高校では「悔しさ」大学では「自信」 広島東洋・宇草の転機となった日本代表

2022.6.27

何もできず悔しさしかなかった高校時代、その想いを胸に主力としてグラウンドを駆け回った大学時代。広島東洋・宇草孔基外野手は、日の丸のユニホームに袖を通した日々を「あの経験がプロを目指すきっかけになった」と振り返る。

写真提供=Full-Count

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高校3年夏に驚きの代表入り「正直、選ばれることはないだろうと」

 何もできず悔しさしかなかった高校時代、その想いを胸に主力としてグラウンドを駆け回った大学時代。広島東洋・宇草孔基外野手は、日の丸のユニホームに袖を通した日々を「あの経験がプロを目指すきっかけになった」と振り返る。

 宇草選手が初めて日本代表に選出されたのは、2015年8月に開催された「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」だった。常総学院高の主力として活躍し、3年春には第87回選抜高等学校野球大会で準々決勝まで進んだが、同年夏の甲子園出場は逃していた。

「(代表入りは)本当に驚きしかなかった。夏の甲子園に出られなかったので正直、選ばれることはないだろうと思っていました。周りは甲子園で活躍した選手ばかりで、凄く自信を持っていて勢いがあったのを覚えています」

スター揃いのチームは準優勝も「いい思い出は1つもなかったです」

 日本が舞台となった世界大会では、小笠原慎之介投手(現中日)、森下暢仁投手(現広島東洋)、清宮幸太郎内野手(現北海道日本ハム)、オコエ瑠偉外野手(現東北楽天)ら、甲子園を沸かせたスターたちがメンバーに名を連ねた。甲子園球場で行われた決勝で、日本は米国に1-2と惜敗。世界一こそ逃したが、大会期間中は躍動感あふれるプレーに多くの野球ファンが熱狂した。

 そんな中、宇草選手の主な役割は代走や守備固めで、計7試合に出場したが1安打に終わった。決勝で出場機会はなく、ベンチから声援を送るしかなかった。

「正直、いい思い出は1つもなかったです。全てが実力不足で、凄く悔しい思いをした。大学では絶対に力をつけてプロに行く。(そう思わせてくれた)この経験は僕の中で大きかったです」

悔しさをバネに大学で奮起 4年時に出場した日米大学野球で打線を牽引

 その後、法政大学に進学すると、悔しさを糧に猛練習に励んだ。3年秋にレギュラーの座を掴むと、4年時の2019年に「第43回日米大学野球選手権大会」に向けた大学代表に選出。4年ぶりに代表ユニホームを身にまとい、国際大会を戦った。

 日本で5球場を転戦した大会では、主に1番打者として全5試合にスタメン出場すると、18打数6安打、打率.333の好成績で打線を牽引。日本は3勝2敗で勝ち越し、3大会ぶり19度目の優勝を果たした。

「短期決戦の中で必要なことは、ドンドン攻めていく姿勢。生田勉監督(亜細亜大監督)の存在も大きかった。結果に一喜一憂しないように意識してプレーしていたことを褒めてくれました。『今までやってきたことは間違いじゃなかった』と実感した瞬間でした」

プロ3年目の今季は開幕1軍入り「打たないと試合に出られない」

 高校時代の悔しさをバネに大学で飛躍的な成長を遂げ、実力と自信を手にした宇草選手は、同年秋の新人選手選択会議(ドラフト)で広島東洋から2位指名を受けて入団。プロ1年目に1軍デビューを飾ると、2年目だった昨季は43試合に出場し、打率.291、4本塁打14打点をマーク。3年目の今季は開幕1軍入りを果たすなど、プロの世界でも着実に力をつけている。

「全ての部分で、まだまだ課題だらけ。その中でも、自分は外野手なので打たないと試合に出られない。長所を伸ばして勝負できるように頑張っていきたいと思います」

 高校時代に経験した日本代表で自身の現状を見つめ直し、プロへの扉をこじ開けた宇草選手。高い壁を何度も乗り越えてきた男は、広島東洋でも俊足、巧打を生かしながら、レギュラーの座を掴み取る。

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