プロで3度のセーブ王 武田久が社会人で「もう一度やりたい」野球とは

2018.4.23

日本通運野球部にプロで実績を残した投手が戻ってきた。北海道日本ハムで15年間プレーした武田久だ。39歳の右腕はなぜプロの世界を離れ、社会人野球に戻ることを選んだのか。そして、日本通運野球部に対してどのような思いを抱いているのか。インタビューで思いを聞いた。

写真提供=Full-Count

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北海道日本ハムでの活躍経て古巣・日本通運に復帰した武田

 日本通運野球部にプロで実績を残した投手が戻ってきた。北海道日本ハムで15年間プレーした武田久だ。39歳の右腕はなぜプロの世界を離れ、社会人野球に戻ることを選んだのか。そして、日本通運野球部に対してどのような思いを抱いているのか。インタビューで思いを聞いた。

 徳島の生光学園高校から駒澤大学に進み、2001年に日本通運に入社。社会人野球を経て、2002年のドラフトで4位指名を受け日本ハム(現・北海道日本ハム)に入団した。プロではリリーフとして活躍。通算534試合に登板、167セーブ、107ホールドを挙げ、3度の最多セーブにも輝いた。そして昨年、同球団を退団し、今年から古巣、日本通運に選手兼コーチとして復帰を果たした。

 武田は社会人野球に復帰した理由について「プロとは異なる野球をやりたいという思いが強かった」と話す。都市対抗野球大会や日本選手権など、社会人野球はトーナメント制の大会が多い。1試合、1球にかける野球を再びやりたかったのだという。

「戦力が整っていて、強いものが勝つというのがプロですが、社会人をはじめとしたアマチュア野球は、その時に勝ったものが強い。短期決戦の面白さがあるし、チームとして優勝に向かって一つになる。そんな野球をもう一度やりたいという気持ちがありました」

社会人野球のレベルは「とても高くなった」

 今はとても新鮮な毎日を送っているという武田は、社会人野球の舞台に戻って来て「個々のレベルが上がっている」ことを実感している。社会人野球のレベルはアマチュアの中でもトップクラス。だからこそ、選手たちには胸を張って欲しいと訴える。

「企業が減ってきて、チームが減っていることもあると思いますが、以前に比べてとてもレベルが高くなったと思います。それに、大学まではお金を払って野球をやっていますが、社会人はお金をもらって野球をやらせてもらっている。そういう意味でもプライドを持ってプレーして欲しいですね」

 自身にとっても、社会人での2年間の経験はとても大きかったという。大学までとは異なり、社会人では制球が乱れるとすぐに打たれたため、入社後は変化球を低めに集められるように徹底的に投げ込んだ。変化球のコントロールを磨いたことで、プロでも成績を残すことができたと振り返る。また、技術以外の面でも成長を実感することができたという。

「お金をもらって野球をやらせてもらうということは、ノンプロだから出来たことです。そのありがたさを感じながらプレーすることができました。また、社会人からプロに行くということは、将来の安定を捨てて勝負をかけることになります。大学からプロに行くのとは違い、覚悟を持ってプロに行くことができました」

武田が胸に秘める願い、「『辞めます』と言ったらそこで終わり」

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 そんな武田は、社会人で長く野球をやることの素晴らしさを周囲に伝えたいという。

「もちろんプロを目指して欲しいと思います。でも、ここで長くやるのもいい。野球を続けることに変わりはありません。社会人で終わることも悪いことではないと言ってあげたいですね。プロに行けなくても、しっかり会社に貢献していく。それは人生として悪くないと思います」

 そう話す右腕にはこんな願いがある。

「プロに行くことがゴールではないので、その先を見据えて欲しいと思います。また、プロに行けない選手は、1年でも長く現役にこだわって欲しい。結果を出さなくてはいけないという緊張感、真剣勝負は現役でないと味わえない。『辞めます』と言ったらそこで終わりですから」

 今は、昨年惜しくも準優勝に終わった都市対抗野球大会での優勝を目標に置く。チームは投手、野手ともに個々のレベルが非常に高く、日本一を狙える戦力を備えている。あとは、どれだけチームとして一つになれるか。武田は主将を務める浦部剛史内野手のキャプテンシーを評価しており、何としても優勝したいと意気込む。

「(浦部は)行動でも見せるし、人にも言える。プレースタイルは泥臭い。今までいろんなキャプテンを見てきましたけど、浦部は1番だと思います。浦部がキャプテンの時に日本一にならないでどうするんだと思う。ここ数年が勝負だと思います」

 都市対抗野球大会での自身の登板については「僕が投げなくてもみんな頑張ってくれれば」と、若手の活躍に期待を寄せる。社会人野球最高峰の大会で優勝の歓喜を味わうため、武田は自らの経験を選手たちに伝えていくつもりだ。

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