WBC2大会連続出場の松田宣浩が抱く決意「世界一になって世界一のリーグに」(後編)
3月6日に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)。2大会ぶりの優勝を狙う野球日本代表「侍ジャパン」は、今月22日から宮崎で直前合宿を行い、3月7日に行われる1次ラウンド初戦キューバ戦に向けての最終調整に臨む。第3回大会に続き2大会連続出場となった松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)は「日本球界を引っ張っている中心選手が揃った」と世界一に向けて大きな意欲を燃やす。
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前回大会は準決勝敗退、「その先を見てみたい」
3月6日に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)。2大会ぶりの優勝を狙う野球日本代表「侍ジャパン」は、今月22日から宮崎で直前合宿を行い、3月7日に行われる1次ラウンド初戦キューバ戦に向けての最終調整に臨む。
小久保ジャパンは1月28日に最終メンバー28選手が出揃ったが、投手陣の柱として注目されていた大谷翔平投手(北海道日本ハム)が、昨年痛めた右足首の状態が思わしくなく、出場を辞退。本番前に思わぬ逆風が吹く形となった。それでも第3回大会に続き2大会連続出場となった松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)は「日本球界を引っ張っている中心選手が揃った」と世界一に向けて大きな意欲を燃やす。
今大会はチームリーダーとして「チームの勝利に全精力を注ぎたい」という松田選手に、第4回WBCにかける熱い思いを語ってもらった。
――何度も国際大会を経験なさっていますが、その中でもWBCは特別な大会という位置づけですか?
「そうですね。1回目、2回目の時は、まだプロ野球選手として自分のチームで頑張らないといけないと思っていて、雲の上の大会だった。でも、実際に3回目に選ばれて、試合にも出られるようになった。実際に大会に出場してみて、改めてすごさを感じました。
野球って代表として国を背負って戦う大会が少ないじゃないですか。サッカーとは頻度が違いますよね。(WBSC世界野球)プレミア12とかそんなにしょっちゅうあるものでもない。だから、WBC1回が持つ重みってすごいなって思います」
――代表戦が少ないからこそ、侍ジャパンのユニフォームを着られることは光栄なことですね。
「やっぱりあのユニフォームっていいなって思いますね。それがみんなの目標となって、あのユニフォームが着られるって思いで頑張れればいい。侍ジャパンっていうのが日本の野球界のトップ、子供たちを含め、誰もが目指すべき場所であってほしいですね」
ライバル国にも好選手が続々参加する今大会、「なおさら本気で行きましょう!」
――今回選ばれた28選手は、トップチームの名前にふさわしい豪華メンバーになりました。
「今の日本球界を引っ張っている中心選手が揃いました。誰が出てもいいんじゃないかと思います。野手で言えば、成績を見たらみんなすごいですからね(笑)。それをチームとして動かすだけだと思うんですよ。僕が監督になって選んだとしても、骨組みは今のメンバーだと思うし、誰も『おやっ?』っていう選手はいません」
――日本は1次ラウンドではキューバ、オーストラリア、中国と対戦します。この3チームに限らず、今回は強敵揃いになりそうです。
「アメリカ(合衆国)、ドミニカ(共和国)、韓国……どこもすごいじゃないですか。強敵ばっかりですよ。しかも、今回は『どのチームも本気だ』とか言われてますけど、前回とか前々回とか本気じゃなかったみたいに言うのはやめて下さい(笑)。今回は『なおさら』? そしたら、こっちもなおさら本気で行きましょう!」
――確実に回を追う毎にレベルアップしていますね。
「そうですね。だからこそ、やっぱり初戦のキューバ戦が大事になってくる。実際1次ラウンドで1つも負けられる試合はない。勝って次に上がっていく方がいいですよね」
――2次ラウンドに勝ち進めば、昨年11月の強化試合で対戦したオランダと戦う可能性が高そうです。
「今度はバンデンハーク(福岡ソフトバンク)もおるし、バレンティン(東京ヤクルト)もおるし、11月のメンバーからは大分変わりますよね。メジャーリーガーも多く、レベルは高い。実際にユニフォームを着て戦い始めてから感じることも多いと思います」
目指すは「世界一」、そして「世界一のリーグ」へ
――前回大会に出場し、海外の投手がどんな球を投げてきたり、どんな配球で攻めてくるのか、少なからずイメージが持てていることはプラスに働きそうです。
「(WBSC世界野球)プレミア12でも感じたんですが、海外のピッチャーって意外と打たせにきますね。それまでは、メチャメチャ速い球を投げてバットに当てさせない、当たらないイメージだったんですけど、そうじゃなくてバットに当てて凡打にさせるボールが多い。アメリカとか南米のチームの方がボールを動かしたり、落としたりするイメージがありますね。
逆に、日本の野球に近い韓国だったり台湾だったりは、速いボールを投げてくるイメージがある。海外の打者が日本のピッチャーと対戦する時、『速いな』って思っているんじゃないですかね。グンって伸びてくる球が多い。日本であまりボールを動かすピッチャーっていないじゃないですか。基本的には、正しいフォームで速い球を投げて、変化球を曲げてっていうのがよしとされるから」
――普段の試合では、どんな打球をどこへ飛ばすか、イメージを持って打席に入るそうですが、WBCを迎える前に、小久保ジャパンで優勝する姿はイメージできていますか。
「実際に優勝はあるな、と思っています。ただ、前回は準決勝までしか見ていない。準決勝を戦うまではイメージがつくんですけど、その先の舞台を知らないんですね。準決勝を勝ち上がった先、優勝の喜びっていうのを見てみたい。それって、1回目、2回目の先輩は知ってるんですよ。3回目のメンバーはできてないから悔しい。その先を見てみたい、やっぱり先に行きたいですね」
――言うまでもなく、目指すは優勝しかありませんね。
「最近は、WBCが近づいているから、新聞やニュースでも野球のことで盛り上がっている。でも、まずはこのWBCを頑張らないと、今年の日本プロ野球が盛り上がらないと思うんですよ。WBCの結果が2017年のプロ野球の流れも決めるなって。負けたら悔しさを持ってシーズンを始めることになる。それだけは絶対にしたくないんですよ。前回がそうだったから。
WBCで世界一になって世界一のリーグで試合をやろうってなれば、こんなに盛り上がることはない。代表に入らなかった選手も世界一のリーグでプレーしているっていうプライドが持てますから。選ばれた選手だけじゃなくて、日本プロ野球界全体で注目度の高い大会にしていきたいと思います」
(終わり)
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