侍ジャパンU-12代表が成長を実感したアジア選手権 順位以上の価値ある成長

2018.9.3

8月13日から19日に台湾・台北で開催された「第10回 BFA U12アジア選手権」で、侍ジャパンU-12代表は3位だった。2年前の前回大会は優勝。目標としていた2連覇は達成できなかったが、試合を重ねて選手たちは確実に成長を遂げた。5年連続でU-12代表の指揮を執った仁志敏久監督は「野球ではすごく積極性が出てきた。私生活でも、みんなでルールを守って生活するということで、すごく成長したところだと思います」と称えた。

写真提供=Getty Images

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仁志監督が2連覇とともに考えた、選手たちの将来

 8月13日から19日に台湾・台北で開催された「第10回 BFA U12アジア選手権」で、侍ジャパンU-12代表は3位だった。2年前の前回大会は優勝。目標としていた2連覇は達成できなかったが、試合を重ねて選手たちは確実に成長を遂げた。5年連続でU-12代表の指揮を執った仁志敏久監督は「野球ではすごく積極性が出てきた。私生活でも、みんなでルールを守って生活するということで、すごく成長したところだと思います」と称えた。

 8か国が参加した今大会。4チームずつ、2つのグループに分けて行われた予選ラウンドで、日本はチャイニーズ・タイペイ、インドネシア、スリランカと同組になった。その初戦の相手は、過去6度の優勝を誇る地元のチャイニーズ・タイペイ。平均身長157.5センチの日本に対し、チャイニーズ・タイペイは163.7センチと体の大きな選手が多く、力のあるチームだった。試合は4-8で逆転負けし、「この子供たちの試合になってからの力量や状況の理解度などを、こちらもまだ把握仕切れていなかった」と仁志監督。選手たちも「台湾の応援が……」と、初めて経験する会場が一体となったアウェーの雰囲気に飲まれたところもあった。初戦でいきなり山場を迎える形となり、厳しい状況だった。

 2戦目はインドネシアを21-0の4回コールドで下し、3戦目は12-2の5回コールドでスリランカに勝利。予選ラウンドを2勝1敗とし、グループAの2位でセミファイナルに進んだ。1戦目はグループBの1位・韓国と対戦。決勝進出をかけた戦いを前に仁志監督は「(韓国は総合力が)日本と同じくらいなんですよ、いつも。日本よりちょっと力があるかな。体の力が強いので、当たったら飛ぶし、野球の形が良くできているので失敗が少ない。打てるかどうかわからないので、点を取られないようにしていかないと」と話していた。

「最初の頃の、なかなか振らないという、そういう子たちではなくなった」

 試合は当初の予定よりも1時間30分、早まることが前日に決定。ところが、当日はスコールがあり、球場入りから約4時間後に試合は始まった。ゲームは初回に2死から2つの四球の後に暴投が続いて日本が先制。宇野真仁朗外野手の適時二塁打で2点目を奪った。しかし、3回に逆転を許すと、4回に追いついたものの、5回にミスから決勝点を献上。3-4で敗れ、決勝進出を絶たれた。セミファイナル2戦目はパキスタンに16-1の4回コールドで快勝。翌日の3位決定戦では、先発マウンドに上がった西村大和内野手がパキスタンを無安打無得点に抑え、10-0の5回コールドで下し、銅メダルを獲得した。

 予選ラウンドで仁志監督は「最近は慎重にボールを見ていく子が結構多い。見ているうちに簡単に追い込まれてしまう」「どんな相手でも上手にやろうとしてしまう」などと感じ、力を出し切れない選手たちの成長を期待した。野球ではまだ発展途上にある国との対戦もあったため、「ヒット数ほど、まともなヒットは出ていないと思う。記録的な結果ではなく、内容を求めるような選手になってほしい」とも言った。連覇を目指す中で考えていたのは、選手たちの将来。先につながる野球になるよう、導いた。

 ラストゲームとなった3位決定戦では西村を中心に守りが堅く、内容のある安打が多く生まれた。チームの集大成にふさわしいゲームになり、仁志監督は「最初の頃の、なかなか振らないという、そういう子たちではなくなったかなと思います。バットを振って、打って出る。積極的に振っていく、打てるボールは打ちにいくということを身につけてくれたかなと思います」と成長を実感。結果は3位だったが、選手たちは日の丸をつけて大きくなった。

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