第1回優勝メンバーからは11人がメジャー移籍 WBCを経て海を渡った男たち

2023.5.15

3月に開催された「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)では、3大会ぶりに優勝を飾った野球日本代表「侍ジャパン」の活躍が世界に強烈なインパクトを与えた。中でも、投手陣はメジャー球団から熱視線を注がれていたようで、WBC期間中から山本由伸投手(オリックス)、佐々木朗希投手(千葉ロッテ)、今永昇太投手(横浜DeNA)らの名前が米メディアを賑わせ、米ファンからはメジャー移籍を待望する声も聞こえてきた。

写真提供=Getty Images

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第5回大会も山本、佐々木らに海外から熱視線

 3月に開催された「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)では、3大会ぶりに優勝を飾った野球日本代表「侍ジャパン」の活躍が世界に強烈なインパクトを与えた。中でも、投手陣はメジャー球団から熱視線を注がれていたようで、WBC期間中から山本由伸投手(オリックス)、佐々木朗希投手(千葉ロッテ)、今永昇太投手(横浜DeNA)らの名前が米メディアを賑わせ、米ファンからはメジャー移籍を待望する声も聞こえてきた。

 実際、これまでのWBC日本代表メンバーを見ても、後にメジャー球団へ移籍した例は少なくない。そこで今回は、第1回から第4回までのWBC出場後に海を渡った男たちをご紹介する。

2006年 第1回大会

 記念すべき第1回大会では、現福岡ソフトバンクの王貞治球団会長兼特別チームアドバイザーが監督を務め、初代王者の座を目指し、国内外から30人の精鋭を集めて大会に臨んだ(負傷により2選手入れ替え)。東京での第1ラウンドをグループ2位で通過した日本は、アナハイムが舞台となった第2ラウンド初戦の米国戦で“世紀の誤審”に直面するなど窮地に追い込まれたが、メキシコが米国に勝ったことで奇跡的に決勝トーナメントへ進出。決勝ではキューバを下し、第1回王者となった。

 最優秀選手(MVP)に輝いた松坂大輔投手(西武ライオンズ)が、この年のオフにボストン・レッドソックスに移籍したことを皮切りに、合計11選手がメジャー球団と契約を結んだ。

松坂大輔投手(西武→2007年ボストン・レッドソックス)
上原浩治投手(読売→2009年ボルチモア・オリオールズ)
薮田安彦投手(千葉ロッテ→2008年カンザスシティ・ロイヤルズ)
和田毅投手(福岡ソフトバンク→2012年ボルチモア・オリオールズ)
藤川球児投手(阪神→2013年シカゴ・カブス)◎第2回大会も出場
渡辺俊介投手(千葉ロッテ→2014年ボストン・レッドソックス)◎第2回大会も出場
岩村明憲内野手(東京ヤクルト→2007年タンパベイ・デビルレイズ)
西岡剛内野手(千葉ロッテ→2011年ミネソタ・ツインズ)
川崎宗則内野手(福岡ソフトバンク→2012年シアトル・マリナーズ)◎第2回大会も出場
福留孝介外野手(中日→2008年シカゴ・カブス)
青木宣親外野手(東京ヤクルト→2012年ミルウォーキー・ブルワーズ)◎第2回大会も出場

2009年 第2回大会

 連覇という大きな使命を課された日本代表を率いたのは、読売の原辰徳監督だった。すでにレッドソックスで活躍していた松坂投手らメジャーリーガーたちも参加。28人(入れ替え1人)の代表メンバーは第1ラウンドから韓国に苦しめられ、勝ち進んだ第2ラウンドでは敗者復活戦に回ったものの、キューバを下して決勝トーナメントへ進んだ。米国に勝利して臨んだ決勝では、韓国とこの大会5度目となる顔合わせ。打撃が不調だったイチロー外野手(シアトル・マリナーズ)の決勝タイムリーで見事連覇を果たした。

 この大会からは優秀選手として表彰された岩隈久志投手(東北楽天)、青木選手ら、合計8選手がメジャー移籍した。

ダルビッシュ有投手(北海道日本ハム→2012年テキサス・レンジャーズ)
田中将大投手(東北楽天→2014年ニューヨーク・ヤンキース)◎第3回大会も出場
岩隈久志投手(東北楽天→2012年シアトル・マリナーズ)
藤川球児投手(阪神→2013年シカゴ・カブス)
渡辺俊介投手(千葉ロッテ→2014年ボストン・レッドソックス)
中島裕之内野手(埼玉西武→2013年オークランド・アスレチックス)
川崎宗則内野手(福岡ソフトバンク→2012年シアトル・マリナーズ)
青木宣親外野手(東京ヤクルト→2012年ミルウォーキー・ブルワーズ)

2013年 第3回大会

 3連覇の機運が高まる中、チームを率いたのは元広島東洋の山本浩二監督だった。この大会にはメジャーリーガーが参加せず、初めてNPB球団所属選手のみでチームを編成。第1ラウンドはキューバに敗れたがグループ2位で通過すると、第2ラウンドは1位通過で準決勝へ進出。決戦の地、サンフランシスコでプエルトリコと対戦した。カリブ海の強豪相手に投手陣は3失点で踏みとどまったものの、打線は重盗失敗などもあって攻めきれず。1-3で涙を呑んだ。

 投手陣の健闘が光ったこの大会からは、準決勝で先発を務めた前田健太投手(広島東洋)ら4投手が米国へ渡った。

澤村拓一投手(千葉ロッテ→2021年ボストン・レッドソックス)
田中将大手(東北楽天→2014年ニューヨーク・ヤンキース)
前田健太投手(広島東洋→2016年ロサンゼルス・ドジャース)
牧田和久投手(埼玉西武→2018年サンディエゴ・パドレス)◎第4回大会も出場

2017年 第4回大会

 小久保裕紀監督が指揮を執った大会では、28人の侍戦士が王座奪還を目指した。侍ジャパンとしてトップチームが常設化され、定期的に国際試合を積み重ねながらの強化に着手。チームとしての一体感を強めて臨んだ本番では、第1、第2ラウンドを6戦全勝とする勢いで、決勝トーナメントが行われるロサンゼルスへ乗り込んだ。準決勝では米国と対戦。息詰まる投手戦となった試合は、チャンスを生かし切れなかった日本が1-2と敗れ、2大会連続で準決勝敗退となった。

 この大会からは今季メジャー移籍した2投手を含め、7選手が海を渡った。

藤浪晋太郎投手(阪神→2023年オークランド・アスレチックス)
牧田和久(埼玉西武→2018年サンディエゴ・パドレス)
千賀滉大投手(福岡ソフトバンク→2023年ニューヨーク・メッツ)
平野佳寿投手(オリックス→2018年アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
筒香嘉智外野手(横浜DeNA→2020年タンパベイ・レイズ)
鈴木誠也外野手(広島東洋→2022年シカゴ・カブス)
秋山翔吾外野手(埼玉西武→2020年シンシナティ・レッズ)

 WBCという舞台を経験したことが「世界」を意識するきっかけになったと話す選手は多い。また、決勝トーナメントが行われる米国で、天然芝が敷き詰められたメジャーリーグの球場でプレーしたことに感動を覚えたという声も多く聞かれる。それぞれの国と地域の代表が真剣勝負を繰り広げる短期決戦での経験が、出場した選手たちに新たな刺激や景色を届けたことは間違いないだろう。

 2023年の第5回大会を戦った侍ジャパンからは、果たして何人が海外に活躍の場を求めることになるのか、楽しみだ。

※()内は当時の所属球団


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