「何歳になっても選ばれたい」 今永昇太が感じる「侍ジャパン」での成長

2020.2.17

昨季は先発ローテーションの柱として、横浜DeNAをクライマックスシリーズ進出に導いた今永昇太投手。2019年11月に開催された「第2回 WBSC プレミア12」では野球日本代表「侍ジャパン」のメンバーとして、トップチームの10年ぶり世界一に大きく貢献した。2017年の「第1回アジア プロ野球チャンピオンシップ」で初選出されて以来、侍ジャパンには欠かせない存在となっている左腕は「侍ジャパンという場所は、何歳になっても選ばれたいなと思います」と話す。

写真提供=Full-Count

写真提供=Full-Count

昨年の「プレミア12」初優勝に貢献「またあの瞬間を味わいたい」

 昨季は先発ローテーションの柱として、横浜DeNAをクライマックスシリーズ進出に導いた今永昇太投手。2019年11月に開催された「第2回 WBSC プレミア12」では野球日本代表「侍ジャパン」のメンバーとして、トップチームの10年ぶり世界一に大きく貢献した。2017年の「第1回アジア プロ野球チャンピオンシップ」で初選出されて以来、侍ジャパンには欠かせない存在となっている左腕は「侍ジャパンという場所は、何歳になっても選ばれたいなと思います」と話す。

「プレミア12」では、オープニングラウンド第3戦のチャイニーズ・タイペイ戦に先発して3回無失点。スーパーラウンド第3戦のメキシコ戦では、6回1安打8奪三振1失点の好投で勝利投手となった。特にメキシコ戦は、前日の米国に3-4と黒星を喫していただけに、大会初優勝を狙う侍ジャパンにとって嫌な流れを断ち切る、大きな勝利となった。

「昨年プレミア12のメンバーに選んでいただき、緊迫した試合で投げさせてもらいました。決勝はヤスさん(山崎康晃投手・横浜DeNA)が抑えて、優勝という瞬間を味わえた。またあの瞬間を味わいたい、この経験はすごく自分の財産になる、と感じたので、今年も侍ジャパンには必ず呼ばれたいと思います」

他球団の選手と貴重な意見交換「新しい自分、引き出しが見つかる」

 所属する横浜DeNAでは、チーム一丸となって約6か月の長いレギュラーシーズンを戦う。だが、日本プロ野球界(NPB)のトップが集まる侍ジャパンは、集合日から大会終了まで少ない準備期間の中で結束力を高めなければならない。中には、初めて接する選手もいるが、その環境にこそ新たな刺激を受けるという。

「自分が常に所属するチームではないので、居心地がいいかと言われると、みんな決してそうではないことがあると思うんです。それでも少ない準備期間の中で、みんなが積極的にコミュニケーションを取って優勝を目指す。野球を頑張って上手くなりたい、優勝したいという一心で、その場でいろいろなことを吸収できるので、新しい自分であったり新しい引き出しであったりが見つかると思うんです」

「プレミア12」では、同じ左腕の大野雄大投手(中日)、嘉弥真新也投手(福岡ソフトバンク)、田口麗斗投手(読売)らと意見交換し、「変化球の握りやストレートの感覚、左ピッチャーならではの会話をしました」と振り返る。また、山田哲人内野手(東京ヤクルト)や鈴木誠也外野手(広島東洋)ら球界を代表する打者と会話する中で大きなヒントも得た。

「打者から見て、やっぱりいいピッチャーは本当にギリギリまで球の出どころが見えなかったり、腕の振りとストレートの速さが一致しなかったり。そういった好投手の条件を再確認できました。そこは自分が目指しているところでもあるので、突き詰めていきたいと思います。侍ジャパンは、話をしてみたかったけれど会う機会がなかった人たちとも出会えるので、本当に貴重な場だと思っています」

侍ジャパンが伝えたい競技の魅力「稲葉監督が必ず野球普及について語られます」

 2006年に「第1回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」で日本が初優勝を飾った時、今永投手は13歳の野球少年だった。子どもの頃は日の丸をつけて戦う代表選手たちを「自分がジャパンのユニホームを着てグラウンドでプレーするなんて、到底想像できない中で、テレビの画面を見ていました」と振り返る。だが、テレビの中で戦う代表選手の姿はしっかりと記憶の中に刻まれ、プロ野球選手になった。子どもたちへの影響力の大きさを知るからこそ、競技普及の一助になりたいという。

「野球を知らない子どもたちでも、メディアを通じて侍ジャパンに触れるチャンスがあると思います。ジャパンで集合する時は、初めてのミーティングで稲葉(篤紀)監督が必ず野球普及について語られますし、日本代表として野球はもちろん人間としても模範であってほしいと常々仰っている。そういう部分はとても大切なことだと思います」

 侍ジャパンのユニホームに袖を通すと「ファンの皆さんが球団の垣根を越えて、本当に大きな声援を送って下さる」と感謝の気持ちを忘れない。同時に「そのユニホームの重さを感じることもあります」という。その重さが心地よく、どんなベテランになっても侍ジャパン入りを目指したいという想いがある。

「選ばれることに意義があると思うし、自分も年齢を重ねて分かってくることもある。やっぱりレベルが高い選手がたくさん集まってくるので、情報を交換し、レベルアップを図るためにも、何歳になっても選ばれたいですね」

 侍ジャパンを愛する今永投手がマウンドで躍動する姿を、これから何年も見続けたいものだ。

記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count

NEWS新着記事