「メジャーでも頭に残っていた」 秋山翔吾が侍ジャパンでヒントを得た凡打

2020.12.14

結果は何でもない凡打だった。それでも、今季から米シンシナティ・レッズでプレーする秋山翔吾外野手の野球人生にとっては大きな価値があった。

写真提供=Full-Count

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2017年WBC準決勝で3打数無安打も「とにかく楽しかった」

 結果は何でもない凡打だった。それでも、今季から米シンシナティ・レッズでプレーする秋山翔吾外野手の野球人生にとっては大きな価値があった。

「とにかく楽しかった」と振り返ったのは、2017年の「第4回ワールド・ベースボール・クラシック™」。同年3月21日にドジャースタジアムで行われた準決勝・米国戦だった。

 米国代表の先発は、前年にメジャーで16勝を挙げたタナー・ロアーク投手。時速150キロ中盤の“動く球”を軸に打者をゴロに打ち取る、いわゆるグラウンドボールピッチャーだ。初対戦は3回先頭。結果は、強烈な投手ライナーだった。その打席での感覚は、3年以上が経った今も、大きな「インパクト」として脳裏に焼き付いている。

「日本人選手が打つのが難しいと言われるムービング系のボールで、他の代表選手は打たされていたんです。(打順が)8番での先発で前の打者の反応が見えていたんですが、1打席目できっちり捉えることができた。自分の情報処理や技術の表現が(国際大会でも)できるんだな、というのはありました。きっかけをもらったな、と思いますね。みんなが打つのに苦労している中で感覚よくアジャストできたことは、メジャーでプレーする中でも頭に残っていました」

3打席凡退も「ヒットを打つための準備や知識を構築するのは楽しかった」

 最速163キロを誇るネイト・ジョーンズ投手と対戦した5回1死での第2打席はセンターフライ。前年38セーブを挙げたサム・ダイソン投手と対峙した7回2死の第3打席は二塁ゴロだった。チームは無念の1点差敗退。結果を出せなかったが、メジャーの一線級で活躍している投手たちとの対戦は、秋山選手にとって実り多いものとなったようだ。

「日本では球筋のきれいなフォーシームが来るが、その感覚で打席に立ったらいけないんだな、と。2打席目は100マイル(約161キロ)近い球に詰まって中堅後方にフライ。3打席目とそれぞれ内容があったと思います。自信をつかんだ、深まったというより、このヒットを打つための準備や知識を構築するのは楽しかったな、という感覚はありました」

侍ジャパンの合宿で受けた刺激「得難い時間だと思っています」

 侍ジャパンでは国際大会前に合宿を張る。他球団の選手と寝食を共にする日々は刺激たっぷりだった。侍ジャパンの4番に成長した広島東洋の鈴木誠也外野手は、合宿中も精力的に筋力トレーニング。「同級生として接してくれるのが不思議。『上には上にいる』と思わせてくれる教材」という読売の坂本勇人内野手は、年下の選手とも野球談義に花を咲かせていた。

「みんな打撃の話をよくしているんですが、勇人は右利き左利きに関係なく話していた。僕は(ヒットを)打ってる人の意見が全部正解だと思ってしまうので、他の選手の話を聞くのが得意ではないんですが、勇人は(他の選手の技術を)自分に落として処理できる能力に長けているんだなと思います。

 試合で結果が出る、出ないははっきり表れるんですが、(合宿生活を送ると)その結果の理由が分かるというか。『これぐらいリラックスしていれば打てるんだ』と思うこともあれば、『これくらい突き詰めていけば打てるな』と思うこともあります。他球団の選手と練習や食事、私生活でも同じ時間を過ごすというのはシーズン中もなかなかない。(埼玉西武)ライオンズにもいい選手はいましたが、侍ジャパンはそれ以上の選手が集まるチーム。得難い時間だと思っています」

 戦いの舞台をメジャーに移してもなお、「現役引退するまでトップチームで必要とされる選手でいたいモチベーションはここ何年かあります。どんな状況でも声のかかる成績、人間ではいたいなと思っています」と、侍ジャパンへの並々ならぬ思いを語る秋山選手。侍ジャパンで過ごした日々は、“メジャーリーガー・秋山翔吾”の血となり肉となっている。

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