侍ジャパン敗戦の中、光を放った鈴木 代表デビュー戦で初安打「積極的にいけた」

2016.11.11

野球日本代表「侍ジャパン」は10日、メキシコ代表との強化試合(東京ドーム)に臨み、3-7で敗れた。打線も5安打3得点と苦しみ、まさかの完敗。そんな中、明るい材料となったのが、侍ジャパン初招集の鈴木誠也外野手(広島東洋)だ。

写真提供=Getty Images

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最終打席で得点につながるヒット、初めての代表戦は「疲れました…」

 野球日本代表「侍ジャパン」は10日、メキシコ代表との強化試合(東京ドーム)に臨み、3-7で敗れた。同点の6回に千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)が2四球で2死一、二塁のピンチを招き、一塁後方に落ちるポテンヒットで勝ち越し点を献上。さらに、一塁手の中田翔内野手(北海道日本ハム)の悪送球も重なり、2点を勝ち越された。9回には4番手の山崎康晃投手(横浜DeNA)が3失点を喫し、試合を決められた。

 打線も5安打3得点と苦しみ、まさかの完敗。そんな中、明るい材料となったのが、侍ジャパン初招集の鈴木誠也外野手(広島東洋)だ。「8番・右翼」で先発出場し、8回2死一塁の場面でセンター前へライナーで運ぶ代表初安打を放った。相手中堅手が打球を弾く間に一塁走者の松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)が一気に生還。鈴木の痛烈なヒットが得点を呼び込む形となった。直前の守備では、相手の痛烈なライトライナーを前進してきて好捕するなど、攻守両面で存在感を見せた。

 試合後、鈴木は独特の緊張感に包まれる代表戦について「守っていてもすごく緊張しましたし、疲れました…」と本音を明かした。今季、チームではリーグ2位の打率.335、同5位の29本塁打、同5位タイの95打点と大ブレーク。25年ぶりリーグ優勝の立役者の一人となった。ただ、まだプロ4年目の22歳。昨季までは広島東洋でもレギュラーの座をつかめていなかっただけに、日本のトップレベルの選手が集まる試合に初めて出場し、緊張しないわけがない。

 それでも、中飛に終わった2回の第1打席を終え、「バットに当たったので、ホッとしました。1打席目からしっかり自分のスイングが出来ていたので、良かったんじゃないかと思います」と落ち着きを取り戻したという。持ち味の積極的な打撃を続け、最後の打席でしっかり結果を残したのだから、やはりただ者ではない。

 中南米系の投手は、日本人とは違って独特の投球フォームで球を投げ込んでくる。しかも、速球はスピンの利いたきれいな軌道の直球ではなく、ツーシームやカットボールといった打者の手元で動くボールが主体。この日も、日本のほとんどの選手がこの「ムービングファストボール」に苦しめられた。

ドジャースの主砲も鈴木を絶賛、「能力は非常に高いように見えた」

 鈴木も「やっぱり投げ方も独特ですし、日本に来る外国人と違った球筋もあったので、最初はちょっと戸惑いましたね。(投球フォームも)日本では止まらないといけないところが止まらずにそのまま投げてきたりするので、そのへんの難しさは感じました」と振り返る。ただ、自分自身の持ち味を失うことはなかった。

「外国人独特のボール、動いているボールが打ちづらかったです。真っ直ぐだと思って振ったのがちょっと動いたり、芯を外されたりする。低めの真っ直ぐも打ちに行った時に(ボールが)たれたりもする。追い込まれる前に打たないと厳しいと思っていたので、積極的にいけたのがよかったです。カウントによっては甘い球が多かったので、積極的に仕留めていこうと思ってました」

 何度も「積極的」という言葉を使って、この日の打席に確かな手応えを示した。

 小久保裕紀監督は今回の代表メンバー発表の際に鈴木の個人名を挙げた上で、「右の外野手が不足しているという中で、彼には右の外野手として非常に期待してますね」と明かしていた。

 また、この日の試合前の打撃練習はメキシコ代表メンバーも見守る中で行われたが、ドジャースの主砲エイドリアン・ゴンザレス内野手(今回は帯同のみで登録外)は「練習だけだが、鈴木選手の能力は非常に高いように見えた」と熱視線。さらに、巨人でもプレーした兄のエドガー・ゴンザレス監督も「鈴木選手はすごくいい選手に感じる。本当に見る度に成長している。練習でも何をすればいいかを知っているようだ」と絶賛した。スケールの大きさは、一流メジャーリーガーから見ても明らかなようだ。

 強化試合は11日にメキシコ戦、12、13日にオランダ戦と3試合を残す。鈴木は「変わらず積極的にどんどん勝負を仕掛けていきたいなと思います」と誓った。日本代表でも物怖じしない22歳の活躍が、小久保ジャパンの大きな収穫となりそうだ。

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