U-23代表は3大会ぶり金メダル 2022年に国際大会で輝いた侍ジャパン各世代代表

2022.12.26

2020年からコロナ禍の影響により、数々の国際大会が延期・中止されるなど、野球日本代表「侍ジャパン」は2年ほど活動の縮小を余儀なくされていた。だが、世界的にウィズ・コロナという新しい生活スタイルへ移行し始めた今年は、数多くの国際大会が再開され、侍ジャパンも各カテゴリーで奮闘した。

写真提供=Full-Count

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コロナ禍の影響で開催されなかった国際大会が軒並み復活

 2020年からコロナ禍の影響により、数々の国際大会が延期・中止されるなど、野球日本代表「侍ジャパン」は2年ほど活動の縮小を余儀なくされていた。だが、世界的にウィズ・コロナという新しい生活スタイルへ移行し始めた今年は、数多くの国際大会が再開され、侍ジャパンも各カテゴリーで奮闘した。

 2022年にワールドカップが開催されたのは、U-12、U-15、U-18、U-23の4カテゴリーだ。その中で先陣を切ったのが、7月29日から始まった「第6回 WBSC U-12ワールドカップ」だった。昨年までトップチームで内野守備・走塁コーチを務めた井端弘和氏が監督、元中日の吉見一起氏が投手コーチに就任。トライアウトを通過した18選手と優勝を目指して台湾・台南市へ向かった。

 初戦で米国に6-21と大敗した日本は、第3戦のチェコ戦こそ15-0と完勝したが、オープニングラウンドで1勝3敗と負け越してスーパーラウンド進出ならず。だが、7位以下を決めるプレイスメントラウンドで発奮し、3連勝で7位となった。

 8月26日にメキシコ・エルモシージョで幕を開けたのは「第5回 WBSC U-15ワールドカップ」だ。鹿取義隆監督率いる日本は、中学硬式野球5団体に所属する選手でトライアウトを通過した精鋭20人が集結。国内直前合宿ではトップチームの吉村禎章打撃コーチから臨時指導を受けるなど、大会初優勝を目指して準備した。

 オープニングラウンドを3戦全勝の首位で通過すると、スーパーラウンドは初戦で米国に勝利するも、第2戦はチャイニーズ・タイペイに逆転負け。続くキューバ戦は日本が勝利したかと思われたが、投手の投球数が制限を超過する大会ルール違反があったため、没収試合で敗戦となった。さらに、3位決定戦に進出するも、新型コロナウイルス陽性者が7名以上出たため棄権。不運が重なる4位だったが、4番打者として三塁打2本を含む打率.409の好成績をマークした金本貫汰選手(関メディベースボール学院ヤング)がベストナイン(一塁手)を受賞する嬉しいニュースもあった。


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社会人野球の若手中心となったU-23代表は3大会ぶりに優勝

 9月9日から米国・フロリダが舞台となったのは「第30回 WBSC U-18ワールドカップ」だ。強豪・明徳義塾高の馬淵史郎監督が率いたチームには、浅野翔吾外野手(高松商業高)、松尾汐恩捕手(大阪桐蔭高)、山田陽翔投手(近江高)ら甲子園を沸かせたスターたちが揃った。オープニングラウンドを4勝1敗で通過した日本は、スーパーラウンドの初戦で韓国に完封負け。続くオランダ戦には勝利したものの、米国に逆転サヨナラ負けを喫し、3位決定戦へ進んだ。

 銅メダルを懸けた決戦の相手は再び韓国。日本は初回に1点を先制すると、2回に打者一巡の猛攻で5点を追加。4回に2点を許したが、生盛亜勇太投手(興南高)と川原嗣貴投手(大阪桐蔭高)のリレーで逃げ切った。2大会ぶりの3位となった日本は、川原投手が最優秀投手とベストナイン(リリーフ投手)、松尾捕手もベストナイン(捕手)を受賞。大きな笑顔で大会を締めくくった。

 10月13日からは台湾・台北市で「第4回 WBSC U-23ワールドカップ」が開催された。社会人野球の若手24選手(※)で構成されたチームを率いたのは、社会人代表監督も務める石井章夫氏。2大会ぶりの出場となった日本はオープニングラウンドでチャイニーズ・タイペイに黒星を喫し、4勝1敗でスーパーラウンドへ進出。オーストラリア、韓国との接戦を制すると、メキシコにも勝って決勝戦へ。金メダルを懸け、韓国と対峙した。

 先発を務めたのは、大会期間中に阪神からドラフト6位指名された富田蓮投手(三菱自動車岡崎)。2イニングを無安打無失点に抑えるとリリーフ陣もこれに続き、韓国打線に連打を許さず。丸山壮史外野手(ENEOS)の3ランも飛び出して、日本は3-0の完勝で3大会ぶり2度目の優勝を飾った。

 その他、7月には大学代表がオランダで開催された「第30回ハーレムベースボールウィーク2022」に出場。オープニングラウンドは初戦から5連勝を飾り、決勝トーナメントへ進んだが、準決勝でオランダに1-2と惜敗。3位決定戦では米国に敗れ、4位に終わったが、辻本倫太郎内野手(仙台大学)が観客の人気投票によるMost Popular Player賞に輝くなどインパクトを残した。

 唯一国際大会が開催されなかった女子代表は、9月と10月に代表候補合宿を実施。2023年8月には5年ぶりのワールドカップがカナダで開催されることが決まり、ここから活動が本格化していく。

2023年はWBC本番、メンバー選考に栗山監督「覚悟してやっていきます」

 2023年3月に開幕するワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)に向け、注目を集めるトップチームは、11月に強化試合「侍ジャパンシリーズ2022」を行った。招集された28人のうち初選出が16人というフレッシュな顔ぶれ。令和初の3冠王となった村上宗隆内野手(東京ヤクルト)や今季完全試合を達成した佐々木朗希投手(千葉ロッテ)らが集結し、読売、北海道日本ハム、オーストラリア代表を相手に4戦全勝。投打守にバランスの取れたチーム構成で存分に力を発揮し、栗山英樹監督の初陣を飾った。

 開催が迫るWBCに向けて、大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)、ダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)、鈴木誠也外野手(シカゴ・カブス)の“メジャー組”が参戦を表明。メンバー選考に注目が集まるが、栗山監督は「相当、難しい感じがします。覚悟してやっていきます」と多彩な選択肢に嬉しい悲鳴を上げる。

 2023年を迎えれば、いよいよ6年ぶり開催となるWBC本番。悲願の3大会ぶり王座奪還を成し遂げて、続く各カテゴリーの国際大会でも優勝ラッシュを巻き起こしたい。

※泉口友汰内野手(NTT西日本)はコンディション不良により出場を辞退。

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