侍ジャパン、7日に第4回WBC初戦のキューバ戦 2大会ぶりの世界一はなるか
第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)が6日に開幕。野球日本代表「侍ジャパン」は7日に1次ラウンド初戦のキューバ戦(東京ドーム)に挑む。23日から宮崎で4日間の強化合宿を行い、その後の壮行試合などを含めて計5試合の実戦をこなしてきたチームは、2大会ぶりの世界一に輝くことができるだろうか。
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宮崎での強化合宿から5試合を消化し本番へ、注目されていた4番争いは筒香で「固定」
第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)が6日に開幕。野球日本代表「侍ジャパン」は7日に1次ラウンド初戦のキューバ戦(東京ドーム)に挑む。23日から宮崎で4日間の強化合宿を行い、その後の壮行試合などを含めて計5試合の実戦をこなしてきたチームは、2大会ぶりの世界一に輝くことができるだろうか。
4日間の強化合宿では、チームの「骨格」が徐々に明らかになった。まずは、最大の注目となっていた4番争い。小久保裕紀監督は合宿初日に筒香嘉智外野手(横浜DeNA)を呼び、大役を任せることを伝えた。もう1人の候補だった中田翔内野手(北海道日本ハム)は、基本的に5番を任されることになりそうだ。
筒香の4番起用について、指揮官は「固定です」と明言。さらに「(WBC)本大会もそうです。(合宿の)初日に彼を呼んで、その話をしました。(筒香は)心構えができていたようでした」と語った。また、中田については「彼(筒香)の後ろを打つ打者が大事。そこに中田が入ってこないと。やってもらわないといけない感じです」と期待を寄せた。
日本の4番打者は、本大会開幕前の試合でも随所で勝負強さを発揮。2月28日、3月1日に行われたCPBL選抜チャイニーズ・タイペイとの壮行試合(ヤフオクドーム)では、初戦の初回に同点タイムリーを放つと、第2戦でも6回に2点適時打をマークするなど3打点を挙げた。本人は「順調に来ている」と手応えを示しており、本番でも力を見せつけてくれそうだ。
また、野手陣でもう1つの注目ポイントなっていた二塁の定位置争いでは、圧倒的な守備力を誇る菊池涼介内野手(広島東洋)、史上初の2年連続トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成した山田哲人内野手(東京ヤクルト)を“共存”させるための起用法が試された。
光る菊池の好調ぶり、本番では山田の起用法が鍵に
2月25日のソフトバンクとの「2017 侍ジャパンオープニングマッチ」(KIRISHIMAサンマリン宮崎)、同28日のCPBL選抜チャイニーズ・タイペイ戦では、山田を「1番・DH」、菊池を「2番・二塁」で起用。2人の持ち味を生かすための布陣となったが、菊池が2試合連続3安打と結果を残した一方、山田は2試合で内野安打1本のみという結果に終わった。
続く3月1日のCPBL選抜チャイニーズ・タイペイ戦は、小久保監督はあえて好調の菊池に“休養”を与え、山田を「1番・二塁」に据えた。試合前に「勝つためには山田の状態が上がってこないと厳しい。ずっとDHだったので、(二塁を守ることで)バッティングにいい影響が出て、(復調の)きっかけになればいいというオーダー」と説明した指揮官の期待に応え、山田は見事に先頭打者ホームランをマーク。本人は試合後に「(二塁での先発で)違和感なく試合に臨めました。慣れているというのがあるので」と話した。
ただ、小久保監督は山田を二塁以外の守備には基本的にはつかせない方針。あるとすれば三塁ではなく、練習試合で内川聖一外野手(福岡ソフトバンク)が負傷交代した際に守った一塁だが、中田の定位置でもある。一方で、守備力抜群の菊池が打撃好調となれば、二塁から外すことは考えにくい。DHで力を発揮してくれれば問題はないが、山田の起用法は本番でも鍵となりそうだ。
投手陣に目を移してみると、1次ラウンドの先発候補3人は強化合宿から充実ぶりが光った。7日のキューバ戦は石川歩投手(千葉ロッテ)の登板が発表され、8日のオーストラリア戦は菅野智之投手(読売)、10日の中国戦は武田翔太投手(福岡ソフトバンク)の登板が予想されている。毎大会、大きな注目を浴びるのが滑るとされるWBC公式球への対応だが、この3人はしっかりと対応してきた。
石川は1日のCPBL選抜チャイニーズ・タイペイ戦で2番手で登板し、3回を3安打1失点6奪三振。最大の武器であるシンカーに加え、国際大会で有効とされるカーブの切れ味が光った。そして、この試合では菅野が先発。侍ジャパン合流後初の投球練習を行った2月27日に権藤博投手コーチが「一言、モノが違う」と絶賛したエースは、4回を58球にまとめて4安打無失点3奪三振と好投した。
注目の守護神や、ブルペンで重要な役割を担う選手は?
小久保監督は試合後に「なんといっても菅野、石川がいいピッチングをしてくれた」と称賛。権藤コーチも「2人ともいい味を出していた」と手応えを感じた様子だった。武田もWBC公式球への対応について「問題ない」と話し、決め球のカーブも実戦でしっかり操れている。3日の阪神戦では2回4安打3失点と乱れたが、逆にいい反省材料となりそうだ。あとは、2月28日のCPBL選抜チャイニーズ・タイペイ戦で3回6安打3失点と苦しんだ則本昂大投手(東北楽天)が本番にしっかりと合わせられるか。5日のオリックス戦も、予定されていた“最終登板”を体調不良で回避した。菅野とともに大黒柱の一人と考えられているだけに、注目が集まる。
また、救援陣では小久保監督がメンバー選考の際に「右左の少し変則、サイド気味の秋吉、宮西というのを軸に考えました。彼ら2人は早めからメンバーの構成に入ってました」と明かした右腕の秋吉亮投手(東京ヤクルト)、左腕の宮西尚生投手(北海道日本ハム)が順調にきている。投手陣で唯一の前回大会経験者となる牧田和久投手(埼玉西武)はCPBL選抜チャイニーズ・タイペイを相手に2回6安打1失点と大乱調に終わったが、阪神戦では3回からの2イニングを“6者凡退”の完璧投球。小久保監督も絶大な信頼を寄せる。こちらも重要な役割を任されそうだ。
注目の守護神は、松井裕樹投手(東北楽天)、平野佳寿投手(オリックス)の名前も候補に挙がっていたが、5日のオリックス戦後に小久保監督が秋吉を指名。「今の時点で、(抑えの)第1候補になってくると思います」と話した。連覇を達成した2009年の第2回大会では、当初は先発だったダルビッシュ有投手(現レンジャーズ)が準決勝以降にクローザーに抜擢されているが、救援陣の状態次第では同じような起用法もあるかもしれない。
小久保監督の中で、優勝へ向けた選手の“活用方法”はイメージできているはず。個々の調子を見極め、我慢をしたり、非情な決断を下すような場面も出てくるはずだ。当然、まず重要になるのは1次ラウンドの3試合。キューバは韓国との練習試合で連敗を喫するなどWBC前は結果が出なかったが、その実力は未知数。オーストラリアは伝統的に投手力が高く、メジャー通算82勝の左腕ブルース・チェンらを擁する中国も侮れない。
厳しい道のりを進み、世界一に返り咲けるか。侍ジャパンの戦いがいよいよ始まる。
【了】
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