侍ジャパン女子代表、初戦で鮮やか逆転勝利 5連覇を目指す女子野球W杯は好スタート
侍ジャパン女子代表は3日、韓国・釜山で開幕した「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」の初戦でカナダと対戦し、8-2で逆転勝利を収めた。エース右腕の里綾実(兵庫ディオーネ)が2回に2点を奪われる展開となったが、鮮やかな逆転勝利。2回まで無失点に抑えられていた打線が、3回に足を絡めた攻撃で同点に追いつき、試合の流れを引き寄せた。
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先手取られるも足を絡めた攻撃でリズム掴む、大倉監督も「いいスタート」
侍ジャパン女子代表は3日、韓国・釜山で開幕した「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」の初戦でカナダと対戦し、8-2で逆転勝利を収めた。エース右腕の里綾実(兵庫ディオーネ)が2回に2点を奪われる展開となったが、鮮やかな逆転勝利。2回まで無失点に抑えられていた打線が、3回に足を絡めた攻撃で同点に追いつき、試合の流れを引き寄せた。大倉孝一監督も「いいスタートが切れた」と納得の表情で振り返る白星で、5連覇へ向けて上々の発進となった。
世界ランク1位の日本は、開会式終了後のナイターゲームに登場した。相手は同4位のカナダ。侮れない相手だ。打線が初回に2死一、三塁の好機を生かせず、2回も3者凡退に終わると、その裏に先発の里がつかまった。ヒットと2つの四死球で2死満塁のピンチ。続くボイドにタイムリーヒットを浴びて、2点を先制された。
絶対王者の日本が2点を先制される展開。会場には不穏な空気が漂ったが、日本チームは落ち着いていた。
「想定内の試合だったので、慌てることなく落ち着いて日本の野球ができた。カナダ、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ、アメリカというのは、もう力が劣っているなんてことはありえないですから。日本のほうが優位なんていうのはないので、常にこういう展開に持って行くということを準備してきました。常々、起こり得ることというのは、色んなパターンで(選手に)伝えてはきています」
大倉監督の言葉通り、「想定内」の試合を戦っていた選手は、直後の3回に反撃に出る。1死から六角彩子(侍)がライト前ヒットで出塁。続く厚ヶ瀬美姫(兵庫ディオーネ)は空振り三振に倒れて2死となったものの、三浦伊織(京都フローラ)の打席で六角が2球目で二盗、5球目で三盗を次々と成功させて、三塁まで進む。続く6球目で、カナダの先発ミルズが暴投。1点差とすると、ここから明らかにミルズのリズムが崩れた。
積極的に走って相手に重圧、「いつもやろうとしていること」
三浦は四球で出塁し、初球ですかさず二盗。川端友紀(埼玉アストライア)が中前打で一、三塁とチャンスを広げると、寺部歩美(兵庫ディオーネ)への初球では川端がスタート。キャッチャーが二塁へ投げたのを見て、三塁走者の三浦がホームスチールを決めた。鮮やかな重盗。足でかき回し、同点に追いついた。
「ピッチャーの牽制がどうなのか、(走者が)セカンドにいったら、二遊間の動きはどうなのか。これをゲームの中で見ながら、いけるチャンスでどんどん仕掛けていった。そういう風に『出来るだけ崩す』という表現をうちの選手にはするんですけど、ただ打つだけでなくて、そういうところから崩していくということ。(相手に)ストレスをかける、プレッシャーかけるということで、中盤以降に勝負をかけていくというのは、いつもやろうとしていることですね」
大倉監督は満足そうに振り返った。その後も塁に出た走者は積極的に走り、二塁まで進むと、ミルズは何度も牽制の素振りを見せるなど、明らかに苛立っていた。日本は完全にペースを掴み、4回に小島也弥(環太平洋大学)の適時打で勝ち越し。5回以降にも5点を積み重ねた。
前回大会まで4連覇を達成し、この勝利でW杯14連勝となった日本。ただ、決して奢ることはない。先手を取られても焦らなかったのは、カナダの力を認めているからこそ。敬意を持って戦ったことで、しっかりと勝利を掴んだ。決勝に向けて、ここから徐々に力を加速させていく。
大倉監督が「この第1ラウンドで確かめることをしっかりやりながら戦っていきたい。それだけですね。ただ、W杯で結果というのはものすごく大事ですから、そういう意味ではいいスタートを切れたかなと思います」と言えば、足を使って日本にペースを引き寄せた六角は「まだまだチームはこれから出来上がっていくと思うので、もっともっと頑張って、決勝の時にチームが一番力を発揮できるように頑張っていきたい」と誓った。
5連覇へ向け、視界は良好。侍ジャパンが違いを見せつけ、好スタートを切った。
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