3大会ぶりの世界一奪還に必要な“打てる捕手” 森友哉に寄せられるWBC初出場の期待
野球日本代表「侍ジャパン」に待望の“打てる捕手”が加わるかもしれない。3大会ぶりの世界一奪還を目指し、2023年3月9日から始まる「ワールド・ベースボール・クラシック™」(WBC)。メジャー組も参加を表明する中、注目を集めているのが、埼玉西武からFA(フリーエージェント)でオリックスに移籍した森友哉捕手だ。
写真提供=Full-Count
11月の強化試合では持ち前の長打力で期待に応える活躍を披露
野球日本代表「侍ジャパン」に待望の“打てる捕手”が加わるかもしれない。3大会ぶりの世界一奪還を目指し、2023年3月9日から始まる「ワールド・ベースボール・クラシック™」(WBC)。メジャー組も参加を表明する中、注目を集めているのが、埼玉西武からFA(フリーエージェント)でオリックスに移籍した森友哉捕手だ。
11月に行われた「侍ジャパンシリーズ2022」。初戦となった北海道日本ハム戦に「6番・捕手」としてスタメン出場すると、4回に右翼席上段へ特大の逆転2ランを放ち、持ち前の長打力をアピール。2018年の日米野球以来、4年ぶりとなる日本代表のユニホームを身にまとった森捕手は「ほっとしてます。打てたし、勝つことができた」と、チームの勝利に安堵の表情を見せていた。
大阪桐蔭高時代には2年生と3年生の時に高校日本代表に選出され、2年連続でベストナインにあたるオールスターチームの捕手部門に選ばれた。プロ入り後は1年目から1軍で活躍し、2年目からは正捕手の座を獲得。パ・リーグを代表する捕手に成長したが、意外にも侍ジャパントップチームでの国際大会出場はない。
2015年には「第1回 WBSC プレミア12」の候補選手に選ばれたが最終選考で漏れ、2017年の「第4回WBC」では直前の強化試合で左肘を骨折して辞退している。WBC連覇を果たした過去のチームには里崎智也氏(元千葉ロッテ)、城島健司氏(元福岡ソフトバンク、阪神など)らが在籍しており、“打てる捕手”は日本にとって補強ポイントの一つだった。
栗山監督は絶大な信頼「攻撃的なことを考えたら最高の捕手」
今季の森捕手は4月に右手を骨折した影響もあり、102試合出場で打率.252、8本塁打、38打点と目立った成績を残すことはできなかったが、栗山英樹監督は「攻撃的なことを考えたら最高の捕手」と絶大な信頼を寄せている。
今オフはFA権を行使し、9年を過ごした埼玉西武から地元・大阪を本拠地とするオリックスに移籍。背番号にもこだわりを見せ、西武時代の「10」から「4」に変更。「ずっと憧れていた」と、今季限りで引退した“メジャー最高捕手”ヤディアー・モリーナ氏(セントルイス・カージナルス)と同じ番号を選んだ。
新天地では攻守で活躍し、リーグ3連覇、2年連続日本一に貢献することが求められる。獲得を熱望し、交渉の席にもついた福良淳一ゼネラルマネジャー(GM)は「打つ方は皆さん知っていると思うけれど、守りの方でも今年、ウチはだいぶ苦しめられた。そういうところに期待しています」と、守備への期待も口にした。
新天地・オリックスでの春季キャンプと代表合宿が重なり「めちゃくちゃ難しい」
オリックスと結んだ4年総額18億円(金額は推定)という大型契約から、森捕手に寄せられる期待の高さがうかがえる。それだけに森捕手自身も「めちゃくちゃ難しいですね。日本代表でプレーしたい想いはありますが、2月、3月は大事な時期。シーズンを100%で迎えることができるのかという不安も、正直あります」と頭を悩ませている。
森捕手にとってWBC出場は悲願ではあるが、移籍したばかりのオリックスで信頼を得ることも必要だ。2月から始まる春季キャンプでオリックスが誇る12球団随一の投手陣とコミュニケーションを図ることになるが、侍ジャパンに選出されれば2月17日からの強化合宿に向かうため、チームで過ごす時間は短くなってしまう。
一方、今回のWBCにはメジャーから大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)、ダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)が出場を表明。この2枚看板に加え、NPBからはオリックスの山本由伸投手、千葉ロッテの佐々木朗希投手らが有力候補に挙がっている。今、日本を代表する“史上最強”の投手陣をリードすることになれば捕手冥利に尽きるであろうし、何物にも代えがたい経験となるはずだ。
プロ通算926試合に出場し、打率.289、102本塁打、449打点。2019年には首位打者とパ・リーグ最優秀選手賞に輝き、3度のベストナイン選出と、ここまで文句ない成績を残す森捕手。新天地で期するさらなる活躍と、日の丸を背負う覚悟――。2023年は野球人生における大きなターニングポイントになるかもしれない。
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