2018年侍ジャパン全カテゴリーの熱戦を振り返る トップチーム日米野球の圧巻勝利で幕
野球日本代表「侍ジャパン」は11月9日から15日に開催された「2018日米野球」でMLBオールスターチームに5勝1敗と圧勝し、今シーズンの活動を終えた。2018年はアンダー世代も国際大会で奮闘し、日本は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の世界ランキングで米国に次ぐ2位とした。2019年11月に日本で開催される「第2回 WBSCプレミア12」には、世界ランク上位12チームに参加資格が与えられるが、日本は全世代一丸となった活躍で出場を“当確”とした。
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全世代の思いを受けて、2019年「第2回 WBSCプレミア12」へ
野球日本代表「侍ジャパン」は11月9日から15日に開催された「2018日米野球」でMLBオールスターチームに5勝1敗と圧勝し、今シーズンの活動を終えた。2018年はアンダー世代も国際大会で奮闘し、日本は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の世界ランキングで米国に次ぐ2位とした。2019年11月に日本で開催される「第2回 WBSCプレミア12」には、世界ランク上位12チームに参加資格が与えられるが、日本は全世代一丸となった活躍で出場を“当確”とした。
女子代表も「第8回 WBSC女子野球ワールドカップ」で前人未踏の6連覇を達成するなど、実りの多い1年となった侍ジャパン。その2018シーズンをカテゴリーごとに振り返りたい。
オーストラリア戦、日米野球でも臆せずに実力発揮
トップチームは3月に「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018 日本vsオーストラリア」を戦った。ナゴヤドームで行われた第1戦は2-0、京セラドーム大阪で行われた第2戦は6-0で、いずれも侍ジャパンが完封勝ち。千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)や則本昂大投手(東北楽天)ら投手陣がオーストラリア打線を圧倒。打線では柳田悠岐外野手(福岡ソフトバンク)と筒香嘉智外野手(横浜DeNA)のパワフルコンビが軸となったほか、秋山翔吾外野手(埼玉西武)がリードオフマンで出場した第2戦に4打数3安打2打点と躍動した。
先頃開催された「2018日米野球」では、2020年を視野に入れ、岡本和真内野手(読売)、源田壮亮内野手(埼玉西武)、山川穂高内野手(埼玉西武)、高橋礼投手(福岡ソフトバンク)ら初選出組、そして柳田外野手、秋山外野手、菊池涼介内野手(広島東洋)ら常連組が融合したチーム編成となった。メジャー最高捕手の呼び声高いヤディエル・モリーナ捕手(セントルイス・カージナルス)、今季ナ・リーグ新人王のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)ら注目野手が多いMLBオールスターチームと6試合を戦ったが、侍ジャパンは5勝1敗と圧倒的な勝利を飾った。
この6連戦では打線が爆発。第1戦では柳田外野手の劇的な逆転サヨナラ3ランで勝利をつかめば、第2戦は逃げ切り勝利。第4戦には、田中広輔内野手と菊池内野手の広島東洋コンビが9回に勝ち越しスクイズを決めるなど、多彩な攻撃でMLB投手陣を攻略した。稲葉篤紀監督は「2020年に向けて、非常にいい6戦が戦えたと思います。選手は個々にいろいろなことを感じたと思いますが、皆、必ずこの経験を生かして成長してくれると思っています」と大きな手応えを感じた様子だった。
大学代表は2大会で優勝、U-15代表は4位、U-12代表は3位に入賞
他のカテゴリーを見てみると、まず大学代表が7月3日から9日に米国で「第42回 日米大学野球選手権大会」を戦い、2勝3敗で惜しくも負け越した。だが、同時期の7月6日から15日に開催された「第6回 FISU世界大学野球選手権大会2018」では大奮闘。予選ラウンドを3戦連勝で首位通過すると、スーパーラウンドでも2連勝。チャイニーズ・タイペイと戦った決勝も勝利し、6戦全勝で見事優勝を飾った。
大学代表は7月13日からオランダで開催された「第29回 ハーレムベースボールウィーク」でも6戦全勝で優勝し、埼玉西武にドラフト1位指名された右腕、松本航投手(日本体育大)が最優秀投手、東北楽天に1位指名された辰己涼介外野手(立命館大)が本塁打王とMVPに輝いた。
侍ジャパンU-15代表は、8月10日から19日にパナマを舞台とした「第4回 WBSC U-15ワールドカップ」に出場した。清水隆行監督の下、全国から集まったU-15戦士は熱戦を展開。予選グループで強敵キューバに敗れたが、4勝1敗でスーパーラウンドに進出した。強豪集うスーパーラウンドでは苦戦を強いられ、パナマと米国に黒星。3位決定戦ではチャイニーズ・タイペイに3-6で屈し、4位で大会を締めくくった。
8月13日から19日まで台湾で開催された「第10回 BFA U12アジア選手権」を戦ったのは、仁志敏久監督率いるU-12代表だ。予選グループの初戦で、いきなり地元チャイニーズ・タイペイに敗れる波乱の幕開けとなったが、2勝1敗でスーパーラウンドに進出。ここでは韓国に3-4で惜敗し、3位決定戦に回ったが、最後はパキスタンに10-0で完封勝利し、3位入賞で終えた。
社会人代表は8月26日から9月1日にインドネシアで行われた「第18回 アジア競技大会」に出場。予選ラウンドを3戦全勝で通過すると、スーパーラウンド初戦の韓国戦で初黒星。決勝でも韓国に3-0と敗れ、2位で大会を終えた。
U-18代表は3位、U-23代表は決勝で惜敗、女子代表はW杯6連覇の偉業
吉田輝星投手(金足農高)、小園海斗内野手(報徳学園高)、柿木蓮投手、藤原恭大外野手、根尾昂内野手(いずれも大阪桐蔭高)ら夏の甲子園を沸かせた注目選手が出場したのは、9月3日から9月10日まで宮崎市内で行われた「第12回 BFA U18アジア選手権」だった。侍ジャパンU-18代表が大会2連覇を狙ったが、残念ながら韓国、そしてチャイニーズ・タイペイに敗れて3位に終わった。夏の甲子園終了直後の強行スケジュールの中でも、永田裕治監督の下で選手たちは奮闘。韓国、チャイニーズ・タイペイに敗れて決勝進出を逃したが3位を死守し、2019年の「第29回 WBSC U-18ワールドカップ」出場権を確保した。
連覇を狙った「第2回 WBSC U-23ワールドカップ」では、トップチーム同様、稲葉監督が指揮を執った。プロと社会人が一体となる混成チームとなったが、各チームから将来有望な若手選手が集結。トップチームの予備軍とも言える若き侍戦士が、コロンビアで熱戦を繰り広げた。開幕から8戦連勝で迎えたメキシコとの決勝戦。侍ジャパンは延長10回タイブレークの末に1-2で惜敗し、惜しくも連覇を逃した。それでも、大会MVPには安田尚憲内野手(千葉ロッテ)が輝き、最優秀防御率で山崎颯一郎投手(オリックス)、最優秀勝率で種市篤暉投手(千葉ロッテ)、最多得点で島田海吏外野手(阪神)、ベストナインで成田翔投手と安田内野手(ともに千葉ロッテ)が表彰されるなど、今後に向けて手応えを得た大会となった。
女子代表は8月22日から31日に米国フロリダ州で開催された「第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ」で圧倒的な強さを発揮し、前人未踏の6連覇を達成。エースの里綾実投手(愛知ディオーネ)が大車輪の活躍を見せ、MVPを獲得。初の女性監督としてチームと率いた橘田恵監督が、堂々たる成績を残した。
最終的な順位こそ、思った結果にならなかったカテゴリーもあるが、WBSCの世界ランキングはトップチームだけではなく全カテゴリーの獲得ポイントが積算されたもの。各カテゴリーの努力と奮闘があってこそ、2位という好位置につけている。全カテゴリーの思いを受けて、来年開催される「第2回 WBSCプレミア12」では初優勝を飾り、2020年の東京に繋げたい。
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次回:12月3日20時頃公開予定