WBC同組オーストラリアを栗山監督が警戒する理由「すごく怖いし、すごく不気味」

2022.11.21

 野球日本代表「侍ジャパン」は11月9、10日に札幌ドームで行われた「侍ジャパンシリーズ2022」日本vsオーストラリアで2連勝を飾った。来年3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の1次ラウンドでは同組で対戦するオーストラリアに対して、2試合とも磐石の試合運び。それでも、栗山英樹監督は「勝つことはいいことではあるんですけど、すごく怖いし、すごく不気味な感じもした」と警戒を緩めることはなかった。

写真提供=Full-Count

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強化試合で2連勝も栗山監督「すごく怖いし、すごく不気味な感じもした」

 野球日本代表「侍ジャパン」は11月9、10日に札幌ドームで行われた「侍ジャパンシリーズ2022」日本vsオーストラリアで2連勝を飾った。来年3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の1次ラウンドでは同組で対戦するオーストラリアに対して、2試合とも磐石の試合運び。それでも、栗山英樹監督は「勝つことはいいことではあるんですけど、すごく怖いし、すごく不気味な感じもした」と警戒を緩めることはなかった。

 栗山監督が警戒するのには理由がある。「侍ジャパンシリーズ2022」開催時は、オーストラリア代表選手の大半が所属するオーストラリアン・ベースボール・リーグ(ABL)のシーズン開幕前で、調整段階だったからだ。栗山監督は「オーストラリアはこれからシーズンに入るので、来年やるのとは全く違うチームのような、そういう怖さが残りすぎた」と語る。

 WBCが行われるのはABLのシーズン終了後。選手の仕上がりには大きな違いがありそうだ。2000年に「ディンゴ」の登録名で中日でプレーしたデービッド・ニルソン監督は「久しぶりに代表として集まってのプレーになりました。準備が足りなかったです。これから始まる国内リーグでコンディションを整えてからWBCに臨みたいと思います」と話す。

ホワイトソックス守護神ヘンドリックスの代表合流に期待

 実際にWBCに臨むオーストラリア代表選手は変わってきそうだ。まず、ニルソン監督が招集を目指すのはMLBシカゴ・ホワイトソックスのリアム・ヘンドリックス投手だ。今季メジャー12年目の右腕は2021年にホワイトソックスに加入し、移籍1年目に38セーブを挙げて最多セーブのタイトルを獲得した。今季もア・リーグ2位の37セーブを挙げ、いまやメジャーを代表するクローザーの1人と言える。

 代表メンバーは国内リーグの所属選手が中心となることは変わらない。だが、経験豊富で実力もあるヘンドリックス投手が加われば、投手力は格段に上がるだろう。ニルソン監督は「これから始まる国内リーグで最もパフォーマンスのいい選手を選んでいきたいです。メジャーリーガー、特にヘンドリックス投手を呼んで、もっと強いチームを作っていきたいと思います」と語り、WBCでのリベンジを誓った。

打者では元エンゼルスのホワイトフィールドが軸か

 メジャー通算115セーブを誇るヘンドリックス投手だけではない。ティム・アサートン投手は2017年のWBCに出場し、1次ラウンドの日本戦(東京ドーム)に先発。初回無死一、二塁のピンチから12者連続アウトを奪うなど4回4安打1失点と好投した。先日の「侍ジャパンシリーズ2022」第2戦では1回2/3を投げて4安打2失点と結果を出せなかったが、3月には状態も変わっているはずだ。左腕ジョシュ・トルス投手も実績豊富で2017年WBCでもオーストラリア代表入りし、同年にルートインBCリーグの新潟アルビレックスBCでプレー。球の出所の見にくい独特の投球フォームでノーヒットノーランを達成した。

 打者ではアーロン・ホワイトフィールド外野手に注目だ。今季は大谷翔平投手が所属するロサンゼルス・エンゼルスでプレー。5試合11打席で待望のメジャー初安打は出なかったものの、傘下マイナーでは79試合出場、打率.262、9本塁打、38打点、29盗塁をマークした。侍ジャパンとの強化試合では2番を任され、来年3月の代表入りが期待される。

強化試合で侍ジャパンの情報を収集、指揮官「WBCで生かしたい」

 オーストラリアは2004年のアテネで、松坂大輔投手ら8人のプロ選手を擁する日本を準決勝で破り、銀メダルを獲得している。現役時代はMLBミルウォーキー・ブルワーズで8年プレーしたニルソン監督は当時の代表メンバーであり、日本の野球にも馴染みが深い。強化試合よりもコンディションのいい選手が集まるWBCでは、やはり侮れない存在になると言えそうだ。

「WBCに向けて必要なのは投手と守備だと思います。国際大会で点を取るのはとても大変。そういう意味でもしっかりやっていきたい」と強化ポイントを挙げたニルソン監督。侍ジャパンとの強化試合では勝つことはできなかったものの、「どれだけスカウティングレポートを見ても、実際に侍ジャパンと対戦することで(より多くの)情報を得られる。私たちにとっては素晴らしい情報を得られたと思います。それをWBCで生かしたいです」と続けた。本番はこれからと言わんばかりの表情こそ、栗山監督の言う「すごく不気味な感じ」に繋がるのかもしれない。

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