侍ジャパン、米国に惜敗で2大会連続準決勝敗退 小久保監督は「選手に敬意を表したい」

2017.3.22

第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の準決勝(ドジャースタジアム)が21日(日本時間22日)、ロサンゼルスのドジャースタジアムで行われ、野球日本代表「侍ジャパン」は米国に1-2で敗れた。先発のエース菅野智之投手(読売)ら投手陣は好投も、4回と8回に内野守備のミスから失点。世界一奪還はならず、2大会連続で準決勝敗退に終わった。小久保裕紀監督は試合後、米国投手陣の前に4安打に終わった打線について触れ、「動くボールへの対応」が今後も課題になると話した。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

守備のミスが響き敗戦も「責められない」、大一番で見えた収穫と課題

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の準決勝(ドジャースタジアム)が21日(日本時間22日)、ロサンゼルスのドジャースタジアムで行われ、野球日本代表「侍ジャパン」は米国に1-2で敗れた。先発のエース菅野智之投手(読売)ら投手陣は好投も、4回と8回に内野守備のミスから失点。世界一奪還はならず、2大会連続で準決勝敗退に終わった。小久保裕紀監督は試合後、米国投手陣の前に4安打に終わった打線について触れ、「動くボールへの対応」が今後も課題になると話した。

 日本・菅野、米国・ロアークと両国の先発が打線を抑え込み、試合は序盤から投手戦となった。試合が動いたのは4回。菅野は1死からイエリチを二ゴロに打ち取ったが、名手・菊池涼介内野手(広島東洋)が大きく弾き、痛恨のエラーでイエリチを二塁まで進めてしまう。その後、2死一、二塁からマカチェンにはスライダーをレフト前に運ばれ、先制点を奪われた。

 一方の侍ジャパン打線は4回までロアークの前に2安打のみ。米国は5回から継投に入り、2番手ジョーンズを投入した。すると、ジョーンズが2イニング目に入った6回、菊池が1死からライトへ値千金の同点弾。「菅野に悪いことをしたので、まだ取り返せていないですが、何とかしたい気持ちで打席に立ちました」。守備でのミスを取り返す一発だった。

 日本は7回、菅野の後を継いでマウンドに上がった2番手・千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)がホスマー、マカチェン、ポージーを3連続三振に仕留める快投。8回先頭のスタントンも三振に仕留めて4連続三振とした。だが、続くクロフォード、キンズラーには連打を許し、1死二、三塁とされる。ここでジョーンズは三ゴロも、松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)が痛恨のファンブル。一塁に送球して打者走者はアウトにしたが、ホームには投げられずクロフォードの生還を許し、勝ち越された。

 結局、この1点が決勝点に。世界一奪還を目指した侍ジャパンは、2大会連続の準決勝敗退に終わった。6連勝で大一番に臨み、最後は日本の強みであるはずの守備に綻びが出て点を失う形となったが、小久保監督は試合後の記者会見で「2点は正直ミスで入った。でも、これまでチームを救ってくれたのも彼らのプレー。責められない。雨が降っている中で、普段は人工芝が主流の中でやっている厳しさはあった」と、守備の名手である菊池と松田をかばった。

課題は「動くボールへの対応」、収穫は投手力「強力打線を相手に投げることができていた」

 悔やまれるのは、守備のミスよりも、打線が沈黙したこと。東京ドームでの第1、2ラウンドで活発だった攻撃陣は、米国の7投手の継投の前に4安打に抑え込まれた。特に、過去にも日本の打線が苦戦してきた、打者の手元で動くボールに苦戦した。小久保監督は言う。

「あれだけの選手たちがなかなか芯で捉えられないというのは、普段から動くボールに対応していない難しさを感じた。大会を通じての本塁打数は評価できる」

 日本では、直線的に伸びてくるフォーシーム(直球)を主体とする投手が多い。それだけに、メジャーの投手が投げるツーシーム、カットボールといったムービング系のボールに「慣れる」ことがなかなか難しい。それでも、世界一を目指して懸命に対応を目指してきた日本の打者たちの努力は、周囲が否定できるものではない。「何が足りなかったのか?」と聞かれた指揮官は、以下のように答えている。

「動くボールへの対応とずっと言われてきているが、フォーシーム主体のリーグでやっているので、なかなかどういう風に訓練するんだっていうことになるわけですが、ここまでやってきた中で彼らはリスクを顧みず、球界の使命感、(球界を)引っ張っていくっていうところでやってきましたので、そういうところに対しては、しっかり敬意を表したいと思います」

 世界一奪還へ、この“弱点”の克服が今後の大きな課題となる。

 一方で、投手陣はメジャーのオールスター級の選手を揃えた打線を相手に奮闘。6安打2失点に抑えた。小久保監督も「ちょっと難しいですけど、今日の菅野、千賀は強力打線を相手に投げることができていたと思う」と評価。これまでも常に「日本の最大の強み」と胸を張ってきた投手力は、世界トップクラスであることを証明した。

 指揮官は試合後、「やりきったといえばやりきったが、勝てなかったのは事実。評価は周りがすると思います」と話した。収穫と課題がはっきりと見えた米国との大一番。この敗戦は必ず日本の“財産”になる。

【了】

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事