兄も日の丸を背負う野球選手 侍ジャパンU-12代表で奮闘する12歳の夢

2016.12.10

9日に中国・広東省で開幕した「第9回 BFA U-12アジア選手権」。侍ジャパンU-12代表は初戦でフィリピンを15-0の4回コールドで下した。「バッティングや走塁で課題は残りましたが、15点を取ってコールドで勝ててよかったです」と安堵したのはキャプテンを務める星子天真だ。

写真提供=Getty Images

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兄も日の丸を背負う野球選手、初戦勝利に貢献した星子「兄を越したい」

 9日に中国・広東省で開幕した「第9回 BFA U-12アジア選手権」。侍ジャパンU-12代表は初戦でフィリピンを15-0の4回コールドで下した。「バッティングや走塁で課題は残りましたが、15点を取ってコールドで勝ててよかったです」と安堵したのはキャプテンを務める星子天真だ。

「1番・遊撃」でスタメン出場。初回、カウント3-2から2球ファウルで粘り、8球目をセンターに弾き返した。「1番(打者)ですし、先頭なので出塁しないといけない場面。ボールをよく見ることができました」。その後、パスボールで二塁に進むと、盗塁を決めて三塁を陥れ、3番・内間究のショートゴロの間に先制のホームを踏んだ。

 2打席目はショートゴロだったが、三塁走者・砂頼人に続き、二塁走者の小西柚生も相手の守備の隙をついてホームイン。2得点に絡んだ。3打席目はファースト強襲の内野安打の後、盗塁を決め、2番・金澤海斗のレフトへのエンタイトルツーベースで本塁に生還するなど、グラウンドを駆け回った。

 星子には「刺激になる」と話す存在がいる。3つ上の兄・海勢だ。普段からキャッチボールや素振りなど、ともに練習をしている兄は、小学6年時に福岡ソフトバンクホークスjr入り。そして、今年のU-15日本代表選手として「第3回 WBSC U-15ベースボールワールドカップ in いわき」(7月29日~8月7日、福島県いわき市)を戦った。

「兄がホークスジュニアだったので、まずはホークスジュニアを目指しました。そしたら、兄はU-15代表に選ばれ、届きそうになって、また遠くなりました」

 自身の全国大会も控えていたため、U-15の試合はテレビ観戦。「このユニホームを着るんだ」とイメージしながらモチベーションを高めたという。8月に福岡ソフトバンクホークスジュニアに選ばれた星子は、U-15代表の兄に追いつけるよう、U-12の選手選考合宿でも元気を出してアピール。翌日、合格を知らせる電話があったが、父と兄は「ずっと教えてくれなくて、騙してきました」。ちょっとの時間を置いて、父・一海さんから「選ばれたよ」と伝えられた時は、「嘘でしょ!」と信じられなかった。そして、「嬉しい思いと、やっと追いつけたという思い」が湧いてきた。

兄からもらった「優勝してこい」の言葉

 所属する弓削キング、福岡ソフトバンクホークスjr、そして侍ジャパンU-12代表でキャプテンを務めており、リーダーシップもある。仁志敏久監督は「素晴らしいですよ。こちらの言わんとしていることをやってくれる。試合でも自分からタイムをかけて集まっていますし、みんなも(星子の)言うことを聞いています」と、そのリーダーシップに信頼を置いている。

 現地で応援する母・ひとみさんは「同じ年に代表に選んでいただいて」と感謝し、感慨深げな様子。「お兄ちゃんを尊敬し、静かにライバル視しています。プレッシャーなくやっているようで、性格はポジティブですね」と話す。

 兄・海勢からは「優勝してこい」と激励されて日本を出発した。侍ジャパンU-15代表は、「第3回 WBSC U-15ベースボールワールドカップ in いわき」で決勝まで進むも、キューバに敗れて目標としていた世界一には届かなかった。「兄はキャッチャーで、自分がピッチャーとしてピッチングをしていると怒られるのですが、(代表の後から)より一層、フォームとかを教えてくれるようになりました」と、兄の思いを感じ取っている。そして、「U-15、U-18で兄を越したい」という目標を立て、まずはU-12での頂点を目指す。

 予選Bグループでは10日に韓国と対戦する。「“日韓戦”というくらい、日本と韓国は張り合っています。自分たちも日の丸を背負っているので、全力で戦いたいと思っています」。侍ジャパンの誇りに年齢は関係ない。初のアジアの頂点まで、星子が侍ジャパンU-12代表の先頭を走る。

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