目を奪われた有言実行の18奪三振 阪神・遠藤成を駆り立てるU-18代表で受けた刺激

2022.7.11

今年でプロ3年目を迎える阪神の遠藤成内野手。高校時代は佐々木朗希投手(千葉ロッテ)、奥川恭伸投手(東京ヤクルト)、宮城大弥投手(オリックス)らとともに、韓国で開催された「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」で野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表として戦った。

写真提供=Full-Count

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高校3年で実現した代表入り「高校に入った時から選ばれたかった」

 今年でプロ3年目を迎える阪神の遠藤成内野手。高校時代は佐々木朗希投手(千葉ロッテ)、奥川恭伸投手(東京ヤクルト)、宮城大弥投手(オリックス)らとともに、韓国で開催された「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」で野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表として戦った。

 生まれは秋田県。中学卒業までをにかほ市で過ごした。打撃も得意だったが、主なポジションは投手。選手としてさらなる成長を目指すため、高校からは秋田を離れ、神奈川の東海大相模高に進んだ。

 全国から精鋭が集まる強豪の中で、1年春からベンチ入り。背番号「6」をつけて臨んだ3年夏の第101回全国高等学校野球選手権大会では、投打の“二刀流”として注目を集める中、初戦の近江高(滋賀)との一戦で先発マウンドに立った。自己最速タイの145キロに達する速球を軸に、7回1/3を2安打8奪三振1失点(自責0)の快投を披露。打席では2安打1盗塁を記録する、まさに“二刀流”の活躍でチームを牽引。惜しくも3回戦で敗れたが、通算45本塁打の実績や高いポテンシャルが評価され、憧れ続けたU-18代表入りを果たした。

「高校に入った時から侍ジャパンに選ばれたい想いが強くありました。自分たちの代は、今振り返ってみても凄いメンバーが揃っていた。その中でプレーできたことは大きな経験になりました」

自慢の強打を発揮できず、打率1割台に「自分はまだまだなんだな」

 決戦の地・韓国へ向かったメンバーは豪華だった。投手を見れば、最速163キロを誇る佐々木投手、夏の甲子園で準優勝した奥川投手、2年後にプロで新人王となる宮城投手、最速154キロ右腕の西純矢投手(阪神)。打者を見ても、石川昂弥内野手(中日)、森敬斗内野手(横浜DeNA)ら、その年の秋にはドラフト1位指名を受ける精鋭がズラリと並んだ。

 オープニングラウンドで米国やチャイニーズ・タイペイらと同じグループBとなった日本は、4勝1敗で1位通過と上々のスタート。だが、1勝のアドバンテージを持って臨んだスーパーラウンドは甘くなかった。初戦こそカナダに5-1で勝利するも、続く韓国戦は4-5のサヨナラ負け。さらにオーストラリアにも1-4で敗れ、最終的には5位という無念の成績で終えた。

 遠藤選手は全8試合のうち6試合でスタメン出場したが、16打数3安打で打率.188、3打点。初めて臨んだ国際大会で、自慢の強打は影を潜めてしまった。日本では見たことのない球筋、外国人特有の投球フォームに苦しみ、短期間で対応することができなかった。

「試合に出ている時は『なんとかしてやろう』と取り組みましたが、結果が出なかった。『自分はまだまだなんだな』と実感しました。これではプロに行っても結果は残せない。もっとレベルを上げなければダメだと感じました」

球数制限がある中で見せた奥川の18奪三振「まさに有言実行、気迫は忘れない」

 悔しさが残る代表デビューだったが、今でも脳裏に焼き付いている光景がある。それはスーパーラウンド初戦のカナダ戦で奥川投手が見せた18奪三振の圧巻パフォーマンスだ。

 大会規定として、1試合の投球数が105球以上に達した場合は、次の登板まで中4日を空けなければならない。そんな中、6回まで90球を投げていた右腕は7回のマウンドへ。すると、わずか13球で3者凡退に仕留め、7回を103球、2安打1失点18奪三振という快投でリリーフ陣に繋いだ。

「本当にメンタルが凄いなと思いました。ベンチでも『14球以内で抑える』と言っていましたが、まさに有言実行。投手と野手で違いはありますが、日の丸を背負った奥川の気迫は忘れません。自分もこの世代の仲間からいい刺激をもらっています。もっと力をつけて、早く1軍の舞台で活躍したいと思います」

 今、プロ野球界を席巻する“2001年世代”。遠藤選手がその輪に加わる日を、仲間たちは心待ちにしているはずだ。

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