山和之監督(宇都宮ポニーベースボールクラブ)だ。大会に向けて「選手とコーチとどんな野球ができるか楽しみ」と話す監督に、目指すチームの方向性や精鋭18人の代表選手たちへの思いについて聞いた。

写真提供=Full-Count

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8月20日から中国・威海市で「第11回BFA U15アジア選手権」を開催

 8月20日から1週間の日程で開催される「第11回BFA U15アジア選手権」。中国・威海市が舞台となる大会で指揮を執るのは今山和之監督(宇都宮ポニーベースボールクラブ)だ。大会に向けて「選手とコーチとどんな野球ができるか楽しみ」と話す監督に、目指すチームの方向性や精鋭18人の代表選手たちへの思いについて聞いた。

 前回大会までは中学軟式野球の選手が参加していたが、今大会から使用球が硬式球となったため、中学硬式野球5連盟(※)に所属する選手が代表の対象となった。これに伴い、代表監督も中学硬式野球5連盟の指導者から公募。「日頃から中学生に対して、学校生活でも野球でもどんどん積極的に行動して、自分から進んで学ぶよう伝えている」という今山監督は「大人も言うだけではなく、見本になるよう行動しないと」と思い立ち、エントリーした。書類審査、面談を経て、監督就任の知らせが届いた時には、改めて「よし、挑戦しよう!」というワクワク感が沸いてきたという。

 就任後、福永広海コーチ(ヤング鹿児島ジャイアンツ)、小川寛木コーチ(Trust愛知ヤング)、伊藤翔大コーチ(湘南平塚北リトルシニア)とまず取り組んだのが、選手選考だ。「侍ジャパンU-15代表全日本合同トライアウト~デジタルチャレンジ~」の応募者数は349人。4人で手分けをして送られてきた動画とエントリーシートを隈なくチェックし、最終トライアウトに進む33人を決めた。

最終選考では「スピードとバランス」「コミュニケーション能力」を重視

 6月24日に埼玉県で開催された最終トライアウトでは、午前中に面談を行い、午後に実技をチェック。この時の選考ポイントは「スピードとバランス」、そして「コミュニケーション能力」だったという。

「野球に特化したポイントとしては、スピードとバランス。例えば、打つ、投げる、走る、捕るという運動動作において、やはりスピードは大切。かつ、フィジカル面では、中学生はまだ体が出来上がっていないのでバランスに注目しました。もう1つ、面談ではコミュニケーション能力を見ました。中学生なりにどれだけ対話できるか。聞く、話す、伝える力、そして理解する力は短期間の大会では大切ですし、グラウンドでのプレーにも繋がってくる。社会に出てからも必要な力ですから」

 コーチ陣と頭を悩ませながら選んだ代表18選手。投手は球速140キロに近いスピードボールと自信のある変化球を持つ選手、野手はスイング・足・送球の速さを持ちながら投手もできる選手を中心に選んだ。8月15日から始まる事前合宿と練習試合での様子を見ながらラインナップを固めていくが、一人ひとりの個性を見ながら、大会を通じてチームとして大きく成長するイメージを持っている。

「海外で開催される大会で短期決戦。選手は侍ジャパンのユニホームを着るドキドキ感もあるでしょう。大前提として、目指すはアジアの頂点です。ただ、いきなり普段とは違う大きなことをするのではなく、まずは自分たちの持ち味を生かした野球をして、成功したら少し大きなことに挑戦しながら、可能性を広げていけばいいと思っています」

選手たちに実践してほしいスポーツマンシップ

 海外の同世代と対戦できる国際大会は、選手たちの技術を磨く貴重な経験になるだろう。同時に、この経験を人として大きく成長する糧にしてほしいと考えている。

「子どもたちもそれぞれ、自分が考えるスポーツマンシップというものがあると思います。なので、大会を通じて、自分の考えるスポーツマンシップを実践してほしいですね。そうすることで何か得ることがありますから。15日の結団式では、本当に貴重な経験ができるのだから、漠然と臨むのではなく、野球以外の部分も意識して学んでほしいと伝える予定です」

 わずか1週間の短期決戦。気が付けば大会が終わっていた、ということにもなりかねない。だからこそ、事前合宿では選手に意識するべきことを伝え、“予習”の大切さを伝えていく。

「自分で考えた通りのことが起きたり、プレーができたりすると、本当に素直に『よっしゃ!』と思える。そのためには予習や準備が大切になります。国や地域を代表する者同士の試合ということで、日頃は味わえないゲームをしますが、勝って奢らず、負けて腐らず。どういう結果になろうとも、正々堂々とスタートして、正々堂々とフィニッシュを迎える。この気持ちは高校生になっても必ず大切になると思います。密度があって、質の高い時間になるでしょう。もしかしたら喜びだけではなく、辛く厳しいこともあるかもしれない。ただ、それが本当の学習ではないかと考えています」

攻める野球で目指すアジアの頂点「今は本当に楽しみ」

 もちろん、監督やコーチも準備が大切。そこで事前合宿から一枚岩で臨むべく、先日オンラインミーティングを開催して約1時間、忌憚のない意見交換を行ったという。

「ベンチワークとして一緒の方向を見て足並みを揃えようとミーティングをしました。私のやりたい野球の形があれば、それぞれのコーチにも目指す野球の形がある。そこに議論があるのは当たり前で、修正を重ねながら全員の方向性を合わせていこうと。ただ、今回は私が50代で、コーチは20代、30代、40代が集まったものの、それぞれ考える方向性は大きくズレてはいませんでした。有意義な話し合いになりました」

 日本は中国、パキスタン、香港と同じグループAとなり、20日の初戦は香港と対戦する。オープニングラウンドの上位2チームがスーパーラウンドに進み、その結果、1位と2位になったチームが決勝戦を行う。侍ジャパンの一員として目指すゴールは、もちろん1つだ。

「侍ジャパンはどのカテゴリーも世界一を目指しているのだから、我々も当然その思いと責任感は持つべきですし、そこを大前提として戦いたいと思います。今回は大会3連覇が掛かっているので、攻める野球で3連覇に挑戦してきます。みんなでどんな野球ができるのか、今は本当に楽しみです」

 大会を通じて、代表18選手はどのような成長を遂げるのか。大会3連覇の吉報と一緒に、一回りも二回りも大きくなった姿で帰国することを心待ちにしたい。

※日本リトルシニア中学硬式野球協会、日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)、全日本少年硬式野球連盟(ヤングリーグ)、日本ポニーベースボール協会、九州硬式少年野球協会(フレッシュリーグ)

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