侍ジャパンが「チーム1つになって」WBCへ 最後の強化試合は秋山の決勝打で劇的勝利
第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)で2大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」は5日、オリックスとの強化試合(京セラドーム)に5-3で勝利した。先発の藤浪晋太郎投手(阪神)が初回に2点を失うも、2回に鈴木誠也外野手(広島東洋)の3ランで逆転。その後、同点に追いつかれたが、9回に代打・秋山翔吾外野手(埼玉西武)が値千金の決勝2点二塁打を放った。7日のWBC1次ラウンド初戦・キューバ戦(東京ドーム)に向けて、最高の形で強化試合を締めくくった。
写真提供=Getty Images
9回に勝ち越しオリックスに勝利、2点追う2回には鈴木が逆転3ラン
第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)で2大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」は5日、オリックスとの強化試合(京セラドーム)に5-3で勝利した。先発の藤浪晋太郎投手(阪神)が初回に2点を失うも、2回に鈴木誠也外野手(広島東洋)の3ランで逆転。その後、同点に追いつかれたが、9回に代打・秋山翔吾外野手(埼玉西武)が値千金の決勝2点二塁打を放った。7日のWBC1次ラウンド初戦・キューバ戦(東京ドーム)に向けて、最高の形で強化試合を締めくくった。
初回、先発の藤浪は先頭・西野に四球を与えると、二盗を許して無死二塁とされる。安達のバントを自ら処理したが、一塁へまさかの悪送球。あっという間に先制点を献上した。さらに、安達にも二盗を許し、吉田正にはレフト前に適時打を運ばれる。“自滅”とも言える形で2失点を喫した。
藤浪本人が「久しぶりに力勝負というか、力で押すピッチングをちょっとやっておきたいなと思ったんですけど、結果としてあまりよくなかった」と悔やむ投球だった。
しかし、侍ジャパンは直後の2回に試合をひっくり返す。中田翔内野手(北海道日本ハム)、坂本勇人内野手(読売)の連打で無死二、三塁とし、鈴木がレフトスタンドへ豪快な逆転3ラン。「つなごうという意識で入った結果が良かったです。(手応えは)いくかな、というぐらいの感じで。いってくれと思ってました」。重苦しい雰囲気を変える一発だった。
藤浪が2回で降板すると、小久保裕紀監督は小刻みな継投で投手陣をテストしていく。すると、4回に3番手の岡田俊哉投手(中日)が失点。同点に追いつかれ、終盤に突入した。
このまま試合終了かと思われた9回、侍ジャパン打線は途中出場の平田良介外野手(中日)のヒットと鈴木の四球で2死一、二塁の好機を作ると、代打の秋山がライトオーバーの2点タイムリースリーベース。「1本打てるように気合を入れていった」。値千金の一打に秋山は三塁上で思わずガッツポーズ。ベンチも盛り上がった。9回は守護神最有力候補の秋吉亮投手(東京ヤクルト)が3者凡退に仕留め、本番前最後の一戦を勝利で締めくくった。
光る青木のリーダーシップ、小久保監督「彼の存在の大きさも今日感じました」
試合後、小久保監督は秋山のタイムリーについて聞かれると、「もちろん大きい。本戦ならもちろん大喜びですね。ただ、その前に誠也のホームランの後になかなか塁に出られなかったんで、本戦もなかなか難しいでしょうけど、ピッチャー陣の目処が立ったんでね、なんとか打者陣がつながってくれればと思います」と振り返った。鈴木のホームランの後、打者が16人連続アウトに倒れる中でゲームを作った投手陣を評価。当初から、日本の最大の強みは「投手力」と話していた指揮官にとって、手応えを感じる内容だった。
2月23日に宮崎で強化合宿をスタートさせ、本番前5試合の実戦は2勝3敗と負け越しに終わった。すべてが順調だったわけではないが、収穫も多かった。そんな中、2日にチームに合流した唯一のメジャーリーガー、青木宣親外野手(アストロズ)の存在感も光っている。
「上手くいったところも上手くいかなかったところもある。今日のゲームで言えば、2回に先制されて『結局また今日もか』という雰囲気が実際あったんですけど、2回の表が始まる時に、青木が選手を集めて『こんな試合もあるから。あと8回あるから』って、彼自ら選手を集めてそんな話をしてくれて。そのイニングでの(鈴木の3ランによる)逆転だったので、そういうところで彼の存在の大きさも今日感じましたしね。チーム1つになって本戦でやるしかないと思います」
小久保監督は、最年長のヒットメーカーに感謝。青木自身も「初回に2点を取られて、ちょっと嫌なムードになったけど、次の回にひっくり返すことができたし、ピッチャーもその後頑張ってくれた。いい勝ち方だと思います」と喜んだ。
投打で中心になると見られていた大谷翔平投手(日本ハム)が右足首痛で出場を辞退し、精神的支柱の嶋基宏捕手(東北楽天)は開幕直前の4日に出場断念を表明した。多くの壁を乗り越え、最後の強化試合で劇的勝利を飾った侍ジャパンは、いよいよWBCの舞台に立つ。あとは自分たちの力を信じて、世界一を目指すだけだ。
【了】
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