侍ジャパンU-12代表が中国に圧勝で決勝へ 1番起用に応えた小西、内に秘める被災地への思い

2016.12.13

中国・広東省で開催されている「第9回 BFA U-12アジア選手権」は12日、セミファイナルが行われ、侍ジャパンU-12代表は中国に9-0の6回コールドで勝利。決勝進出を決めた。この日、打順が1番に上がった小西柚生が起用に応え、初回から日本に流れを呼び込んだ。

写真提供=Getty Images

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侍ジャパンU-12代表が開幕4連勝で決勝進出

 中国・広東省で開催されている「第9回 BFA U-12アジア選手権」は12日、セミファイナルが行われ、侍ジャパンU-12代表は中国に9-0の6回コールドで勝利。決勝進出を決めた。この日、打順が1番に上がった小西柚生が起用に応え、初回から日本に流れを呼び込んだ。

 1回裏、日本の攻撃。小西は三塁手の守備位置を確認すると初球をセーフティーバント。見事にセーフを勝ち取った。

「サードコーチャーの西浦(生記)コーチとサードが前に来ていなかったらやろうと打ち合わせていました。自分は塁に出て、足で点につなげることが仕事。きれいなヒットやきれいなバントじゃなくていいので、とにかく塁に出ることが大事」と小西。侍ジャパンU-12代表は予選グループの戦いで出塁すると、すぐに盗塁を仕掛けていたため、中国の先発投手はしきりに一塁へ牽制を入れた。5連続牽制と警戒される中、2番・星子天真主将への初球で二盗を成功。2球目が暴投となり、三塁に進むと、星子の三塁打で先制のホームを駆け抜けた。

 4回には1死からショート内野安打で出塁。またもや4連続牽制がありながら盗塁を決め、暴投で三塁まで進んだ。ところが、2番・星子主将のセカンドゴロでホームに返ることができなかった。

「ホームに行ける打球だったのに……」

 小西はそう悔やんだ。前日のパキスタン戦で初回にショートゴロでホームに突っ込み、タッチアウトになっており、「消極的になっていました」と反省。それでも、すぐに取り返した。

 3番・福原聖矢への初球。ボールと判定された球が捕手から投手に返球される間にホームへ走った。球審の両腕が広がり、セーフ。見事にホームスチールを成功させた。「相手は油断していました。ベンチでも相手のキャッチャーを見ていましたが、サードランナーを見ないでピッチャーに返していたので、行けると思いました」と、しっかり観察をしていた小西。星子主将が打ち取られた直後、西浦コーチの「ホームスチールで取り返そう」の言葉に勇気ももらっていた。

被災地への思い、「熊本にいいニュースを届けたい」

 前日のパキスンタン戦でも突破口を開いていた。0-1と1点を追う3回に、イニングの先頭打者としてセーフティーバントを試みて成功。日本に流れを呼び込み、そこから得点を重ねた。

「みんなが大きい当たりを飛ばして、自分も打ちたいと思ったけど、やるべきことをやろうと思いました。中心選手ではないので役割をしっかりしようと思いました」

 予選グループの初戦こそ2安打を放ったが、2戦目は犠打を1つ決めたものの、無安打。3戦目も流れを呼び込んだセーフティーバントの1本だけだが、出塁してかき回す小西がいることで打線が機能している。

「地元のチームでは4年生からAチームで試合に出させていただいて、バントをする機会が多かったので培われてきたのかもしれませんね。走るのが好きで運動会のリレーとかも楽しみにしています」と話すのは、父・礼展さん。母・人美さんも「出れば、自信を持って走っています」。小西本人は「保育園の頃から一番、速かったけど、先輩と勝負した時にあまり速くないんだと気づいて。5年生の1月から走り込みをしています。遊びで負けても悔しいんです」と、走ることへのこだわりを見せる。

 地元は熊本県錦町。宮崎県に隣接している県南の町だ。今年4月に発生した「熊本地震」では南阿蘇村にあった母方の祖母の家が全壊した。祖母は地震発生時、たまたま熊本市内にいたため、無事だったが、「楽しく過ごした思い出があった場所」(小西)は悲しい姿に変わった。「地震の怖さを初めて知りました」。この日は初回に熊本市の2番・星子主将とともに先制点を奪った。「天真もそうだけど、活躍することで熊本にいいニュースを届けたいです。復興につながる元気になったらいいと思います」という思いを胸に戦っている。

 さあ、ファイナル。相手は宿敵・韓国だ。「地元のチームのみんなや学校のみんなと金メダルを持って帰ってくると約束しているので、そこしか考えていません」。決勝も自分らしく――。塁に出て、ダイヤモンドを駆け回り、最高のメダルを輝かせる。

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