侍ジャパン女子代表は「一番、目指す場所」 W杯4大会出場の六角彩子が歩む道
10年の長きにわたり、世界の頂点に立ち続けているチームがある。それが侍ジャパン女子代表だ。2008年に「第3回 IBAF女子ワールドカップ」で初優勝を飾ると、2年ごとに世界の頂点に立ち、大会名が「WBSC女子野球ワールドカップ」と変更されてもトップをキープ。2018年の第8回大会には6連覇を達成した。
写真提供=Full-Count
2大会ぶりのW杯出場を目指し、今年から埼玉西武ライオンズ・レディースに所属
10年の長きにわたり、世界の頂点に立ち続けているチームがある。それが侍ジャパン女子代表だ。2008年に「第3回 IBAF女子ワールドカップ」で初優勝を飾ると、2年ごとに世界の頂点に立ち、大会名が「WBSC女子野球ワールドカップ」と変更されてもトップをキープ。2018年の第8回大会には6連覇を達成した。
そのワールドカップ(以下W杯)の舞台で日本代表のユニホームを着て戦うことを「一番、目指す場所」とモチベーションにしているのが、今年から埼玉西武ライオンズ・レディースに所属する六角彩子内野手だ。2010年の第4回大会に初出場すると、いきなり大会MVPを獲得する活躍。そこから4大会連続でW杯に出場し、優勝に大きく貢献した。世界一をかけた戦いを経験するたびに、日の丸を背負う重みを感じたという。
初出場したW杯の舞台はベネズエラ。チーム最年少の18歳だった六角内野手は「チームのメンバーについていくことで、精いっぱい」だったと振り返る。
「目の前のことに無我夢中でした。周りを見る余裕はなく、すべてを野球に注いだというか……。先輩方がやりやすい環境を作ってくれていたなと感じています」
プレーに集中できたことが、好結果につながった。自信を持つバッティングで首位打者を獲得。チームは2連覇を果たし、自身は大会MVPに輝いた。同年、国際野球連盟が表彰する女子年間MVPにも選出されたが、これは日本人選手では男女を通じて初の快挙だった。
南米ベネズエラで味わった大観衆の前でプレーする高揚感「鳥肌が立ちました」
カリブ海に面する開催地ベネズエラは、南米の中でも野球熱の高いエリア。満員に埋め尽くされたスタジアムには、サッカーの応援でなじみ深い管楽器ブブゼラが鳴り響く。時には、ブブゼラの音色で連携プレーを確認する声がかき消されたり、国際大会ならではのストライクゾーンの違いに戸惑ったりすることもあったが、多くの観客の前でプレーし、これまでにない高揚感を味わった。
「衝撃的でした。多くのファンの方に見てもらえることは、本当に嬉しいことなので鳥肌が立ちました。今、野球をやっている少女たちにもこういう経験ができる環境を作ってあげたい、という思いが生まれました」
世界の舞台を経験し、選手として成長を遂げた六角内野手は、2年後の2012年にも代表入り。2度目のW杯では年下のメンバーも選出されるなど、自身の置かれる立場が変わり、自ずと視野が広がった。
「緊張のコントロールの仕方が、だんだん分かってきました。決勝の時などは特にそうなのですが、今、自分が緊張をしているんだと分かるんです。それまで『緊張=マイナスなこと』というイメージを持っていましたが、そうではない。緊張するのは当たり前。その中で自分の精いっぱいのことをやろう。そう思えるようになりました」
2014年には「目配り・気配り」を心掛けたチームプレーに徹して4連覇に貢献し、2016年には副将としてチームを5連覇に牽引。W杯出場を重ねるたびに立ち位置を変化させ、成長を遂げてきた。
2018年は代表入りならずも「まだまだできる」 再び目指すW杯出場への道
侍ジャパン女子代表がW杯6連覇を達成した2018年、六角内野手は惜しくも代表入りを果たせず、歓喜の輪に入れなかった。そして今、その悔しさをバネに、2020年に開催が予定されるW杯の舞台を目指し、トレーニングを積んでいる。
「(前回大会は)自分が未熟なので落選しました。でも、まだまだできると思っていますし、力が落ちたとも感じていません。侍ジャパンに選ばれることが私の大きな目標。女子野球の国際大会で日本が勝ち続けていくことは、これからも女子野球界にとって大切なことなんです。同時に、日本は勝ちながらも他の国や地域など世界的なレベルを上げていく必要性を感じていますし、(それが日本の)一つの使命と思っています」
2大会ぶりのW杯出場を果たすために、選手としてさらなる成長を求め、今年からはNPB球団が公認する初めての女子硬式クラブチーム、埼玉西武ライオンズ・レディースでプレーする。埼玉西武と同じユニホームを着て試合を行うだけではなく、球団が所有する練習施設などの使用ができるなど、環境面で大きなバックアップを受ける。
「思い描いていた夢の第一歩が実現しました。小さい頃からライオンズファンで、松坂(大輔)投手のフォームをマネしていたくらいです。すごく嬉しい出来事でした」
侍ジャパン女子代表に選ばれ、W杯7連覇に貢献するために、野球に情熱を注ぐ日々。野球を愛し、女子野球の発展を願う熱い気持ちは、六角内野手の胸の中に今なお宿り続けている。
記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count