「プレミア12」で世界一へ…強化試合で見えた侍ジャパンの「課題」と「収穫」

2019.11.5

2019年11月2日(日本時間3日)に開幕する「第2回 WBSCプレミア12」に出場する野球日本代表「侍ジャパン」。2次合宿を行った沖縄・那覇市では「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019」カナダ戦を行い、11月5日に初戦を迎える本大会へ向けた試金石の場とした。

写真提供=Getty Images

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強化試合では初戦でカナダに惜敗も…稲葉監督「色々なことが出たほうが修正点は見えてくる」

 2019年11月2日(日本時間3日)に開幕する「第2回 WBSCプレミア12」に出場する野球日本代表「侍ジャパン」。2次合宿を行った沖縄・那覇市では「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019」カナダ戦を行い、11月5日に初戦を迎える本大会へ向けた試金石の場とした。

 10月31日に行われた第1戦。結果的にはカナダに5-6で敗れることとなったが、そこには「課題」と「収穫」がしっかりと表れていた。試合後、稲葉篤紀監督は「色々なことが出たほうが修正点は見えてくる。選手は試合勘を取り戻しながら、我々はこういう野球をやるというのを作っていく」と、悲観することなく、前を向いて言い切った。

「課題」となったのは、先発した山口俊投手(読売)の仕上がりと、序盤苦戦を強いられた打線だ。

 山口投手は2回に4安打4四球と乱れて大量6失点。武器であるフォークが決まらず、苦しい投球となった。先発の柱として期待される右腕の乱調だったが、「修正点は分かっていますので、次に向けて修正してくれる」と稲葉監督の信頼は揺るぎない。本番までに本来の投球を取り戻してくれることを期待した。

 打線はカナダ先発のオーモン投手の前に3回までわずか1安打。150キロ前後の手元で動くカットボールに苦戦し、9つのアウトのうち、6つが内野ゴロだった。4回以降、徐々に反撃して1点差には詰め寄ったものの、国際大会で必ずと言っていいほどテーマになる“速く動くボール”への対応について課題は残る。対策について、指揮官は「選手がどう感じているかを聞きながら、どうしていくか考えていきたい」と語った。

「収穫」はリリーフ陣&機動力&粘り、“切り札”周東のスピードに「素晴らしい足」

 一方で、無失点リレーで繋いだ2番手以降のリリーフ陣、そして、機動力と粘りは「収穫」だった。

 山口投手が6点を失って以降は2番手の田口麗斗投手(読売)、高橋礼投手(福岡ソフトバンク)、山岡泰輔投手(オリックス)、大竹寛投手(読売)、嘉弥真新也投手(福岡ソフトバンク)、甲斐野央投手(福岡ソフトバンク)と6投手が無失点で繋いだ。指揮官も「出されたところで結果を残していましたので頑張ったと思います」と一安心の様子だ。

 5回には無死一、二塁のチャンスで菊池涼介内野手(広島東洋)が相手守備陣の隙を突き、一塁へのセーフティバントを成功。菊池内野手は7回には三盗も決めた。9回には近藤健介外野手(北海道日本ハム)の右前適時打で1点差に迫ると、その近藤外野手の代走として“切り札”周東佑京外野手(福岡ソフトバンク)を起用。周東外野手は続く松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)への初球でキッチリと盗塁を決めて二塁へと進んだ。

 最後は松田内野手が左飛に終わったため、同点に追いつくことはできなかったが、周東外野手の脚力を測ること、そして本番で同様の状況になった際の格好のシミュレーションにもなった。稲葉監督も「あそこで一発で走る勇気もそうですけど、素晴らしい足だなと感じました」と語っており、その力を推し量るためには重要な機会となった。

 日本シリーズに出場していた福岡ソフトバンクと読売の選手たちがチームに合流したのは、チーム本隊が宮崎から沖縄へ移動した27日。カナダ戦は3日間の調整期間を経て、全選手が揃って初の実戦の機会だった。

「野手陣には実戦感覚というところもありましたし、外国人の投げるボールに対しても途中から慣れ始めた。全員が揃っての初めての試合で探り探りの部分があった」と語る稲葉監督。このカナダ戦は「プレミア12」への貴重な糧となるはず。目前に迫る本大会。悲願の世界一を目指す戦いが、いよいよ始まる。

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