「みんなを質問攻めに」 井口資仁氏が語る佐々木朗希の探究心とWBCでの成長
6年ぶりの開催となる「ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」に向け、野球日本代表「侍ジャパン」は2月17日から「侍ジャパン宮崎キャンプ 2023」を実施。3大会ぶりの世界一奪還に向け、栗山英樹監督率いる侍ジャパンがいよいよ船出の時を迎える。
写真提供=Full-Count
昨季まで千葉ロッテで右腕を育成「楽しみが満載」
6年ぶりの開催となる「ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」に向け、野球日本代表「侍ジャパン」は2月17日から「侍ジャパン宮崎キャンプ 2023」を実施。3大会ぶりの世界一奪還に向け、栗山英樹監督率いる侍ジャパンがいよいよ船出の時を迎える。
3月9日から始まる「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール」の登録予定選手となった30人はいずれも、誰しもが納得する「今」の日本を代表する実力者ばかり。史上最強の呼び声高いメンバーに名を連ね、「日本の優勝のために、自分ができる精一杯のピッチングができればと思っています。優勝に貢献できるよう頑張ります」と意気込むのが、佐々木朗希投手(千葉ロッテ)だ。
プロ3年目の2022年、日本プロ野球では28年ぶり史上16人目の完全試合を達成。最速164キロを計測する“令和の怪物”にとって、昨年11月の強化試合「侍ジャパンシリーズ2022」に続く侍ジャパン入りとなった。メジャーリーグではダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)、大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)が大車輪の活躍を見せる中、成長盛りの佐々木投手が世界の強打者たちとどんな勝負を繰り広げるのか、野球ファンならずとも興味がそそられるだろう。
「彼の今の実力が世界でどれだけ通用するか、試してもらいたいと思いますね」
そう話すのは、昨季まで5年間、千葉ロッテで指揮を執った井口資仁氏だ。2019年ドラフト会議(新人選手選択会議)では4球団が佐々木投手を1位指名するも、監督だった井口氏が見事、抽選で交渉権を引き当てた。右腕の才能を高く評価し、入団後は焦らずにじっくりと育成。1年目は1軍に帯同させながらも体作りに専念させ、2年目以降も将来を見据えた起用を続けた。一番近くで成長を見守った教え子のWBC出場について「まだまだ成長しかない。楽しみが満載ですよ」と期待する。
国内外のトップ選手が集うWBCでの学びと成長に期待
「まずは日本を代表するメンバーと一緒に野球をできることが一番大事。高校の時も日の丸を背負って戦った経験はあるでしょうが、今回はもっとレベルが高い。ダルビッシュ投手や大谷投手などメジャーで活躍する選手も一緒なので、色々なものを吸収して、これからの自分にプラスにしてほしいと思います。多分、佐々木投手がみんなを質問攻めにするんじゃないですか(笑)」
佐々木投手が持つ野球への探究心は「僕が今まで出会った中でもトップレベル」と井口氏。昨季はシーズン途中に加入した、2019年ア・リーグ最多セーブを誇るロベルト・オスナ投手(現福岡ソフトバンク)と積極的にコミュニケーションを取り、ボールの握りや配球など投球について学んでいたという。
「野球に関して本当に貪欲。それは入団した時から変わりません。例えば、シーズンが終わったら、翌年の開幕日に投げることを想定し、逆算して考えたトレーニングにオフは取り組む。一日も無駄にしないし、無駄なことも一切しない。野球が上手くなりたいという気持ちで取り組んでいるから、そういう生活が楽しいんでしょうね」
「今の自分に何が必要なのか、何が足りないのかを感じ取ることができる」
WBC開幕時点で、佐々木投手は21歳。今回の代表メンバーでは高橋宏斗投手(中日)に次ぐ2番目の若さだ。成長著しい時期に“世界”を相手に戦い、多くの刺激を受けることはかけがえのない財産となる。井口氏もまた、青山学院大学4年生だった1996年に日本代表メンバーとなり、アトランタで銀メダルを手にした経験を持っている。
「あの時、対戦した米国代表やキューバ代表の選手たちが数多くメジャーリーグに進み、活躍した。その姿はいい刺激になりました。佐々木投手は当然、WBCでは結果を出さなければいけない立場にありますが、彼にとって成長や勉強のいい舞台になるでしょう。決勝ラウンドに進めばメジャーリーグの現役打者がたくさんいますから、実際に試合で対戦することで、今の自分に何が必要なのか、何が足りないのかを感じ取ることができますから」
先発ローテーションの軸としてシーズンを通じた活躍が期待されるプロ4年目の今季。佐々木投手はWBCで何を学び、何を吸収し、成長を遂げていくのか。令和の怪物が辿る進化の過程で、重要な意味を持つ大会となりそうだ。
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