山本昌氏が見る侍ジャパン強化試合メンバー「僕は過去最強だと思う」

2016.10.31

世界一奪還を目指す野球日本代表「侍ジャパン」が11月10日から13日の日程でメキシコ代表とオランダ代表を東京ドームに迎え、強化試合を行う。昨季限りで現役から退いた通算219勝左腕・山本昌氏は、今回選出された侍ジャパンについて「過去最強」と太鼓判を押す。

写真提供=Full-Count

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初選出の投手は7人、山本氏が注目するのは「千賀投手」

 世界一奪還を目指す野球日本代表「侍ジャパン」が11月10日から13日の日程でメキシコ代表とオランダ代表を東京ドームに迎え、強化試合を行う。2013年から始動した小久保ジャパンにとってはここまでの最終チェックと来年に向けた準備となる4試合。発表されたメンバーの中には、千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)、田口麗斗投手(読売)、鈴木誠也外野手(広島東洋)らフレッシュな面々も名を連ねた。

 昨季限りで現役から退いた通算219勝左腕・山本昌氏は、今回選出された侍ジャパンについて「過去最強」と太鼓判を押す。「順当なメンバー。選ぶことに関しては、小久保(裕紀)監督を全面的に応援したい」という納得の顔ぶれの中でも、注目したいのは「千賀投手ですね」と即答。NPB史上最年長の50歳まで現役投手としてプレーした左腕が、注目する理由は――。

 また、坂本勇人内野手(読売)、筒香嘉智外野手(横浜DeNA)、中田翔内野手(北海道日本ハム)らを擁する野手陣を「夢がある」と絶賛する山本氏が、強化試合の“予想ラインアップ”を公開。果たしてどんなオーダーになったのか――。「また世界一になってくれる」と侍ジャパンに対して大きな期待を寄せる“レジェンド”が、強化試合のポイント、そして野球日本代表への熱い思いを語ってくれた。

――今年最後の強化試合が行われますが、3月の強化試合とは違った意味を持つものになると思います。山本さんはどういった狙いがあると思われますか?

「オフに入る前に1度集まって、結束しようっていう意味合いもあると思うんですよ。キャンプに入る前だったり、キャンプに入ってからの過ごし方をどうするのか。みんな自覚を持って仕上げてくると思いますが、もう1度ここで勝って締めておこうと。今回のメンバーが来春に入るとは決まったわけではないですけど、12月はみんな1度休むので、1回(心身を)緩めて、寒い中で仕上げてくると、実戦の勘も含めて違ってくる。その中で『1月は早めに始動しよう』といった自覚を個々が持てると思うんですよね。試合そのものに関しては、新しいメンバーを試すことに尽きるでしょう。絶対に必要な戦力となる固定メンバーはいる。今回は新しいピッチャーやバッターの見極めと、このメンバーでどういった試合ができるかということを試すんじゃないかと思います」

――投手陣では、千賀投手、田口投手、宮西尚生投手(北海道日本ハム)、石川歩投手(千葉ロッテ)、岡田俊哉投手(中日)、石田健大投手(横浜DeNA)、中﨑翔太投手(広島東洋)の7人が初選出されました。今季のNPBを盛り上げた面々ですね。

「順当だと思いますよ。選ぶことに関しては、小久保監督は全面的に応援したいですね。ここ数年、専門的に見ながら努力されていますから。今回のメンバーも、海外の打者に対してどういう投球ができるか、小久保監督は青写真を描いているはず。チームとしての成績だけではなく、『こういう打者、こういうチームには、こういうボールが通用しそうだ』とかね。岩貞祐太投手(阪神)とか今永昇太投手(横浜DeNA)、菊池雄星投手(埼玉西武)は、石田投手や田口投手と比べて迷ったんじゃないかと思います。則本昂大投手(東北楽天)も入ってないけど、これまで選出されているメンバーですから、どんな投手なのか、小久保監督もよく分かっているはず。新しい投手だったら、私は中でも千賀投手を注目したいですね。彼の真っ直ぐに打者がどう反応するのか。海外では動く真っ直ぐが主流ですけど、千賀投手の真っ直ぐはきれいに、こう突っ込んでくるような感じなんですよ。そして、あのフォークの落差。この武器を持って、長いイニングを投げるのは、非常に楽しみですね」

現メンバーは年齢面でもバランス面でも「過去最強」

――全面的に応援したいとおっしゃる中、あえてお聞きしますが、山本さんだったら選んでいた投手はいますか?

「則本投手、菊池投手……。あとはウチ(中日)の田島(慎二)を入れたいなっていうはありますね(笑)。今年は小さなスプリット系のボールを覚えて、コントロールが安定した。元々ストレートは速いですし、サイド(スロー)気味っていうのもある。森福允彦投手(福岡ソフトバンク)も入れたいな。リリーフにはちょっと変則(スロー)の投手を入れたいですね」

――今回は菅野智之投手(読売)はチームに同行するものの登板しなかったり、大谷翔平投手(北海道日本ハム)は投手登録ながらDHや代打での起用になるようです。

「彼らは世界で通用すると十分、分かっていますから、無理に使う必要はないですよ。特に、大谷投手は日本シリーズの激戦を戦いますし。大谷君が二刀流をやれているのは、これまで怪我をしていないからなんです。怪我をして治療をしながら(投手と野手の)2つをやるのは難しい。だから、彼には体を大事にしてほしいっていう思いもあるでしょう。今回は身体に負担を掛けないでおこうという判断は、私は賛成ですね。アメリカに行った投手を見ても、みなさんご存じでしょうけど、日本の投手陣はやっぱり(世界で)通用しますよ。今、日本のトップでいるピッチャーは、菅野投手だったり、大谷投手だったり、全部世界に通用する。身体が元気だったら、何があっても選ばれる選手。来年は大車輪の活躍をしてもらうことになるでしょう」

――投手にとっては誰が捕手なのかも大きな影響があると思います。

「嶋基宏選手(東北楽天)がいて、大野奨太選手(北海道日本ハム)がいて、小林誠司選手(読売)がいて、ベテラン・中堅・若手の揃ったいいチョイスじゃないですか。菅野投手、大谷投手というエースクラスの投手がいるチームから2人出てますし。3人で意見を出し合いながらやるでしょう。ピッチャーにとって、キャッチャーはものすごく影響がある。ピッチャーから見たキャッチャーのいる景色っていうのがあるんですよ。構えとかね。その景色に慣れておくことは大事。来年もおそらくこの3捕手になる可能性が高いと思うので、強化試合の期間中はブルペンでも試合でも、いろいろなピッチャーを受けておきたいでしょうね。1回受けたことがあるかないかで大分違いますから。リードと肩で判断すればいい。いやぁ、今の日本代表チームって、年齢から言ってもバランスから言っても、僕は過去最強だと思うんですよ」

山本氏が語る“予想ラインアップ”は…「こんな打線抑えられない」

――「過去最強」ですか?

「投手はもちろん、野手も坂本選手、筒香選手、秋山翔吾選手(埼玉西武)……多士済々といますから。去年の『世界野球WBSCプレミア12』を見て思いました。今、世界で一番強いのは日本、断トツで強いなって。私、今まで『この全日本に自分が投げたらどうなるんだろう』って考えていたんですよ。過去の代表チームで。『大体何とかなりそうだ』っていうのがあった。でも、今回は『何ともならないな。これは無理だ』って思いましたね(笑)。それだけのメンバーが集まってます。坂本選手、筒香選手、中田選手……どこに誰を据えても重厚感のある打戦になりますよ。そこに山田哲人選手(東京ヤクルト)も柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)もいるわけですから。夢がある。『こんな打線抑えられないよな』って思うわけです。しかも、年齢的に考えると、4年後には今の中軸が30歳前後ですからね。その時点で、また若い活きのいい打者と融合したら、新旧のバランスがいいチームができますよね」

――今年や来年だけの話じゃなくて、もっと広がりを持ったチームですね。期待しかふくらみませんね。

「このメンバーで負けちゃダメでしょ(笑)。ちょっと打順組んでもいいですか?」

――お願いします(笑)。

「そうだな、まずは9番・大野(笑)。1番は秋山ですね……いや、坂本?逆にしよう。1番・坂本、2番・秋山、3番・山田、4番・筒香。二遊間が埋まったから、5番に内川(聖一=福岡ソフトバンク)、6番に中田として、どちらかがDHでどちらかが一塁。こうなると、7番に柳田で、8番は松田(宣浩=福岡ソフトバンク)か……。これは怖いでしょ。恐ろしい(笑)。だから、これは無理だって。抑えられない。中田翔が勝負強いので、塁に出たクリーンナップを返せる。下位打線も一発があるからホッとできないし」

――菊池涼介選手、鈴木誠也選手(ともに広島東洋)がベンチにいるのは嫌ですね。

「とんでもないチームでしょ(笑)。来年は変わるかもしれないけど、野手はこういう感じで何ともならないですよ。1番・坂本選手から嫌だしね。……すごいな、この打線(笑)。別に中田選手が4番で、筒香選手が3番で、山田選手が5番でもいい。ただ坂本選手が1番っていうのは怖いと思うんです。斬り込み隊長が首位打者っていうのは。秋山選手は(打球を)引っ張って進塁打も打てるから、2番は結構ハマりかなって思います。もし左(投手)が出てきて手強いようだったら、鈴木誠也選手を2番にするのもできる。いや、恐ろしいですね(笑)」

――強化試合はもちろん、来年以降も楽しみですね。

「だから、さっきから言ってるじゃないですか。世界で一番強いって(笑)。間違いないと思います!」

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