投打の二刀流で狙うドラフト1位 大学代表候補・矢澤宏太が目指す舞台

2022.3.28

憧れから使命へ――日本体育大学の矢澤宏太投手は昨年12月、野球日本代表「侍ジャパン」大学代表候補選手の強化合宿に参加した。かつて見た日本代表の姿で今でも鳥肌が立つほど興奮したのは、2009年「第2回ワールド・ベースボール・クラシック™」(WBC)で優勝を決めたイチロー氏の一打。日本代表に強く憧れる二刀流は強化合宿で、ドラフト1位指名でのプロ入りと日の丸を背負って戦う想いを強くした。

写真提供=Full-Count

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投打に加え、走でも注目される今秋のドラフト1位指名候補

 憧れから使命へ――日本体育大学の矢澤宏太投手は昨年12月、野球日本代表「侍ジャパン」大学代表候補選手の強化合宿に参加した。かつて見た日本代表の姿で今でも鳥肌が立つほど興奮したのは、2009年「第2回ワールド・ベースボール・クラシック™」(WBC)で優勝を決めたイチロー氏の一打。日本代表に強く憧れる二刀流は強化合宿で、ドラフト1位指名でのプロ入りと日の丸を背負って戦う想いを強くした。

 3日間と限られた時間でも収穫を手にした。矢澤投手は充実感をにじませて振り返る。

「投手としても野手としても一番を目指しています。その中で、日本代表に入ってプレーすることは成長やアピールに繋がります。注目してもらうためにも代表には絶対に入りたいという気持ちが強くなりました」

 昨年12月3日から3日間、愛媛県松山市にある坊ちゃんスタジアムで大学代表候補の強化合宿が行われた。今年7月に開催予定の「第30回ハーレムベースボールウィーク」に向けた合宿。今秋のドラフト候補を含む日本トップレベルの大学生が集まった。

昨年12月の強化合宿では投手と野手のメニューを実施

 中でも、存在感を見せたのが矢澤投手だった。ドラフト1位候補で、投打の二刀流として注目されている。大学2年生の首都大学野球秋季リーグ戦では外野手でベストナインを受賞し、3年生の秋には投手としてベストナインに輝いた。3年生だった昨季は、投手で先発しながら打線の中軸に座る本格的な二刀流にも挑戦した。

 強化合宿では投手と野手、どちらの役割も担った。投手用のトレーニングを終えると、すぐに打撃練習。さらに、打球速度や走力などを測る野手向けのメニューをこなして、投手の調整に入った。50メートル走の測定では全体トップとなる5秒80を記録し、フリー打撃で柵越えを放った。合宿2日目の練習試合では安打をマークし、「飛距離を出しながら確実性を上げる打撃を目指しています。投手のレベルが上がるほど甘い球が少なくなるので、ファウルにせず確実に捉える大切さを改めて実感しました」と語った。

 合宿3日目は投手で先発した。初回のテーマは3者連続三振。捕手にはコースいっぱいにミットを構えてもらった。「バットに当たっても前に飛ばないようにコースを厳しく突けました。狙い通りに追い込んで、3者連続で三振を奪えたことは自信になりました」。2回も3者凡退に抑えて、打者6人を完璧に封じた。

「何百回も見ている」という第2回WBCの決勝シーン

 投手と野手、2つのメニューをこなした矢澤投手には、チームメートと深い話をする時間がなかったという。貪欲に知識や技術を吸収しようと過ごした3日間。その中で、思わず笑みが浮かぶ時間もあった。

 代表候補に選ばれた20人の投手のうち、唯一の1年生だった国学院大学・坂口翔颯(かすが)投手と組んだキャッチボールの時間だ。矢澤投手は「伸びがあって、構えたところにボールがきました。キャッチボールだけで野球の楽しさを感じられるボールでした」と野球の原点を思い出したという。

 矢澤投手には日の丸を背負って戦うことへの強い憧れと、深く刻まれている記憶がある。2009年の第2回WBC決勝戦。宿敵・韓国との一戦でイチロー氏が放った決勝打は「何百回も見ている」という。当時小学生だった矢澤投手は大会のDVDを購入し、野球の練習に向かう車の中でも見ていた。「何回見ても鳥肌が立ちます。日本代表として戦う選手がかっこよかったです」。

 そして、憧れの日の丸は、年齢を重ねると使命へと変わっていった。「今は自分が日本代表の立場でプレーしたいと思うようになっています」。10年以上繰り返し見ている同じDVD、同じシーン。今は自身の姿を重ね合わせている。

指名漏れから4年、目指すはドラフト1位指名とプロでの結果

 投打、さらには走力の評価も高く、今秋の新人選手選択会議(ドラフト)で1位指名候補として注目されている。プロ志望届を出しながら指名されなかった藤嶺藤沢高校3年の秋から4年を経て、再び指名を待つ。

「高校の時は、ただ志望届を出しただけでプロ野球への想いは強くなかったと、今になると感じています。ただ、いざ指名漏れすると『悔しい、プロに入りたい』という思いがこみ上げてきました。大学に入った時、4年後にプロ入りして、先にプロへ進んだ同世代の選手より活躍すると心に決めました。ドラフト1位での指名を大学入学当初からの目標としていますし、指名されて終わりではなくプロで結果を出すことを意識して野球に取り組んでいます」

 強化合宿を経て、投手としても野手としても同世代の大学生でトップに立つ意識を強くした。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手に続く本格的な二刀流の期待がかかる矢澤投手。プロ野球を代表する選手となって、日の丸を背負って戦う姿を今から思い描いている。

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