侍ジャパン女子代表、里綾実が初戦でエースの仕事 自己採点は「勝ったので80点」

2016.9.4

3日に韓国・釜山で開幕した「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」の初戦で、カナダに8-2で鮮やかな逆転勝利を収めた侍ジャパン女子代表。チームを牽引したのは、前回大会MVPのエース右腕・里綾実(兵庫ディオーネ)だった。

写真提供=Getty Images

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前回大会MVP右腕が初戦で活躍、指揮官の「リズムで行こう」で気持ちが楽に

 3日に韓国・釜山で開幕した「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」の初戦で、カナダに8-2で鮮やかな逆転勝利を収めた侍ジャパン女子代表。チームを牽引したのは、前回大会MVPのエース右腕・里綾実(兵庫ディオーネ)だった。7回102球を投げきり、3安打2失点11奪三振で完投勝利。0-0の2回に2点を失ったが、大倉孝一監督に言葉をかけられて力みが取れてからは、カナダ打線につけ入るスキを与えない快投だった。

 試合が最初に動いたのは2回。先制したのはカナダだった。里が1死からこの試合初めてのヒットを許すと、死球も与えて2死一、二塁。プソタをフルカウントに追い込んでから投じた1球は外角高めにギリギリに決まったかに見えたが、判定はボール。満塁へとピンチが広がった。ボイドへは1ボール2ストライクから外角低めに変化球を投げ込むも、技ありのヒットを浴びて、2者の生還を許した。

 事前のミーティングで、大倉監督からは「日本が1点勝って前半を終えることもあるし、逆に取られて負けている状態で終わることもあると、ちゃんと頭に入れておけ」と声をかけられていた。里にとっても「想定内」の展開だったが、「(先制点を)取られてちょっと焦った」と正直に胸の内を明かす。

 ただ、チーム全体としては、落ち着いていた。里は「ベンチに帰ってきた時に、ベンチが落ち着いた雰囲気だったので、そこは切り替えて、逆に点を取られたので開き直って、厳しいコースをつくよりも、打たせてリズムを作って投げようと思えました」と振り返る。さらに、「里がちょっと入れ込みすぎてる感じ、力んでる感じがした」という大倉監督からは「リズムで行こう。リズムでどんどん投げ込んでいこう」と声をかけられ、さらに気持ちが楽になった。

同点直後の3回に「抑えたらもっと勢いがつく」と3者凡退の快投

 直後に日本が足を絡めた攻撃で同点に追いつくと、里はその裏に圧巻の投球を披露。2奪三振を含む3者凡退の快投で、試合の流れを完全に引き寄せた。「いつも試合で心がけていることなんですけど、仲間が点を取ってくれた後の次の回はゼロで抑えたらもっと勢いがつくと思っているので、そこは意識しました」。4回に小島也弥(環太平洋大学)のタイムリーで1点を勝ち越し、完全に日本ペースになった。

 審判のストライクゾーンが厳しかったことで、立ち上がりはリズムを崩しかけていた里だが、「厳しいコースを攻めて、自分で難しくしてしまって、ランナーをためて打たれるというのが、(2回の)2点だった。四球でランナーをためてしまった時に点に絡むので、先頭を取ることを意識しました」。3回から6回までは出した走者が死球の1人のみというほぼ完璧な投球を披露。110キロ台中盤の直球に、スライダー、カーブ、シュートを織り交ぜてカナダ打線を抑えると、その間に打線は得点を重ねていった。 

 前回大会のMVPとはいえ、W杯の初戦で緊張しない選手はいない。2点を先制されても、その後にしっかりゲームを作ったことが大きかった。大倉監督も「やっぱり里が落ち着いて投げてくれたので、ゲームメークがやりやすかったですね」と振り返る。エースの役割をしっかりと果たし、日本を勝利へと導いた。

「今日は勝ったので(自己採点は)80点くらいで。初戦でちょっと力みがあったんですけど、その後はしっかり修正して自分のピッチングができた。大きい目標は優勝ですけど、1歩1歩勝っていかないとそれはない。ずっとチームで言っているのは、勝つに連れてどんどん強くなるチームづくりをするということなので、自分も1試合1試合、重ねるごとにさらに良くなっていけるようにしたいです」

 頼れるエースで白星発進。5連覇を目指す侍ジャパン女子代表にとって、その存在はあまりにも大きい。

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