WBC出場選手決定の侍ジャパン 世界一奪還へ、「小久保ジャパン」はどう戦うのか

2017.1.30

3月開幕の第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)に向けて、野球日本代表「侍ジャパン」のメンバー28人が決まった。昨年12月に19人を前倒しで選出しており、24日にさらに8人を追加。28日には最後の1人として広島東洋・田中広輔内野手の選出が発表された。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

28人のメンバーが決定、記者会見で指揮官は何を語ったのか

 3月開幕の第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)に向けて、野球日本代表「侍ジャパン」のメンバー28人が決まった。昨年12月に19人を前倒しで選出しており、24日にさらに8人を追加。28日には最後の1人として広島東洋・田中広輔内野手の選出が発表された。

 24日に都内のホテルで行われた記者会見の席で、小久保監督は投手陣の起用法や打線の構成、そして目指す野球などについて、自身の考えを明かした。侍ジャパンは、世界一奪還へ向けてどのように戦っていくことになるのか。小久保監督の言葉から読み解いていきたい。

 28人のメンバーは、以下の通りだ。(※は1月に新たに招集された9人)

◯投手
※松井裕樹(東北楽天)
菅野智之(読売)
秋吉亮(東京ヤクルト)
則本昂大(東北楽天)
宮西尚生(北海道日本ハム)
大谷翔平(北海道日本ハム)
※藤浪晋太郎(阪神)
増井浩俊(北海道日本ハム)
※石川歩(千葉ロッテ)
※岡田俊哉(中日)
牧田和久(埼玉西武)
※千賀滉大(福岡ソフトバンク)
※平野佳寿(オリックス)

○捕手
※小林誠司(読売)
大野奨太(北海道日本ハム)
嶋基宏(東北楽天)

○内野手
※田中広輔(広島東洋)
松田宣浩(福岡ソフトバンク)
菊池涼介(広島東洋)
坂本勇人(読売)
中田翔(北海道日本ハム)
山田哲人(東京ヤクルト)

○外野手
内川聖一(福岡ソフトバンク)
青木宣親(ヒューストン・アストロズ)
※平田良介(中日)
筒香嘉智(横浜DeNA)
鈴木誠也(広島東洋)
秋山翔吾(埼玉西武)

 小久保監督が「一番悩みました」と明かしたのが、投手13人の選考だ。

「最大で10日間で8試合やるという試合日程が決まっているので、そのあたりで先発、第2先発、中継ぎ、抑えのバランスの割合をどうしようかというのをコーチ陣を含めて結構議論しました」

 その結果として、どのようなプランを描いたのか。

投手陣13人は「思った編成ができた」

 先発の柱と見られるのが、大谷と菅野だ。指揮官は二刀流・大谷について「基本は投手になります」と説明。「まずは先発で与えられたイニング、自分が投げきれるイニングをいってほしい、抑えてほしいという思いだけです」と期待を寄せたが、侍ジャパンのエースになるのかと問われると「エースは周りが決めることですから。菅野といういいピッチャーもいますからね」と、敢えてエース指名はせず。大谷同様、菅野にも絶大な信頼を寄せていることを伺わせた。

 さらに、「あとは、則本、石川。このあたりを先発と位置づけています」と明言。どの投手をどの試合で投げさせるか、プランは明かさなかったものの、「その4人をまずは先発として起用して、キャッチャーはレギュラーというよりは、その時のピッチャーとのコンビで起用していこうという考えです」と話す。大谷と大野、則本と嶋、菅野と小林、というような形で、所属チームで日頃から先発投手とコンビを組む捕手をスタメンで使っていくことになりそうだ。

 また、WBCは球数制限があるため、「第2先発」も必要となってくる。小久保監督は候補として牧田、増井、千賀の名前を挙げ、「千賀の存在はポイントになってくるかと思います」と説明した。「球の力は武器になる」と評価する藤浪も「第2先発」の一人。ただ、藤浪以外の投手は抑えや中継ぎの経験があるため、「臨機応変に後ろの方もいけるピッチャーという、幅広く使える選考になっている」という。

 ブルペンの編成は、左右の変則フォームの宮西、秋吉が軸で、「どの場面でも使える」という岡田もキーマンの一人。そして、抑えは「経験でいくと平野と松井ということになると思うんですけど、その時の状態がいい投手を使うという方向でいくと思います」と話し、投手の状態を見ながら“日替わり”での起用を示唆。前回大会で守護神を務めた牧田、そして日本ハムで抑えを務めた増井は、第2先発ではあるがクローザー候補にもなりそうだ。

「ロングもいければ、抑え、後ろもいける。13人のメンバーの編成が思った編成ができたので、あとは本番に向けて怪我人が出ないことを祈るだけ。投手を中心とした守りが一番(の特徴)だと思う。投手力で点を与えない野球、最少失点で切り抜ける野球じゃないと勝てないと思ってます」

 このように、小久保監督は投手陣に絶大な信頼を寄せる。メジャーリーガーのピッチャーはメンバーに入らなかったが、投手力が日本の最大の強みであることに変わりはない。

 一方、打線について、中心となる4番打者は筒香か中田が最有力候補となる。「中田は(2015年11月の世界野球WBSC)プレミア12でも勝負強さが際立ったと思うので、ランナーを還す勝負強さに期待しますし、筒香の場合はここ2、3年の成長が著しくて、国際大会で通用する逆方向に強い打球を打てるのが一番の武器だと思うので、その辺を思う存分発揮してもらいたいと思います」と、主軸2人に対する信頼は絶大だ。

「寄せ集めのチームではないという部分が強み」

 また、サードは松田、ショートは坂本がレギュラーで、山田は「セカンド一本」と明言。抜群の守備力を誇る菊池については「ショートとサード含めて、緊急事態のときはそういうことも出てきます」と、本職のセカンド以外でも起用することになりそうだ。一塁の中田を含め、内野のレギュラーはほぼ固まっている。

 外野では、唯一のメジャーリーガーとなる青木が1、2番で起用される見込み。小久保監督は「彼自身の口から『どんな状況になろうとも必要であれば喜んで参加します』と早い段階で伝えてくれていた選手なので、その心意気とメジャーで戦っている強さ、経験を直に同じ野手に伝えてもらえたり、そういうことも含めて期待しています」と、第1、2回大会の優勝メンバーでもあるベテラン外野手の存在に期待した。

「どちらかというと長打を期待するというよりは、しっかり1つの塁を確実に進めていく。走塁を含めたところで。そういう野球というか、(試合の)進め方になるかなと思います。メンバー編成でいくと、足も早くて、守備もできる選手を集めた。長打でガンガンいこうという発想はないです」

 第1、2回大会で世界一に輝いた時のような“スモールベースボール”が基本になるだけに、それを体現する存在である青木の代表入りは心強い。

 小久保監督は今回の「侍ジャパン」について、「寄せ集めのチームではないという部分が強み」と強調する。就任後、軸となる選手は固定し、強固な集団を作り上げてきた。選手同士、そして監督と選手の信頼関係も、過去にないほど深まっている。これは、他国と最も大きな違いを出せる部分でもある。

「(これまで)1つのチームとして動くというのは重視しました。今回、過去(の大会)に比べると、1週間くらいは集合(2月22日)をあえて遅らせている。そのメッセージとして、試合のできる体で集まってもらうという話は選手にしています。連携プレーの面も含めて、今までとそう変わりないメンバーでやってきているという部分があるので、(一緒に練習する)時間を省いて、選手個々にしっかり体を作ってきてもらうというところで、1週間集合を遅らせている」

 チームとしての骨格はすでに出来上がっている中、指揮官は選出した選手に自ら連絡し、「ともに世界一を獲りにいこう」と伝えたという。「小久保ジャパン」の野球を熟知したメンバーで、3度目の優勝を目指す。

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事