「このままでは終われない」―侍ジャパンU-18代表、終盤8回に逆転でW杯白星発進

2019.8.30

韓国・機張(きじゃん)で「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」が30日、開幕。高校世代での初の世界一を目指す侍ジャパンU-18代表は初戦のスペイン戦に4-2で逆転勝ちを収めた。7回まで2点のリードを許す苦しい展開だったが、8回2死からクリーンアップの3連打で4得点。世界ランキング26位の相手に苦しめられ、国際大会の厳しさを痛感する幕開けとなった。

写真提供=Getty Images

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スペインに逆転勝ちで初戦に勝利、6回に永田監督がゲキ「焦るな。チャンスは必ずある」

 韓国・機張(きじゃん)で「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」が30日、開幕。高校世代での初の世界一を目指す侍ジャパンU-18代表は初戦のスペイン戦に4-2で逆転勝ちを収めた。7回まで2点のリードを許す苦しい展開だったが、8回2死からクリーンアップの3連打で4得点。世界ランキング26位の相手に苦しめられ、国際大会の厳しさを痛感する幕開けとなった。

 不穏な空気が漂っていた。侍ジャパンの打線がなかなかスペインの先発投手を攻略できない。スコアボードには0が並ぶ。4回に2点を先に失い、相手のムードも最高潮に達していた。打ち気に走り、高めのボール球を振ってしまうナインを見た永田裕治監督は6回の攻撃前に選手を集め、指示を出した。

「ヘルメットのひさしを下げて、高めは捨ててほしい」
「指一本、入るくらい、バットを短く持つように」

 そして、最後に力強く言った。

「焦るな。チャンスは必ずある」

 2点をリードされたまま迎えた8回の攻撃。ここまで苦しめられた先発投手から、2番手に相手はチェンジした。1死から代打・宮城大弥投手(興南)が遊撃への内野安打で出塁。1死後、2番の坂下翔馬内野手(智弁学園)はセーフティーバント。相手の悪送球もあり、2死一、二塁とチャンスを作ると韮澤雄也内野手(花咲徳栄)が打席に入った。ここでの指揮官の指示は、変化球は捨てて直球勝負――。相手投手が投球練習の際、変化球でストライクが取れていなかったからだ。

 韮澤内野手は直球をしっかりととらえて、中前適時打で1点を返す。「このままでは終われないと思っていた。次の(4番の)石川につなげる気持ちで打席に入りました」と強い思いを持って、ボールを運んだ。そして、主軸の石川昂弥内野手(東邦)も左翼線へ同点適時打で繋いだ。さらに、5番の遠藤成内野手(東海大相模)が痛烈な当たりを中前へ弾き返し、勝ち越しの2点適時打。クリーンアップの3連打で見事に試合をひっくり返した。

決勝打の遠藤「この1本で勝たせてやろうと思って打ちました」

 石川内野手は「なんとか我慢強く戦って勝てて良かったです。チャンスだったのでどんどん振っていこうと思っていました」。決勝打の遠藤内野手も「初戦で負けられない戦いだった。みんなが繋いでくれたチャンスだったので、この1本で勝たせてやろうと思って打ちました」と笑顔を浮かべた。永田監督は「初戦というものは本当に苦しい。選手たちも“苦しい”と口で言うよりも(実際の試合で)感じてくれたと思う」と糧となることを願った。

 侍ジャパンは佐々木朗希投手(大船渡)、奥川恭伸投手(星稜)といったドラフト1位候補と評価される投手陣が集まったが、佐々木投手は右手中指にマメができ、奥川投手は夏の甲子園の疲労が抜け切れておらず、本調子ではない。2人をどれだけ他の投手陣でカバーできるがカギとなりそうだ。この日の先発・池田陽佑投手(智弁和歌山)は5回2失点と先に点を失ったが、試合は作った。2番手の前佑囲斗投手(津田学園)は3イニングを無失点と封じ、粘りの投球が8回の逆転劇へとつながった。そして、9回を飯塚脩人投手(習志野)が締めた。この先も、指揮官がチームの一番の強みと語る「結束力」で頂点を目指していくことになる。

 慣れない球場のマウンド、上空に舞う強い風、データのない相手……。初戦から侍ジャパンは苦しめられたが、国際大会ではすべてを受け入れなくてはならないため、永田監督は「選手たちには何があっても驚くな」と伝えている。世界一になるための試練を乗り越え、侍ジャパンU-18代表が力強く一歩目を踏み出した。

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