侍ジャパンU-15代表を救う好守に貴重な適時打 田口夢人が秘める世界一への思い

2016.8.7

6日に行われた「第3回 WBSC U-15 ベースボールワールドカップ in いわき」のスーパーラウンド3戦目。日本はパナマに2-1で勝利。最後の一打同点のピンチをしのいだのは貴重な適時打を放った田口夢人だった。

写真提供=Getty Images

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約束の世界一へあと1勝

 6日に行われた「第3回 WBSC U-15 ベースボールワールドカップ in いわき」のスーパーラウンド3戦目。日本はパナマに2-1で勝利。最後の一打同点のピンチをしのいだのは貴重な適時打を放った田口夢人だった。

 2-1と日本のリードはわずかに1点。そんな9回、1死二、三塁の一打同点のピンチでも田口の心はいつもと変わらなかった。「いつ打球が来ても大丈夫!」。パナマの4番・アグラサルが日本の3番手・増木武寛の4球目の変化球をとらえた。ライトに抜けたかと思われた鋭い打球だったが、素早く反応した田口がボールに飛びついてキャッチ。すぐに立ち上がり、ホームへの送球体勢をとったが、三塁走者はスタートしていなかったため、一塁に送球して2アウト目を取った。

 それでもまだ、2死二、三塁。5番のJ・ゴンサレスは初球を打ってきた。打球はまたしてもライト方向へ。バウンドが大きく跳ねたが、田口はグラブを出して倒れこみながら頭の上での捕球。即座に一塁へ送球し、ゲームセットとなった。「今日、勝って、いい流れで決勝戦に行きたかった。絶対に点は与えないという気持ちがプレーに出たと思う」と胸を張った。

 5日のアメリカ戦では2-2で迎えた8回、1死一塁でショート・近藤大樹からの送球を受け、一塁に転送する際、走者のスライディングが激しかったこともあり、悪送球となってしまった。この走者が決勝点のホームを踏んだため、「自分の送球ミスとかもあって相手に点数が入ってしまって、本当に悔しかった。今日もスタメンで出してもらい、今日こそはしっかりと自分の持ち味である守備で貢献しようと思いました」と燃えていた。父・一智さんによれば、スマートフォンのメッセージに「ごめん。オレのせいで負けた」と書き込んでいたそうで、この試合に懸ける思いは強かった。

 攻撃では2回の2死二、三塁でライト前にタイムリーヒット。これが結果的に日本を決勝に導く得点となった。「ストレートが結構、速かったのでしっかりミートしていこうと思った時に変化球が来た。そこでしっかりとタメを作って、逆方向に打てたので、いいバッティングだったなと思う」と納得の一打だった。

 試合前の“儀式”である「ラッキーボーイ」では、「みんなに『やれ、やれ』と言われて」と真ん中に出てきて手足を上げて踊っている。チームメイトも笑顔になり、リラックスして試合に臨めている。田口本人は「あれを踊っているので、いいプレーができたと思います」とおどけてみせた。

 所属する栃木下野リトルシニアは、5日に行われた第44回リトルシニア日本選手権大会の決勝戦で横浜緑シニアを6-1で下して初優勝した。日本選手権とワールドカップは日程が重なっていたため、栃木下野リトルシニアのチームメイトは日本一になることを、田口は世界一になることを約束してきた。「今日、いいプレーをしたので調子に乗らないで、明日もいいプレーをできるようにゆっくり寝ます。みんなで世界一を獲れるように頑張ります」。栃木下野リトルシニアは一足早く、日本一を達成。次は田口が世界一の約束を守る番だ。

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