ドラフトを賑わせた侍ジャパン経験者たち 国際舞台の経験を糧にプロへの切符

2021.10.18

NPBではセ・パ両リーグともに熾烈な優勝争いが繰り広げられているが、その只中にある10月11日、都内ホテルで行われたのが2021年度新人選手選択会議、いわゆるドラフト会議だった。この日、支配下選手として77人、育成選手として51人が名前を呼ばれ、プロへの切符を手に入れた。

写真提供=Getty Images

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11日のドラフト会議で支配下77人、育成51人が指名受ける

 NPBではセ・パ両リーグともに熾烈な優勝争いが繰り広げられているが、その只中にある10月11日、都内ホテルで行われたのが2021年度新人選手選択会議、いわゆるドラフト会議だった。この日、支配下選手として77人、育成選手として51人が名前を呼ばれ、プロへの切符を手に入れた。

 指名された選手の中には、野球日本代表「侍ジャパン」経験者も多い。侍ジャパンにはトップチームのほかにも、U-12(12歳以下)、U-15(15歳以下)、U-18(18歳以下)、大学、U-23(23歳以下)、社会人、女子と8つのカテゴリーが存在する。2013年に全カテゴリーが常設化されて以来、各カテゴリーで侍ジャパン入りを果たし、トップチームと同じデザインのユニホームで戦うことが、幅広い世代の選手たちにとってモチベーションともなってきた。ここでは、今年ドラフト指名を受けた選手の中から、主な代表経験者を紹介したい。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年から軒並み国際大会が中止・延期となっているため、侍ジャパンではほとんどのカテゴリーで活動が一時休止。昨年に続き今年も日米大学野球選手権大会やWBSC U-18ベースボールワールドカップが開催されず、代表招集が見送られたため、例年よりも侍ジャパン経験者は少ない。その中でも、ドラフト1位&2位指名の24選手のうち5選手が、縦縞のユニホームを身にまとった。

東京ヤクルト1位の山下投手はU-18代表としてワールドカップを経験

 東京ヤクルトに1位指名された山下輝投手(法政大学)は、木更津総合高3年時の2017年に「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場。オープニングラウンド第3戦のキューバ戦に先発した左腕は、5回1/3を2失点で勝ち星を挙げるなど2試合に登板した。

 この大会で同じく先発投手として存在感を光らせたのが、横浜DeNAに2位指名された徳山壮磨投手(早稲田大学)だ。初戦のメキシコ戦では7回1失点の好投で白星を挙げると、第4戦のオランダ戦でも5回1失点で勝ち投手。スーパーラウンド第2戦のカナダ戦も合わせ、3試合で先発マウンドを任された。

 そのほか、東京ヤクルト2位指名の丸山和郁外野手(明治大学)、埼玉西武3位指名の古賀悠斗捕手(中央大学)、横浜DeNA4位指名の三浦銀二投手(法政大学)が同大会に出場。古賀選手と丸山選手はほぼ全試合で先発出場するレギュラー核として攻守で貢献。三浦投手は3位決定戦のカナダ戦で7回3安打12奪三振無失点の快投でチームを勝利に導くなど2勝を挙げた。

 読売から2位指名された山田龍聖投手(JR東日本)は、高岡商業高3年時の2018年に「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場。第2戦のスリランカ戦で2番手としてマウンドに上がり、2回を無失点に抑えた。

埼玉西武2位の佐藤投手と東京ヤクルト2位の丸山選手は大学代表でプレー

 今回、国立大学から唯一指名された埼玉西武ドラフト2位の佐藤隼輔投手(筑波大学)は、大学2年時の2019年に代表入りし、「第43回日米大学野球選手権大会」に出場。2年生ながら中継ぎとして全5戦に登板し、計6回を投げて1失点(自責0)の好投で、3大会ぶり19回目の優勝に貢献した。この大会には東京ヤクルト2位指名の丸山選手も2年生で選出され、3度のスタメンを含む全5戦に出場した。

 大学代表では、2018年に開催された「第29回ハーレムベースボールウィーク」と「第42回日米大学野球選手権大会」に、北海道日本ハム9位指名の上川畑大悟内野手(NTT東日本)が出場。当時、日本大学4年だった上川畑選手は守備力が評価され、二塁手としてオランダから米国へ続く長期遠征に参加した。

 U-18代表では、阪神から6位指名された豊田寛外野手(日立製作所)は2015年の「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場。この年の夏、4番打者として東海大相模高を甲子園優勝に導いた強打者は、初戦のブラジル戦で清宮幸太郎内野手(現北海道日本ハム)に続く5番打者として2安打1打点を記録するなど3試合でプレーした。

U-15代表経験者もプロ入り、オリックス5位の池田選手は4番打者で活躍

 U-15代表経験者も指名された。2018年にパナマで開催された「第4回 WBSC U-15ワールドカップ」に出場したのが、オリックス5位指名の池田陵真外野手(大阪桐蔭高)と北海道日本ハム5位指名の畔柳亨丞投手(中京大中京高)の2人だ。池田選手は全9戦のうち8戦で4番打者を務めるなど打線を牽引。畔柳投手は初戦に先発するなど4試合に投げた。

 全カテゴリーを常設化し、アンダー世代からトップチームまで「侍ジャパン」として選手の強化と底上げに努めてきた成果が、今年のドラフトでも現れた形となった。世代の代表として国際大会に出場し、国内外のトップ選手とともに切磋琢磨した経験が、それぞれの選手の意識を高め、成長を促した結果とも言えるだろう。

 来春にプロ入りする侍ジャパン経験者の中から、近い将来、何人がトップチーム入りを果たすのか。アンダー世代で積んだ経験を生かし、さらなる成長を遂げることを期待したい。

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