2度の代表経験で学んだ謙虚な気持ち 埼玉西武ドラフト1位外野手が刺激を受ける仲間
埼玉西武のドラフト1位ルーキーで即戦力として期待される蛭間拓哉外野手(早稲田大学)。埼玉・浦和学院高3年時の2018年には野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表として「第12回 BFA U18アジア選手権」に、2022年7月には同大学代表の副主将として「第30回ハーレムベースボールウィーク2022」に出場した貴重な経験が、プロの世界でも武器になると考えている。
写真提供=Full-Count
2度の代表経験を持つ蛭間拓哉外野手「もっと頑張らないと通用しない」
埼玉西武のドラフト1位ルーキーで即戦力として期待される蛭間拓哉外野手(早稲田大学)。埼玉・浦和学院高3年時の2018年には野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表として「第12回 BFA U18アジア選手権」に、2022年7月には同大学代表の副主将として「第30回ハーレムベースボールウィーク2022」に出場した貴重な経験が、プロの世界でも武器になると考えている。
高校時代に戦った「U18アジア選手権」。日本は大阪桐蔭高の根尾昂内野手(現中日)、藤原恭大外野手(現千葉ロッテ)、秋田・金足農高の吉田輝星投手(現北海道日本ハム)、兵庫・報徳学園高の小園海斗内野手(現広島東洋)らそうそうたる顔ぶれで臨んだが、韓国、チャイニーズ・タイペイに敗れて3位に終わった。
「バットが金属から木に替わり、なかなか打てませんでした。韓国、チャイニーズ・タイペイがすごく強くて、周りのチームメートのレベルも高い中で、もっと頑張らないと通用しないと痛感しました」
直前の甲子園まで使用していた金属バットが、この大会では使えなかった。蛭間外野手は全5試合にスタメン出場し、14打数5安打(打率.357)3打点5四球をマークするも、「練習では木のバットも使っていたのですが、試合となると全然違う。打てるイメージを全く描けませんでした」。すでに大学進学を決めていたが、この年のドラフト会議(新人選手選択会議)で上位指名されることになる数多くのチームメートの姿を目の当たりにし、「活躍している選手は考え方、取り組み方が違う」と感じたという。「その中でも藤原とは宿舎ホテルで同部屋でしたが、普段はアニメ好きだったりするのに、練習でも会話でも、バッティングとなると目の色が変わった。めちゃくちゃ真剣でした」と感銘を受けた。
1点を追う最終回で最後のアウト「やってしまったなと思いました」
それから4年の歳月を経て迎えた「ハーレムベースボールウィーク」では、海外で行われる国際試合の難しさを思い知らされる。この時の大学代表の同級生にも、北海道日本ハムの矢澤宏太投手(日本体育大学)、東北楽天の荘司康誠投手(立教大学)、オリックスの曽谷龍平投手(白鴎大学)、千葉ロッテの菊地吏玖投手(専修大学)のドラフト1位指名4人に加え、埼玉西武4位指名でチームメートとなる青山美夏人投手(亜細亜大学)らが揃っていたが、オランダ、キュラソー、米国に次ぐ4位にとどまった。
特に開催国のオランダと対戦した準決勝は、「球場の雰囲気が完全アウェーで飲み込まれそうでした」という。1-0とリードして迎えた最終7回。先発の青山投手は2死まで無安打無得点に抑えていたが、そこから四球と左翼線二塁打で同点とされ、続く救援投手も打たれて逆転された。1点を追うその裏には、1死から蛭間選手が中前打を放って出塁したが、次打者の三塁ライナーで飛び出し、併殺となって無念のゲームセット。「ワンバウンドかライナーか、判断が難しい打球でした。相手の三塁手もノーステップで好送球。やってしまったなと思いました」と痛恨の思いが残った。
チームメートの中では、荘司投手と馬が合った。「2人とも外出したり騒ぐより、部屋でゆっくりスマホをいじったり、トレーニングや体のことについて話をする方が好き。自分は“陰キャ”(陰気なキャラクター)なので」と笑う。とは言うが、新年早々から始まった新人合同自主トレでは、練習の合間に人懐こい笑顔を浮かべる蛭間選手を中心に会話の輪ができるなど、コミュニケーション能力には長けている様子だ。「荘司とは今もLINEを通じて、『NPB新人研修で寝るなよ』とか『西武の寮にサウナがあるというのはうらやましい』といったやりとりをしています」と楽しそうに明かす。
いよいよ始まるプロ生活、刺激になる代表チームメートの存在
「日本代表のユニホームはかっこいいですし、日の丸を背負うというのは特別なことです」
高校時代と大学時代、2度経験できた「侍ジャパン」として時間は、蛭間選手に誇りを与えると同時に、同年代にはもっとうまい選手がいる、もっと強い国がある、もっとうまくならなければ、という謙虚な気持ちと向上心を植えつけた。
「レベルの高い人がいる中で経験できたことは、大きい財産になりました。侍ジャパンで一緒に戦った選手たちが各球団にいるので、負けないというプライドを持って、しっかり努力して結果を出していきたいです」
ともに日の丸を背負った数多くの仲間がいる限り、プロの世界でも努力を怠ることはない。
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