社会人代表がアジア選手権を制覇 2大会ぶり20回目の優勝で侍ジャパン2023年を締める
12月3日から10日まで台湾を舞台に「第30回BFAアジア選手権大会」が開催された。日本からは川口朋保新監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」社会人代表が出場。オープニングラウンドから6戦全勝で、2大会ぶり20回目の優勝を飾った。
写真提供=Getty Images
全員20代の24選手で川口朋保監督の初陣に挑戦
12月3日から10日まで台湾を舞台に「第30回BFAアジア選手権大会」が開催された。日本からは川口朋保新監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」社会人代表が出場。オープニングラウンドから6戦全勝で、2大会ぶり20回目の優勝を飾った。
社会人代表チームは10月1日から開催された「第19回アジア競技大会」にも出場したが、セカンドステージで中国に敗れる波乱もあり、韓国、チャイニーズ・タイペイに次ぐ3位に終わっていた。その直後、任期満了に伴い、指揮官は石井章夫前監督から川口監督にバトンタッチ。代表メンバーも半数以上が入れ替わり、24選手全員が20代というフレッシュな顔ぶれとなった。
オープニングラウンドでフィリピン、パキスタン、タイと同組になった日本は、初戦はパキスタンと対峙。先発マウンドに上がった加藤三範投手(ENEOS)が気迫のピッチングを披露し、3回に味方失策で走者を背負ったものの、5回を無安打7奪三振無失点と寄せ付けなかった。打線は初回こそ3者凡退とされたが、2回に主将を務める中村迅内野手(NTT東日本)が先制点を挙げると、以降毎回得点を重ね、結局14-0で7回コールド勝利を収めた。
続くタイ戦でも、先発の秋山翔投手(三菱自動車岡崎)がキレのある投球で圧倒。4回をパーフェクトに抑える内容で打線に勢いを与えた。打線は、1点リードの2回に城野達哉捕手(西濃運輸)が右翼へ2点タイムリー二塁打を運ぶと打者一巡の猛攻撃。16-0で5回コールド勝利とし、スーパーラウンド進出を決めた。城野選手は5打点を挙げる活躍だった。
オープニングラウンド最終戦は、同じくスーパーラウンド進出を決めているフィリピンと対戦。日本は初回、猪原隆雅外野手(ミキハウス)の犠牲フライで1点を先制。3回にも3点を挙げるなど、危なげなく得点を重ねた。だが、先発した鈴木大貴投手(TDK)は初回の先頭打者に四球を与えるなど投球が安定せず。5回には2死二塁から打球をレフトに運ばれて1点を返されたり、6回には3連打を許したりと苦しい内容となった。それでも日本は投打に底力を発揮して9-1と勝利。全勝でスーパーラウンドへ駒を進めた。
チャイニーズ・タイペイ戦は延長戦までもつれる接戦に
スーパーラウンド初戦は、グループAを全勝で勝ち上がったチャイニーズ・タイペイとの対戦となった。プロ選手も擁するチャイニーズ・タイペイを前に先発マウンドを任されたのは、今夏の都市対抗野球でMVPにあたる橋戸賞を受賞した嘉陽宗一郎投手(トヨタ自動車)。2回から6回までは毎回安打を許しながらも、8回5安打9奪三振無失点と力投した。だが、打線は最速157キロを記録した孫易磊投手(北海道日本ハム)らを前に突破口を見出せず。4回と9回を除き、出塁こそするもののホームが遠かった。
試合は0-0のまま9回を終え、無死一、二塁から始まるタイブレーク制による延長戦へ突入。日本は打者2人が凡退し、2死一、二塁と追い込まれたが、ここで丸山壮史外野手(ENEOS)が奮起。三遊間を破る痛烈な打球を放つと、二塁走者だった中川拓紀内野手(Honda鈴鹿)が生還し、1点をもぎ取った。10回のマウンドに上がった渕上佳輝投手(トヨタ自動車)は2死から四球を与えて満塁とするも、最後は左飛に打ち取って試合終了。日本は接戦に競り勝ち、翌日に控えた韓国戦に弾みをつけた。
スーパーラウンド最終戦となった韓国戦は、攻守が噛み合った試合展開となった。今大会2度目の先発となった秋山投手が6回を5安打8奪三振1失点とすると、打線は3回に猪原選手のタイムリーなどで2点を先制。4回には矢野幸耶内野手(三菱重工East)と向山基生外野手(NTT東日本)の1・2番コンビが連続タイムリーで2点を加えると、8日にも向山選手のタイムリーで1点をダメ押しした。5-2で勝利した日本は全勝で決勝進出を決めた。
韓国戦に続き向山が値千金のタイムリー
決勝戦はスーパーラウンドで延長までもつれたチャイニーズ・タイペイと対戦。前回に続き、この日もまた手に汗握る拮抗した試合展開となった。先発マウンドに上がった加藤投手は5回まで毎回走者を背負いながらも要所を押さえ、6回を無失点とした。打線は3回、2死二塁から韓国戦でも活躍した向山選手がセンターへ先制タイムリー。その後はなかなか得点機を作れなかったが、渕上投手、嘉陽投手が無失点リレーを繋いで1点を守り抜いた。1-0で勝利した日本は、2大会ぶり20回目の優勝という最高の形で大会を締めくくった。
韓国戦と決勝のチャイニーズ・タイペイ戦で貴重な打点を挙げた向山選手は、MVPとベストナイン(外野手)をダブル受賞。さらには10打点で打点王にも輝いた。その他、嘉陽投手、矢野選手もベストナインに選出された。
2023年の侍ジャパンは、3月に2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™でトップチームの3大会ぶり優勝から始まり、今大会では社会人代表が2大会ぶり優勝を飾って1年を締めくくる形となった。2024年もまた各カテゴリーで重要な世界大会が予定されているが、それぞれのさらなる躍進を期待したい。
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