侍ジャパン女子代表、W杯21連勝で史上初の5連覇 若い力も台頭、V6への期待も膨らむ大会に
侍ジャパン女子代表は10日、「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」(韓国・釜山)の決勝戦でカナダを10-0で下し、5連覇を達成した。前回大会に続く全勝優勝で、2012年の第5回大会途中から続くW杯での連勝は「21」に。今大会も8戦全勝と格の違いを見せつけた。
写真提供=Getty Images
決勝はカナダに圧勝で今大会は8戦全勝、大倉監督「ホッとすることができた」
侍ジャパン女子代表は10日、「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」(韓国・釜山)の決勝戦でカナダを10-0で下し、5連覇を達成した。前回大会に続く全勝優勝で、2012年の第5回大会途中から続くW杯での連勝は「21」に。今大会も8戦全勝と格の違いを見せつけた。
決勝戦でも日本の強さは圧倒的だった。まずは2回。1死三塁の好機で船越千紘(平成国際大)がレフト前に先制打。初回には相手の二盗を刺して、日本のリズムを作った20歳の正捕手が、打撃でも存在感を見せた。
さらに、3回には相手の失策や4番・川端友紀(埼玉アストライア)の犠飛などで3点を追加すると、船越が右中間へ2打席連続タイムリーとなる2点二塁打。4回には金由起子(ホーネッツ・レディース)の犠飛、5回は厚ヶ瀬美姫(兵庫ディオーネ)、三浦伊織(京都フローラ)のタイムリー、寺部歩美(兵庫ディオーネ)の押し出し四球で3点を加えて、10-0と大きくリードを広げた。
先発のエース右腕・里綾実(兵庫ディオーネ)は4回まで2安打に抑える好投。5回は先頭打者を初めての四球で歩かせるも無失点。6回はこの試合2度目の3者凡退に抑えると、7回は2つの失策で2死一、三塁とされながら、最後は一ゴロと最後まで失点を許さず、決勝の大舞台で完封勝利を飾った。
「毎回思うことは、終わってホッとした気持ちが一番先に立ちますね。ここのところは勝つことが至上命題になっている。(優勝して)ホッとすることができました」
試合後、大倉孝一監督は穏やかな表情で話した。どのチームも「打倒・日本」を目指して挑んでくる大会。そこで力の差を見せつけ、前回大会に続いて全勝優勝を飾ったことには、大きな価値がある。
「重圧」の中でW杯21連勝、初出場組も力を発揮し「チームが機能した」
第5回大会の途中から続くW杯での連勝も「21」まで伸びた。ただ、指揮官は「(連勝は)全く意識してません」と言い切る。前回まで全6大会で3位以内に入っていたアメリカがスーパーラウンドにすら進めないという波乱もあっただけに、勝ち続ける重圧は「当然あります」と胸の内を明かす。それでも、圧倒的な強さを誇る日本は、W杯に入ってからの試合も決勝へ向けての「準備」だと位置づけ、選手たちにも意識を高く持つことを求めてきた。オープニングラウンド、スーパーラウンドで白星を重ねるのは当然の結果で、連勝記録の達成感はない。あくまで世界の頂点に立つことが、最も重要だと考えてきた。
今大会で中心となったのは、六角彩子(侍)、厚ヶ瀬、三浦、川端、里といった中堅の選手たち。5連覇全てを経験してきた金由起子(ホーネッツ・レディース)、志村亜貴子(アサヒトラスト)の両ベテランもチームを支えた。そして、初出場組の若手も、外野手の小島也弥(環太平洋大)、捕手の船越、投手の清水美佑(埼玉栄高)らが存在感を見せた。
「監督・コーチがいて、ベテランがいて、中堅、初めての(出場の)人がいて、チームが機能している。初出場組もゲーム慣れしてきて、落ち着いて、コミュニケーションが密に取れた。バランスが取れていた」
大倉監督はこう振り返る。ただ勝っただけではない。6連覇、7連覇と続けていくために、しっかりと若い力が台頭してきた。勝ちながらも世代交代を進めていくという難しい課題を、5連覇という最高の形でクリアした。
2大会連続MVPのエース里は「みんな常に笑顔で、野球以外でも信頼し合う関係ができたので、今回は最高のチームだったと思います」と振り返った。伝説は、まだ始まったばかりなのかもしれない。5連覇の達成感と、6連覇への期待――。その両方を感じさせてくれる大会となった。
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