U-18W杯で獅子奮迅の活躍「とにかく結果を出す」 鷹4年目左腕を支える自信

2021.7.19

2017年にカナダ(サンダー・ベイ)で行われた「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。3位に終わった野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表の中で、“魔球”と称されたチェンジアップを駆使し、世界に衝撃を与えた投手がいた。現在、福岡ソフトバンクの中継ぎとして活躍する田浦文丸投手(秀岳館高)だ。

写真提供=Full-Count

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2017年のU-18W杯で大活躍した田浦文丸投手、全9戦のうち6戦に登板

 2017年にカナダ(サンダー・ベイ)で行われた「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。3位に終わった野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表の中で、“魔球”と称されたチェンジアップを駆使し、世界に衝撃を与えた投手がいた。現在、福岡ソフトバンクの中継ぎとして活躍する田浦文丸投手(秀岳館高)だ。

 まさに獅子奮迅の活躍だった。全9試合のうち6試合に登板。計13回2/3を投げて、29個もの三振を奪った。「すごく楽しかったですね。1試合目だけは緊張しましたけど、そこからは緊張やプレッシャーはありませんでした」。チームでただ1人、中継ぎ投手部門で大会ベストナインにも選出された。

 日の丸をつけて戦う重み以上に、固い決意を胸にこの大会に臨んでいた。直前に行われた夏の甲子園で、田浦投手の秀岳館高は中村奨成捕手(現・広島東洋)らのいる広陵高に負けて2回戦で敗退。プロ入りを目指していた左腕はアピールし切れないままに聖地を去った。

プロ入りに向け、とにかくアピール「結果を出すという気持ちが強かった」

「日の丸の重みというよりも、とにかく結果を出すという気持ちが強かったです。プロのスカウトにアピールしたいという思いでした」。秋のドラフトでプロ球団から指名されるためには国際舞台で結果を残すしかない。自分の力をスカウトにアピールしたいという思いを強くし、カナダの地で躍動した。

 オープニングラウンド第2戦の米国戦では6回途中からマウンドに上がり、2回1/3を投げて1安打5奪三振無失点の好リリーフ。チームは敗れはしたものの、そこからは毎試合のようにマウンドに上がった。オープニングラウンド第4戦のオランダ戦では4回をノーヒット。9個の三振を奪い「本当にアピールしたいという気持ちが強かったんです。オランダ戦で抑えられたことが自信になりました」と振り返る。

 負ければ、決勝進出が絶たれるスーパーラウンド第3戦の韓国戦では先発を任された。だが、これが大会で6試合目の登板。「思うようにいかなかったというのはありました。体が少し重いというのもあったかもしれないですし、球が思うようにいってなかったり、スライダーが抜けるというのがありました」。序盤から宿敵・韓国打線につかまり、1回1/3で4安打3四球5失点(自責2)。これが田浦投手にとって、最後の登板となった。

最後の登板は黒星も、今も生きるカナダの経験

 最後は悔しさが残る結果となったものの、この国際舞台での経験は大きな財産になった。

「あそこでアピールできたことで、プロになれたというのが一番大きかったと思います。あとは、高校の時から中継ぎはやっていましたが、マウンドに上がった時に余裕が持てるようになりました。そこの自信というのは、あの大会でついたものだと思います」

 今季は前半戦だけでキャリア最多の1軍19試合に登板。堂々とボールを投げ込むマウンド度胸は、カナダの地で身についたものだ。

当時のチームメートがプロで活躍、大学組も今秋ドラフト「やっぱり気になる」

 この年のU-18代表は錚々たる顔ぶれが揃っていた。キャプテンは清宮幸太郎内野手(現・北海道日本ハム)が務め、安田尚憲内野手(現・千葉ロッテ)や中村奨成捕手、櫻井周斗投手(現・横浜DeNA)、清水達也投手(現・中日)らも、同年秋のドラフトでプロ入りした。「気にして見ているところはありますし、やっぱり負けたくないという気持ちはあります」。同級生たちの奮闘ぶりが、日々の刺激となっている。

 さらに言えば、大学に進学した仲間たちが今秋のドラフト候補となり、プロの世界に飛び込んでくる。徳山壮磨投手(現・早稲田大)や三浦銀二投手(現・法政大)はドラフト上位候補として名前が挙がる。「やっぱり気になりますよね」。そうした同級生たちに負けるわけにはいかない、というのが田浦投手の本音だろう。

「今年は頑張らないといけない年だと思うので、1軍でずっと投げるというのが1つの目標。気を緩めずやっていきたいですし、ジャパンの時も無失点で抑えるという気持ちがすごく強かったんで、その気持ちを大事にして投げていきたいと思います」

 今年、1軍の舞台で懸命に腕を振る田浦投手。そこには4年前、カナダで得た経験が着実に生きている。

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