侍ジャパンを優勝に導いた山田の一振り 不振乗り越え「世界一を獲ると決めていた」

野球日本代表「侍ジャパン」は17日、東京ドームで行われた「第2回 WBSC プレミア12」決勝の韓国戦に5-3で逆転勝ちし、10年ぶりに世界の頂点に立った。日韓対決となった頂上決戦で侍ジャパンに勝利をもたらしたのは、山田哲人内野手（東京ヤクルト）のバットだった。

2点を追う2回に値千金の逆転3ラン「ホームランの時は直感です」

　野球日本代表「侍ジャパン」は17日、東京ドームで行われた「第2回 WBSC プレミア12」決勝の韓国戦に5-3で逆転勝ちし、10年ぶりに世界の頂点に立った。日韓対決となった頂上決戦で侍ジャパンに勝利をもたらしたのは、山田哲人内野手（東京ヤクルト）のバットだった。

　初回に先発の山口俊投手（読売）が2本塁打を浴びて3点を失った。直後に鈴木誠也外野手（広島東洋）の適時二塁打で1点を返すと、2点を追う2回、ついに山田内野手のバットが火を噴いた。

「あの時は追い込まれたので、チェンジアップなどを張っていた。ホームランの時は直感です。真っ直ぐもあるな、と思って、直感を信じました。いい感じで捉えられた。素直に嬉しかったです」

　2死から會澤翼捕手（広島東洋）が四球を選ぶと、続く菊池涼介内野手（広島東洋）は遊撃への内野安打。2死一、二塁のチャンスで打席を迎えた山田内野手は、2ボール2ストライクから3球ファウルで粘った後の8球目、内角低めの真っ直ぐを“直感”で弾き返した。打球はスタンド中段へ飛び込む3ラン。値千金の逆転アーチに、ベンチはもちろん球場全体が大きく沸いた。

　試合後には「めっちゃ嬉しいですね。ホッとしました。集中してタイミングを合わせられた」と素直に喜んだ山田内野手だが、一方で「個人的にこれまで悔しかった」とも呟いた。ダイヤモンドを一周しながら見せた小さなガッツポーズ。「自然に心の声が体に出ました」。胸のつかえが下りた瞬間だった。

13日のメキシコ戦を終えて打率.071も、絶好のタイミングで復調

　今大会で1番打者として見込まれていた秋山翔吾外野手（埼玉西武）が、右足薬指骨折のために出場を辞退。不在となった1番で稲葉篤紀監督が起用したのが、山田内野手だった。全8試合のうち先発した5試合は1番で出場。だが、台湾でのオープニングラウンド3試合は8打数1安打と振るわず。日本に舞台を移したスーパーラウンドでも1本が出ず、13日のメキシコ戦後には打率は.071まで落ち込んだ。

　だが、絶好のタイミングで復調した。スーパーラウンド最終戦の16日韓国戦に「1番・一塁」で先発すると、初回に右翼線へ二塁打を運んだ。5回には1死二塁で適時二塁打を放ち、今大会初タイムリーで打点をマーク。「タイミングが合ってきて、いけるかも、と。確信はないけど、メンタル的に良かった」と山田内野手。頂上決戦を前に掴んだ小さな手応えが、決勝での逆転弾に繋がった。

　快音が響かなくとも、胸の内に掲げた目標はぶれなかった。試合後のヒーローインタビューで大観衆を前に、「とにかく世界一を獲るっていうのは決めていたこと」と力強く言い切った。2009年以来、国際大会での優勝から遠ざかっていた侍ジャパン。世界の頂点に立つことは決して容易いことではないが、来年の金メダル獲得に向けて、この大会での優勝は譲れなかった。

　10年ぶりに掴んだ世界一に喜びを感じながらも、ここが最終ゴールではないことも理解している。「また半年後にオリンピックが待っているので、そこでも世界一になれるように頑張りたいと思います」と山田内野手。侍ジャパンを世界の頂点に導いた一振りを、2020年にも期待したい。

記事提供＝Full-Count
写真提供＝Getty Images