打率.375でも「悔しさが残った」 西川史礁が侍ジャパンで見据える高み「中心選手として」
千葉ロッテの西川史礁外野手はドラフト1位で入団した今季、パ・リーグ最優秀新人賞に輝く活躍を見せた。2024年3月には大学生ながら野球日本代表「侍ジャパン」トップチームに大抜擢。今年11月には「ラグザス 侍ジャパンシリーズ 2025 日本vs韓国」で再び選出されるなど、日本を代表する選手へと駆け上がろうとしている。日の丸を背負って戦うことへの強い思い、将来的な野望を明かした。
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青山学院大4年時に異例の抜擢「緊張感は今でも鮮明に覚えています」
千葉ロッテの西川史礁外野手はドラフト1位で入団した今季、パ・リーグ最優秀新人賞に輝く活躍を見せた。2024年3月には大学生ながら野球日本代表「侍ジャパン」トップチームに大抜擢。今年11月には「ラグザス 侍ジャパンシリーズ 2025 日本vs韓国」で再び選出されるなど、日本を代表する選手へと駆け上がろうとしている。日の丸を背負って戦うことへの強い思い、将来的な野望を明かした。
驚きの報せを受けたのは、まだ青山学院大時代だった。欧州代表と強化試合を戦う侍ジャパンのトップチームに、金丸夢斗投手(関西大・現中日)、中村優斗投手(愛知工業大・現東京ヤクルト)、宗山塁内野手(明治大・現東北楽天)とともに学生では異例の選出となったのだ。喜びの一方で、味わったことのないような緊張に襲われていた。
第1戦、5回1死から、四球で出塁した塩見泰隆外野手(東京ヤクルト)の代走として初出場した。「あんなに大勢の前でやることはそれまでなかったので、緊張感は今でも鮮明に覚えています」。後続の連打で生還すると、中堅の守備に就いた。すぐに大飛球を背走キャッチしたことで「ちょっと気が楽になれました」と6回、初打席に立った。
2死一、二塁。相手投手は代わったばかりのサイド右腕だった。投球練習を見ながらタイミングを計っていると、次打者の小園海斗内野手(広島東洋)から「初球から行けよ」と声を掛けられた。「自分でも積極的にとは思っていたんですが、その言葉で余計に行こうと思いました」と初球を捉えると、打球は左翼線への適時二塁打。勢いそのままに、8回の第2打席でも左前打と快音を響かせた。
プロ1年目で規定打席をクリアし打率.281で新人王→再び代表入り
第2戦は「1番・中堅」でフル出場して5打数1安打。初回は投手強襲打を放つと一塁にヘッドスライディングでセーフをもぎ取り、守備では7回に浅いライナー性の打球をダイビングキャッチで好捕。この試合で6投手が達成したパーフェクトリレーを、攻める姿勢で貢献した。しかし、苦笑いで当時を振り返る。
「それなんですけど、自分、試合が終わるまで全然気付かなくて(笑)。センターライナー(の好捕)も、(周囲が)サヨナラヒットを阻止したかぐらいの勢いで喜んでくださったんで『あれ?』みたいな、ちょっと変な感覚があったんです。試合が終わってから『パーフェクトリレーだったんだ』と。自分の感覚が鈍いと思うんですけど……。でも、それくらい試合に集中しまくっていました。実際、2試合目もまだ結構緊張していたと思います」
2試合で7打数3安打1打点(打率.429)は、強烈なインパクトを残した。大学生ながら大舞台を経験できた自信、間近で見たプロの体や技術に対する自身の課題……目標としていたドラフト1位でのプロ入りへの指針も見つけることができた。

森下に“弟子入り”「セ・リーグを代表する打者、吸収したかった」
夢を叶えて千葉ロッテに入団すると、444打席で規定打席(443以上)をクリアしてリーグ6位の打率.281、3本塁打、37打点をマークした。シーズン序盤は不振による一軍登録抹消もあったが、驚異のV字回復で熾烈な新人王争いを制した。充実の1年の最後には、韓国との強化試合で再び日の丸のユニホームに袖を通し、「一番はびっくりしたんですけど、1年目からジャパンのユニホームを着て野球ができるのはすごく光栄でした」と喜びを噛みしめた。
「7番・左翼」で出場した第1戦は、第1打席に左前打、第2打席に右翼線へ2点適時二塁打を放つも、「5番・左翼」だった第2戦は5打数1安打。2戦で打率.375(8打数3安打)ながら、高みを見据える22歳は「うれしさより悔しさが残りました。速い球へのアジャスト、それが2試合通して続かない自分の詰めの甘さもありました。自分を知ってコントロールできる技術がまだないと感じたので、その課題をこのオフはしっかり取り組んで来季に繋げたいと思える大会になりました」と冷静に現状を分析した。
「セ・リーグを代表する打者ですし、吸収したかったので」と、森下翔太外野手(阪神)には積極的に質問した。打撃練習中に中堅の守備位置から感じたことを伝えてもらったり、またメンタル面などのアドバイスをもらったり、貴重な時間となった。森下選手には自主トレでも“弟子入り”する予定で、目指す本塁打増や打球の角度をつけるために、さらに多くのことを吸収する構えだ。
2度目のトップチーム選出を経て見据える未来とは…
11月ながら代表戦を経験した西川選手は「この時期に4万人の前で野球をすることって、なかなかない。ジャパンのユニホームを着て応援されるのはすごく幸せなことでした。日本の野球の盛り上げるために大事な場所だし、世界一の野球ができるチームだと自分は思っていて、やはり特別なものだと思います」と語る。
来年3月には「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」が開催される。「もちろん入りたい思いはありますけど、今回の強化試合でもアピールというより目の前の1試合に集中することしか考えていなかったので……」と控えめだが、見据える先は力強い。「いずれは日本代表の中心選手として活躍できる、そういう打者になりたいと思います」。22歳の未来は、光り輝いている。
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