権藤コーチ就任でどう変わる? 侍ジャパンは「勝利の方程式」を確立できるか

2016.3.24

野球日本代表「侍ジャパン」にとって大きな課題となっているのが、「勝利の方程式」の確立だ。チャイニーズ・タイペイ戦から投手コーチには百戦錬磨の権藤博氏が加わったが、日本の継投策に新たな形は見えたのか。

写真提供=Getty Images

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初招集の秋吉、戸根が快投、専門家も2人を“イチ押し”に挙げる

 野球日本代表「侍ジャパン」にとって大きな課題となっているのが、「勝利の方程式」の確立だ。昨年11月の「世界野球WBSCプレミア12」では、韓国戦で9回に3点差を逆転され、まさかの準決勝敗退。小久保裕紀監督も自ら「継投ミス」と認めた一戦で、改善すべきポイントは明確になった。

 今月5、6日の「日本通運presents 侍ジャパン強化試合」チャイニーズ・タイペイ戦では、第1戦で5-0、第2戦で9-3と快勝した「侍ジャパン」。この2試合から、日本代表の投手コーチには百戦錬磨の権藤博氏が加わったが、日本の継投策に新たな形は見えたのか。

 現役時代に捕手として活躍した野球解説者の野口寿浩氏は、今回が初招集となった秋吉亮(東京ヤクルト)、戸根千明投手(読売)を“イチ押し”に挙げる。秋吉は第1戦の4番手で登板し、3者三振と圧巻の投球を披露。戸根は第2戦で3番手でマウンドに上がり、3者凡退に仕留めた。

「秋吉は期待されているのではないでしょうか。キレがあって、サイドスローで直球が140キロを超えて、スライダーも右バッターは絶対に嫌ですから。戸根も何をやっても動じない、国際大会向きの性格ですね。変則的な投げ方で、シュートも投げられるし、スライダーもある。あれだけ腕を振られたら打者は嫌ですよ」

 2人が見せた快投は、小久保監督や権藤投手コーチにとっても大きな収穫になったと同氏は見ている。

横浜DeNA山崎もブルペンの主役に? 「肝が座っているタイプ」

 また、昨季の新人王もブルペンの主役になることが出来る存在だという。横浜DeNAで絶対的な守護神として立場を確立し、新人記録となる37セーブを挙げた山崎康晃だ。野口氏は「(世界野球WBSC)プレミア12の時にも、もっと使えばよかったかなとは思いますけど、まだルーキーというのもあったでしょうからね」と言う。ただ、2年目の今季も結果を残すようなら、「侍ジャパン」のブルペンにも必要不可欠な存在となりそうだ。

 野口氏は「ツーシームというウイニングショットを持っていて、真っ直ぐが150キロ近くあって、インコースに投げられる」と、その投球スタイルを高く評価。さらに、山崎が昨季開幕前、横浜DeNAの中畑清・前監督にクローザー就任を直訴したという事実に触れ、精神面での強さも持ち合わせていると分析した。

「山崎も肝が座っているタイプだと思います。新人で監督に『クローザーやりたいんです』と言える選手は、なかなかいない。さらに、そこで『よしやってみろ』と言われて、実際に結果を出したんですから。そういう選手は、国際舞台に立っても、心臓に毛が生えているので大丈夫だと思います。山崎をもっと使ってほしいですね」

 そして、権藤投手コーチの「哲学」を考察した上で、野口氏はブルペン強化の“奥の手”を明かした。「クローザー大谷を提言したい」。162キロ右腕の日本ハム・大谷翔平投手を守護神に据えるというプランだ。

大谷がクローザーなら「相手は『ああ終わった』と諦める」!?

 権藤投手コーチは、チームで最高の投手を一番後ろに据えるというポリシーを持っていることを明かしている。実際に、横浜(現横浜DeNA)監督時代にはチームで最もいい投手と見ていた佐々木主浩氏を守護神に据え、1998年に日本一に輝いた。その考えに従えば、いまや日本のエースとなった大谷が適任だ。岩隈久志(マリナーズ)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)らメジャー組が揃う機会があれば、大谷を先発以外で起用することも可能になる。

「メジャー組が揃ってきてくれるのであれば、確実にできる話ですよ。大谷クローザーは間違いなく面白い。9回に大谷が来たら、相手は『ああ終わった』と諦めると思います。それが実現不可能なのであれば、山崎を使ってほしい。それが僕の意見です」

 野口氏はこう提言した。秋吉、戸根、山崎から最後は大谷につなぐ。これが理想の形になるという。経験豊富な権藤投手コーチなら、その時の投手陣の状態を見て、型にはまらず、大胆に「勝利の方程式」を作り上げていく可能性もあると、野口氏は見ている。

「権藤さんなら、思い切った起用をすると思います。最後は大谷に締めくくってほしいですね。その前に秋吉、戸根、山崎の3枚がいれば、バリエーションも抱負になります。右のサイドスロー(秋吉)、左の変則投手(戸根)、右のクロスステップのオーバースロー(山崎)で、最後は162キロの剛腕。相手は6回までに試合を決めないと厳しいと思います」

「クローザー・大谷」という究極の一手で、日本の新たな「勝利の方程式」が完成するかもしれない。

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