「成長するきっかけに」 U-12代表18選手が台湾で積んだ貴重な国際経験
7月29日から10日間にわたり台湾・台南市で開催された「第6回 WBSC U-12 ワールドカップ」は、米国が2大会ぶり4度目の優勝を飾り、閉幕した。井端弘和監督率いる侍ジャパンU-12代表は11チーム中7位と思うような結果を残すことは叶わなかったが、参加した18選手は貴重な時間を過ごした。
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3年ぶり開催の「WBSC U-12 ワールドカップ」で奮闘した井端ジャパン
7月29日から10日間にわたり台湾・台南市で開催された「第6回 WBSC U-12 ワールドカップ」は、米国が2大会ぶり4度目の優勝を飾り、閉幕した。井端弘和監督率いる侍ジャパンU-12代表は11チーム中7位と思うような結果を残すことは叶わなかったが、参加した18選手は貴重な時間を過ごした。
デジタルチャレンジ、最終トライアウトを経て代表入りした18選手は、7月22日に都内で始動。2日間の国内合宿を行い、24日に台南に到着した。新型コロナウイルス感染対策により2日間の隔離期間をおき、27日からグラウンドで汗を流し始めたが、開幕前からアクシデントに見舞われた。
オープニングラウンドで韓国、米国、ドミニカ共和国、チェコと同じグループBとなった日本(グアムは出場辞退)。上位3チームが進出するスーパーラウンドを目指し、29日の開幕戦に向けて準備を進めていたが、対戦予定だったドミニカ共和国の入国が遅れ、試合は8月3日に延期。これにより日本の初戦は30日の米国戦となった。
米国の強打に圧倒されるも、チェコ戦では本領発揮
ついに迎えた開幕戦で、日本は序盤から米国の勢いに押される形となった。前日のチェコ戦で24得点を挙げた米国は、開幕マウンドを任された柏木春瑛選手(小平リトル)から初回に3点を奪取。4回にも日本のミスに乗じて4点を挙げた。日本は3回に柏木選手の2ラン、4回には小林亮博選手(東京中野リトル)の犠飛などで、2度も1点差まで追い上げたが追い越せず。逆に、6回に一挙14点を奪われ、6-21で敗れた。
翌日の第2戦は韓国と対戦。日本は2回に石川莉大選手(熊谷リトルシニア)の二塁打で先制したが、3回に逆転され、4回には2点ビハインドとなった。5回は林虎之介選手(東京中野リトル)が好投も、打線が打ちあぐねて追加点を奪えず、1-3で2連敗となった。
8月1日の第3戦でチェコと対峙した日本は、ようやく本領発揮。石川選手、内田篤玖選手(越谷リトル)、成田遥喜選手(深谷市リトル)が走者を1人も出さずに4回完封リレーを披露すると、打線は17安打15得点の猛攻を仕掛け、15-0で4回コールド勝利。大会初白星でスーパーラウンド進出に望みを繋いだ。
迎えたオープニングラウンド最終戦。ここまで1勝2敗の日本は2勝1敗のドミニカ共和国と対戦。得失点率の関係上、スーパーラウンドに進むには2点差以上での勝利が必要だった日本は初回、1点の先制に成功した。だが、その裏に守備の乱れもあって5点を献上。反撃のチャンスを狙ったが、そのまま試合終了。1勝3敗でグループBの4位となり、スーパーラウンド進出ならず。7位以下を決めるプレイスメントラウンドに回ることになった。
チームとして機能し始めたプレイスメントラウンドでは3連勝
4日からのプレイスメントラウンドで、日本はパナマと対戦。初回2死から振り逃げで好機を生み、濱野誓良選手(流山ボーイズ)らのタイムリーで2点を先制すると、3回と5回にも追加点を挙げた。投げては林選手が5回2安打無失点の好投。最終6回は秋元陽太選手(大宮東リトル)が抑え、5-0と完封勝利を挙げた。
徐々にチームとして機能し始めた日本は、続く南アフリカ戦で打線が爆発。初回にこの日が初出場の藤田雛大郎選手(墨田リトル)が放った三塁打で2点を先制すると、2回以降も毎回得点を重ね、14-0で5回コールド勝ちを収めた。
最終戦となった6日はイタリアと対戦。2回に周東希虎選手(東京城南ボーイズ)、川村亮惺選手(東京日野リトル)らのタイムリーで一挙12得点を記録。最後は開幕投手でもあった柏木選手が3三振で締め、18-0で4回コールド勝ち。プレイスメントラウンドで3連勝した日本は、7位で今大会を終えた。
目標達成ならずも、勝敗を超えたかけがえのない経験
大会初優勝を目標に台湾へ向かった日本にとって、7位という成績は決して満足いくものではなかっただろう。また、わずかな準備期間でチームとして戦う難しさもあったかもしれない。だが、この大会期間中、全国から選ばれた18選手は同年代のトップ選手に刺激を受けたり、海外選手のパワーに驚いたり、親元を離れて共同生活を送ったり、勝敗を超えたかけがえのない経験を積めたはずだ。
以前、井端監督は「U-12代表に選ばれたことに自信を持ちながらも、そこがゴールではなく成長するためのきっかけだと思って、色々なことを経験し、吸収してもらいたいですね」と話していたことがある。勝つ喜び、負ける悔しさ、優れたプレーに対する驚き……。2022年夏、台湾で味わった様々な経験と感情を、次のステージへ向かう過程でどうやって生かしていくのか。18選手の挑戦は、始まったばかりだ。
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