侍ジャパンがタイブレークで勝利 カギは左腕・岡田の度胸と「ブルドッグ」

2016.11.13

野球日本代表「侍ジャパン」は12日、オランダ代表との強化試合に臨み、延長10回の熱戦の末に9-8で勝利した。2点リードの9回に3番手・大瀬良大地(広島東洋)が3点を失い、逆転を許すまさかの展開。しかし、侍ジャパンはその裏に相手の失策で同点に追いつき、土壇場で同点に追いついた。そして、“未知”のタイブレークに突入。まずは10回表の守備が鍵となった。

写真提供=Getty Images

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大野のサヨナラ打で勝利、タイブレークに小久保監督は「経験できてよかった」

 野球日本代表「侍ジャパン」は12日、オランダ代表との強化試合に臨み、延長10回の熱戦の末に9-8で勝利した。延長に入ってからは大会規定でタイブレークとなり、最後は大野奨太捕手(北海道日本ハム)のサヨナラ打で決着。9回に2点差を一時逆転される厳しいゲームとなったが、プロ野球では馴染みのないタイブレークでの勝利を小久保裕紀監督は「経験できたのはプラスになった」と前向きに捉えた。

 2点リードの9回に3番手・大瀬良大地(広島東洋)が3点を失い、逆転を許すまさかの展開。しかし、侍ジャパンはその裏に相手の失策で同点に追いつき、土壇場で同点に追いついた。そして、“未知”のタイブレークに突入。まずは10回表の守備が鍵となった。

 日本は、負傷者が出たことで今回の強化試合に向けて追加招集された左腕・岡田俊哉投手(中日)を投入。無死一、二塁の状況から始まるタイブレークで、小久保監督は「延長になった時点で岡田で行くということを決めていた」という。

 セオリーならば、攻撃するチームは先頭打者がバントをして、1死二、三塁とチャンスを広げたい場面。そこで、度胸があり、「フィールディングも上手」(小久保監督)な左腕をマウンドに送った。

 さらに、2球目には「ブルドッグ」と呼ばれるバントシフトを取った。これは投手がモーションに入ったタイミングで一塁手と三塁手が前進してチャージをかけ、二塁手が一塁、遊撃手が三塁のベースカバーに入るというもの。二塁手と遊撃手の動きが、ブルドックの垂れ下がった顔に似ていることから、この名前がついている。

9回裏の攻撃では大谷のスピードもカギに

 オランダのヴァンダーミーアは結果的にバントはせず、バスターで中飛に倒れた。「ブルドッグ」は相手がバントをしなければ野手の間を抜かれる可能性が高く、リスクもある守備シフト。フライはラッキーだったようにも見えるが、この場面についてオランダのミューレンス監督は「バントのサインだったが、日本のチャージが厳しく、打者の判断でバントをしなかった」と説明している。日本がプレッシャーをかけたことでフライを打たせたとも言える。

 岡田は続く打者を空振り三振に仕留めると、ウルバヌスを敬遠四球で満塁策を取り、最後はランペを一飛に打ち取った。権藤博投手コーチが「1番仕事が出来るのはあいつ。いいところで使わないといけないピッチャー」と絶賛する左腕が度胸満点の投球を見せ、「ブルドッグ」も使って無失点に抑えた。

 そして、その裏には同じく無死一、二塁の場面で先頭打者の大谷翔平(北海道日本ハム)が打席へ。今度は侍ジャパンがセオリーには従わず、大谷に打たせた。小久保監督は「(スピードがあるため)併殺打にはならないので、(1死)一、三塁の形にはなる。翔平ならば(バントをさせずに)打たせる」と説明。結果はボテボテの三ゴロで走者が進み、1死二、三塁に。相手は松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)を敬遠して満塁策を取ったが、続く大野がライト前に運んで試合を決めた。

 5回には大谷の特大ホームランを皮切りに6点を奪って逆転しながら、勝利目前で同点に追いつかれた。それでも、最後は初めて経験するタイブレークという難しいシチュエーションで、日本らしく勝利を引き寄せた。小久保監督が「ブルドッグ」について「練習していた通りにサインを出した」と振り返ったように、しっかりとした準備も生きた。今後へ向けても、収穫のある1勝となった。

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