侍ジャパンでも書き続けた野球ノート 23歳・井上温大が得た経験「これが代表の重みか」

2025.1.27

読売の井上温大投手は、昨年11月に開催された「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で野球日本代表「侍ジャパン」に初選出された。11月13日のオープニングラウンド・グループB初戦のオーストラリア戦では先発を任され、6回途中5安打2失点と好投。侍デビュー戦で初勝利を飾った。

写真提供=Full-Count

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読売・井上は侍ジャパンのデビュー戦で初勝利、3戦3勝の好成績

 読売の井上温大投手は、昨年11月に開催された「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で野球日本代表「侍ジャパン」に初選出された。11月13日のオープニングラウンド・グループB初戦のオーストラリア戦では先発を任され、6回途中5安打2失点と好投。侍デビュー戦で初勝利を飾った。

「緊張しましたね。シーズン中の緊張とは違いました。鳴り物の応援もなく静かで、キャッチャーのミットの音は聞こえる。マウンドの土を踏む足の音も聞こえて気持ち悪く感じました。それに日本代表は抑えて当たり前。世界ランク1位で、打たれたら批判を受けると思っていました。これが日本代表の重みかと思いました」

追加招集から開幕投手へ「全部が急に進みすぎて…」

 1年前は想像できなかった舞台だ。読売では2023年までの4年間で1勝にとどまったが、高卒5年目だった昨季は25試合に登板。8勝5敗、防御率2.76と好成績を残し、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。シーズン終了後の10月、1本の電話が運命を変えた。読売で総合コーチを務めている侍ジャパンの村田善則バッテリーコーチからだった。

「選ばれる前に会議があったみたいで、その時に『(侍ジャパンに)推薦していいか』と言われて。『もちろんお願いしたいです』と言いました。そしたら3時間後に連絡が来て。驚きました。本当に僕でいいのかなと思いました」

 そこからはジェットコースターのようだった。「侍ジャパン宮崎秋季キャンプ2024」の初日だった10月29日、井端弘和監督から11月13日のオーストラリア戦での開幕投手を通達された。右足関節捻挫のために出場辞退した伊藤大海投手(北海道日本ハム)の代替選手として追加招集され、まさかの大役。その時の井端監督との会話は「全く覚えていない」という。

「びっくりしたというか、全部が急に進みすぎて、頭に入ってこなかったです。井端監督から何を言われたかも、あまり覚えてなくて。日が経つにつれて、『あ、やっぱり先発するんだ』と理解していきました」


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先に備えて書き記す野球ノート「代表期間中は書くことがいっぱい」

 初めての侍ジャパン。若手主体とはいえ、チームメートは年上の投手ばかりだった。一時も無駄にしたくなかった。前橋商業高2年時から書き出した野球ノートに、日々の学びを記していった。

「僕は結構、ノートに書くんです。教わったことを。書くことですごく頭の中を整理できる。良かったところ、悪かったところ、改善するところを箇条書きで。代表期間中は書くことがいっぱいありました」

 ノートに書き記したことは、すぐに実践する内容ではない。これから長いプロ生活を見据えての内容が多いようだ。

「高校2年生の時から書き始めて4冊くらいです。でも、まだあまり見返さないんです。今のところ。技術的なことにまだ壁を感じていないので。必要になった時に見返せればと思っています」

WBC世界一へ導いた大谷翔平は「別世界にいる方、神様という感じです」

「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(WBC)は来年3月に迫っている。世界一奪回した前回の2023年大会はテレビ観戦していた。「(大谷翔平選手は)別世界にいる方、神様という感じです。もちろん野球をやっていれば誰もが目指すところ」。国の威信をかけて戦う大一番は、まだ夢の舞台のようだ。

「代表メンバーは僕が決めることではないので、全く考えていないです。まずは今年、1軍で戦い抜くことが何より重要。そこで結果を残して初めて言えると思うので。昨年は自分の中ではキャリアハイでしたが、何年も積み重ねてこそプロだと思います。まずは“2年目”ができるように頑張りたいです」

 足元を見つめて新シーズンへ臨む。

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写真提供=Full-Count, Getty Images

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