5年ぶりにU-12代表に復帰 仁志監督が精鋭15選手に国際大会で感じてほしいこと
小学生世代の野球日本代表「侍ジャパン」U-12代表が、11月23日に愛媛県で開幕する「第11回 BFA U12アジア野球選手権」(以下アジア選手権)に出場する。5年ぶりにチームを率いる仁志敏久監督は同2日から3日間、神奈川県内で行われた強化合宿に参加。「勝負事ですから優勝を目指しますが、選手たちにはこの大会で感じたこと、注意されたこと、褒められたこと、仲間との出会いを、今後の成長のきっかけにしてほしい」と強調した。
写真提供=Full-Count
23日に愛媛で「第11回 BFA U12アジア野球選手権」が開幕
小学生世代の野球日本代表「侍ジャパン」U-12代表が、11月23日に愛媛県で開幕する「第11回 BFA U12アジア野球選手権」(以下アジア選手権)に出場する。5年ぶりにチームを率いる仁志敏久監督は同2日から3日間、神奈川県内で行われた強化合宿に参加。「勝負事ですから優勝を目指しますが、選手たちにはこの大会で感じたこと、注意されたこと、褒められたこと、仲間との出会いを、今後の成長のきっかけにしてほしい」と強調した。
仁志監督は今年6月に現職復帰後、選手選考などに携わってきたが、10月下旬に思いがけず、来季から埼玉西武の1軍野手チーフ兼打撃コーチに就任することが決まった。当面は“二刀流”となるため、10月30日から宮崎県日南市で埼玉西武の秋季キャンプで指導にあたり、11月1日夜に帰京。翌2日からU-12代表の強化合宿に臨み、4日夜に宮崎へ舞い戻る多忙なスケジュールとなった。
強化合宿の最終日には中学生チームに練習試合で勝利
強化合宿最終日の4日に、U-12代表は年上の横浜市西区中学生選抜チームと練習試合を行った。体格やパワーで勝る相手に対し、7回終了時点で5-5の同点。8回はタイブレーク方式で実施し、10-7と競り勝った。アジア選手権では、日本の学童野球では禁止されている変化球も使えるとあり、中学生との練習試合は格好の予行演習にもなった。
練習試合について指揮官は「小学生レベルを超えるボールを投げてくるピッチャーとの対戦は、非常にいい経験になりました。変化球を打てた子もいましたし、変化球を試した投手もいました。今回初めてユニホームを着たので、本番ではさらに自覚を深めて戦ってほしいです」と総括した。
仁志監督は現役時代、読売、横浜(現横浜DeNA)で強打の二塁手として活躍し、ゴールデン・グラブ賞にも4度輝いた。引退後の2014年に初めてU-12代表監督に就任すると、同年の「第8回 BFA 12Uアジア選手権」から2019年の「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」まで、6年連続で国際大会の指揮を執った。その間には侍ジャパンのトップチームやU-23代表のコーチも兼任している。
2021年から3年間は横浜DeNAで2軍監督を任され、今年の日本シリーズで活躍した森敬斗内野手、梶原昂希外野手らを育成。トップチームとU-15代表の監督に転任した井端弘和前監督のあとを受けて、今大会で再びU-12代表の指揮を執ることになった。
U-12代表での指導経験がプロの世界でも「大いに役立ちました」
小学生からトッププロまで、指導してきた範囲は幅広い。かつて井端監督は「プロ野球選手に教えるよりも、子どもに教える方が難しい。子どもに教えることができれば、自分の指導者としてのスキルが上がる」と語っていたが、仁志監督も同意。「確かにプロ同士であればニュアンスで伝わる部分もありますが、子どもにはちゃんとわかるように、論理的に教えなければ伝わらない。U-12代表監督の経験は、横浜DeNAの2軍監督を務めるにあたって大いに役立ちました」と振り返る。
自身も大学代表や社会人代表として国際試合を戦った経験があるだけに、体感する大切さについて強調する。
「海外には見たこともない投げ方や打ち方をする選手がいたり、身長180センチの選手がいたり、物凄く速い球を投げるピッチャーがいたりする。メジャーリーグの試合を日本で普通に見られる時代になりましたが、(世界には)自分たちの知らないものがあることを、国際試合で実感してほしいです」
「自分の意思で発言し、行動できる人間になれるように」
過去に率いたU-12代表からは、昨年のドラフト3位で仙台育英高から阪神に入団した山田脩也内野手、今夏の甲子園を沸かせ、福岡ソフトバンクからドラフト4位指名された早稲田実業高の宇野真仁朗内野手らが育った。“教え子たち”に話が及ぶと「チームカラーは毎回違います。キャプテンが他の選手を引っ張ったケースもありました。今回のチームは少しやんちゃなところがありますが、常に誰かしら自主的に声を出しています」と目を細める。
「選手たちには『チームに貢献するためには何をすべきか』を常に考えていてほしい。自分の意思で発言し、行動できる人間になれるように、今大会がきっかけになればと思います」と力を込めた仁志監督。自らの目で選んだ15人の精鋭とともに、7日間の国際大会を戦い抜く。
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