大学代表で増した自信とキャプテンシー 中日・柳裕也が語る侍ジャパンの特別感

2020.6.22

野球ができない時間は思った以上に長かった。ようやく、ペナントレースの幕が上がった。予期しなかった事態を乗り越えていくため、今こそ必要なのは「団結」。その大切さを、中日・柳裕也投手は知っている。

写真提供=Full-Count

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明治大学4年生で大学代表に選出、ドラフト上位指名候補の中で主将を拝命

 野球ができない時間は思った以上に長かった。ようやく、ペナントレースの幕が上がった。予期しなかった事態を乗り越えていくため、今こそ必要なのは「団結」。その大切さを、中日・柳裕也投手は知っている。

 明治大学4年生の時に選ばれた侍ジャパン大学代表。主将を務めた2016年7月の「第40回 日米大学野球選手権大会」での経験が、プロの世界で戦う今にも生きている。

 明治大学の主将でもあった柳投手は、大所帯でまとめるのに一苦労の野球部とは、また違った感覚で大学ジャパンを見渡していた。

「まとめるというよりは、みんなレベルも意識も高い選手ばかりだったので、自然とまとまっているという感じでした」

 日の丸を背負い、強敵・米国に立ち向かう。「一つの目標に向かっていくという意識は、最初からチーム内にありました。だから、キャプテンらしいことは特に……」と謙遜して振り返る。

2連勝からの2連敗、重たい雰囲気の中で開かれた選手主導のミーティング

 新潟、東京、静岡を舞台に戦った5試合。日本は初戦、第2戦と連勝し、はやくも優勝に王手をかけた。柳投手自身も第2戦に先発し、7イニングスを2安打12奪三振の無失点に抑える快投。その年のドラフト上位指名候補たちが集まるチームは、「個の力」が際立っていた。だが、そこから2連敗。特に第4戦は2-10の大敗で、チームには重たい雰囲気も漂っていた。

 大学ジャパンとして、真価が問われる局面。すぐさま、主将は動いた。第4戦の後、急遽選手たちでミーティングを開き、それぞれの気持ちを確認し合った。日本を代表して戦う使命感や責任感、そして感謝……。

「その時、チームの空気が変わって、一つになっていっているなというのを感じました」

 迎えた最終第5戦。先発した柳投手は5回途中を無失点に抑え、中盤まで4点リードする展開となった。終盤に満塁本塁打で同点に追いつかれるも、タイブレークの延長10回に犠飛で勝ち越してサヨナラ。真の団結が生んだ歓喜だった。

「めちゃくちゃいい経験になりました」と、柳投手は当時の記憶を思い起こす。個人としても2試合に先発して無失点に押さえ、MVPに選出された。積極的に振ってくる米国の打者たちに対し「変化球はいい反応をしてくれていて、自分の中でも使える球だなと再確認できました」。曲がりの大きなカーブやカットボールに、自信が増した。

3年目の昨季はチーム最多の11勝 「僕らの世代が頑張っていかないと」

 その秋の明治神宮野球大会では、明治大学が優勝。柳投手は「日本一の主将」にもなり、ドラフト1位指名を受けて中日に入団した。「キャプテン感とか出したくないし、チームをまとめるとかガラじゃないですよ」と頭を掻くが、環境が育ててきた「キャプテンシー」は成績とともに表れてきている。プロ3年目の昨季はチーム最多の11勝。長年Bクラスに低迷する中で「僕らの世代が頑張っていかないといけない」と責任も背負う。

 真価が問われる4年目は、誰しもが経験したことのない状況に置かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕は3か月遅れに。状況を見守るほかなかったが、いつかグラウンドに真剣勝負が戻ってくる日に備え、調整を進めてきた。まだ各地で感染者や死者が出る状況下で、野球をやらせてもらえる意味は十分に理解している。

「僕らにできることをする」

 チームの、球界の、そして、見てくれる誰かの活力になるべく、マウンドの上で躍動する。

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